ロンジンは豊かな歴史と硬派なデザインが特徴的な、スイスの老舗時計ブランドだ。多彩なコレクション展開を行っていることや、上質な腕時計を良心的な価格で販売していることなどから、幅広い年齢層から根強い人気を博している。今回は、そんなロンジンの歴史や魅力、人気モデルを紹介していこう。
老舗時計ブランド「ロンジン」の特徴
老舗時計メーカーの中でも根強い人気を誇るロンジンとは、どのようなブランドなのだろうか。歴史や特徴を知り、ロンジンの魅力に迫ろう。
ロンジンの歴史
ロンジンの始まりは1832年のスイスである。オーギュスト・アガシにより創業されたロンジンは甥のアーネスト・フランシロンに受け継がれ、1852年にサンティミエへ拠点を移した。
1867年、フランシロンはサンティミエのレ・ロンジン(細長い野原)と呼ばれる場所に自社工場を作り、1カ所で完成までの作業ができる体制を築く。個々の職人が自宅で作業をしていた当時の業界に、革命をもたらした。
時計にブランド名やロゴを入れて価値を高めたのも、ロンジンが他のブランドに差を付けた取り組みである。20世紀前半には歴史に名を残す数々のパイロットウォッチを誕生させ、メゾンの存在を広く世に知らしめた。
しかし、1969年にクォーツ時計が台頭してからは業績が振るわず、1983年にはSMH(現スウォッチグループ)に買収される。現在は同グループにおいて、特にスポーツ界と深く結び付きながら高いステータス性を維持している。
輝かしい受賞歴
1867年に自社工場を誕生させたロンジンは、同年のパリ万国博覧会で初めて時計を出品した。高い評価を得たロンジンの時計は銅メダルを獲得している。
この受賞を皮切りに1929年のバルセロナ万国博覧会まで、実に10回を超えるグランプリを獲得した。ロンジンは「受賞歴が最も多いブランド」としても知られるようになる。
メゾンで行われていた技術研究は、歴代万博に名を残す形でも報われていたのだ。ロンジンは輝かしい受賞歴が裏付ける品質で、現在も多くの時計ファンを魅了し続けている。
1867年から続く「翼を持つ砂時計」のロゴ
ロンジンの象徴ともいえるのが「翼を持つ砂時計」をかたどったロゴだ。自社の時計製造工場を建設した1867年以降、同じロゴを採用し続けている。
砂時計が翼を持つという印象的なデザインは、その時計がロンジンのものであると証すために配されている。
当初はメゾンの時計を認証するのに役立てられていたが、次第に偽造品が増えた背景を受け、偽造者に対抗する手段として商標登録されることになったのだ。
ロンジンのロゴは1889年、スイス連邦知的財産権局に商標登録される。1893年には知的所有権保護合同国際事務局(後の世界知的所有権機関)に登録申請し、世界的に保護されている。
ロンジンの腕時計が選ばれるふたつの理由
堅実なデザインと優れた精密性こそが、ロンジンの腕時計を特徴付ける大きな魅力である。それぞれの具体的な内容を見ていこう。
堅実で幅広い層に愛されるデザイン
ロンジンの時計が有するスマートかつシャープなデザインは、特にクラシックなコレクションにおいて顕著だ。写真はブランド創業190周年にあたる2022年に発表されたアニバーサリーモデル。自動巻き(Cal.L888)。2万5200振動/時。パワーリザーブ約72時間。SS(直径40mm、厚さ9.35mm)。3気圧防水。36万9600円(税込み)。
ロンジンの時計が持つ特徴のひとつに、堅実なデザインが挙げられる。長い歴史の中で培われたクセがなく洗練されたデザインは、幅広い層に愛される大きな理由だ。
シンプルな3針タイプも機能性を重視したモデルも、スマートかつシャープなデザインに仕上げられている。シーンやスタイルを問わず活躍するだろう。
流行に左右されずクラシカルな雰囲気をまとっている点も、ロンジンの時計を特徴付ける魅力だ。良い意味での渋さがあり、袖口からさり気なく大人の雰囲気を放つ。
信頼性を高める精密性
時計ブランドに対する信頼性を決めるのは、製品の精密さといっても過言ではない。ロンジンの時計における信頼性は職人が卓越した技術で実現している。
ロンジンが機構の精密性を高めてきた背景には、創業当時から関わってきた計器の開発がある。1878年にスポーツイベント用の計器を初めて開発して以降、さまざまなジャンルでプロ向けの計器を提供し続けてきた。
より正確な計時を求められる計器の開発を通じて、時計製造の技術力も向上していった。ロンジンの腕時計には、長年の計器開発で培われた製造技術が反映されているのである。