ウブロには伝統的な時計ブランドにはない独自性がある。個性的なデザインが目を惹く一方で実用性にも優れており、現在では多くの時計愛好家から高い評価を獲得。ウブロの歴史を紐解き、その魅力を探るとともに、代表的なコレクションを紹介しよう。
新興ブランド「ウブロ」が急成長した理由
業界の異端児だったウブロは、21世紀に入り一気に屈指のトップブランドへと成長した。世界中から支持されるようになった理由に迫る。
「時計業界の異端児」と呼ばれた歴史
ウブロは高級時計ブランドの中でも比較的歴史が浅く、1979年にスイスのニヨンで誕生。創業したのは、イタリアの時計・宝石メーカー「ビンダ」創業者一族のカルロ・クロッコだ。
1980年に発表したブランドのデビュー作「クラシック」は、斬新なデザインで業界に大きな衝撃を与えたが、スイス高級時計の常識から逸脱したクリエイションは万人受けするものではなく、ウブロは業界から異端扱いされることになる。
経営も次第に傾いていく中、困難な状況を打開するため、ウブロは2004年に新たなCEOとなる人物を迎え入れた。
ヴァシュロン・コンスタンタンと並んで長い歴史を誇る時計ブランド、プランパンを見事に復活させた、ジャン-クロード・ビバーである。
成功者の証というステータスシンボル
新CEOに就任したジャン-クロード・ビバーは、2005年に発表した「ビッグ・バン」でブランドの知名度を世界レベルに押し上げた。数々のメゾンを復興させた時計ビジネス成功請負人としての実力を、ウブロでも発揮してみせたのである。
多彩なパートナーシップ戦略によりブランドイメージを広く定着させたことも、ビバーの大きな功績だ。ファッションやスポーツ、アートなど、各分野をけん引するリーダーたちがウブロの時計を愛用している。
こうしたトップアスリートや有名アーティストを広告塔として起用することで、いつしかウブロは「成功者の時計」と呼ばれるようになった。新興ブランドでありながら、現在は著名人のステータスシンボルとなっている。
ウブロだからこそ味わえる魅力とは?
ウブロが多くの時計愛好家から選ばれる理由を探っていこう。とりわけ他ブランドとは一線を画すデザインやハイスペックな自社製ムーブメントが、ウブロの大きな魅力である。
舷窓からインスピレーションを得たベゼル
ウブロの時計における特徴のひとつが、舷窓のようにビスを打ち込んだベゼルだ。メゾンを象徴するディテールとして、多くのモデルに取り入れられている。
「HUBLOT(ウブロ)」とはフランス語で舷窓の意。それはアイコニックな意匠であるとともに、社名の由来にもなっているのだ。
1980年に登場した「クラシック」は12カ所にビスを打ち込んだデザインだったが、「ビッグ・バン」の誕生以降は6カ所にリデザインされた。左右に張り出したベゼルラグも、ウブロの伝統を表す特徴である。
新素材を採用した独創的なデザイン
業界の常識にこだわらない独創性の高いデザインも、ウブロが持つ魅力のひとつだ。異素材の組み合わせや独自素材を積極的に取り入れ、唯一無二の時計を生み出し続けている。
1980年に発表された「クラシック」は、ゴールドとラバーを融合させるという業界初の試みがなされたモデルである。当時は異端扱いされたこの組み合わせは、今や「ビッグ・バン」をはじめ、ウブロ時計が持つ大きな特徴となっている。
ウブロが特許を取得している「マジックゴールド」は、マニュファクチュールが開発した世界で唯一の合金だ。耐傷性が低い既存のゴールドに独自の工夫を施し、輝きを保ちやすい金素材を生み出している。
時計愛好家も評価する自社製ムーブメント
ウブロの魅力はデザインだけではない。ムーブメントもかつては他社製を採用していたが、近年は自社製ムーブメントの開発にも注力している。
中でも評価が高いのが、ウブロ初の自社製ムーブメント「ウニコ」だ。伝統的な手作業に最新のハイテク自動化技術を組み合わせて開発された。
双方向自動巻き上げ機構を備え、パワーリザーブは最大約72時間を実現。新しいタイプの自動巻きクロノグラフムーブメントとして「ビッグ・バン」にも搭載された。