今や、時計愛好家たちが注目する一大イベントとなったドバイ ウォッチ ウィークが、2021年の11月24日(金)から28日(火)にかけて開催された。中東に大きな影響力を持つリテーラー、アハメド・セディキ&サンズが2015年に始めた本イベントは、ほかにはない見本市としての存在感を見せつけた。
牽引するのは大メーカーではなく、マイクロブランド
大手メーカーが主体のウォッチズ&ワンダーズなどと異なり、ドバイ ウォッチ ウィークの主役は、MB&Fやウルベルクといったマイクロメーカーだ。大メーカーが増えた今なお、好事家好みのアットホームな雰囲気は、ドバイ ウォッチ ウィークの大きな魅力と言えるだろう。
2021年度の参加ブランドや団体は以下の通り。ドバイ ウォッチ ウィークの勢いを示すかのように、主だったマイクロブランドがひと通り参加している。
また、中古時計の売買ポータルにして、最近ドゥ・ベトゥーンを傘下に収めたウォッチボックスも、このイベントの常連だ。他の見本市では、中古を扱う業者は参加できないが、このイベントは例外中の例外。別に設けられたブースでは、参加者たちが中古時計をオンラインでチェックしていた。
ブライトリングやオーデマ ピゲの社長が語るフォーラム
「知識を共有し、人脈を築き、時計製造を祝福することを狙いとした教育的プラットフォームを提供する」とある通り、ドバイ・ウォッチウィークの大きな魅力、そして他の見本市との違いは、ユーザー参加型のフォーラムにある。2年前、筆者はグランドセイコーの話をしたし、今年もジョージ・カーンやマキシミリアン・ブッサー、そしてアラン・シルベスタインなどが、時計フォーラムのゲストとして話をした。
1日目の見どころは、「適者生存の位置とは」というフォーラム。オンラインでのペルソナとオフラインでのペルソナ、そして、投稿者が投稿されるブランドより著名な場合に何が起こるかを、ブライトリングCEOのジョージ・カーン、インフルエンサーであり時計のパーソナリティでもあるアニッシュ・バット、Avenue Fifty Twoの創設者であるリサ・ロクニーなどが対談を行った。パネルのモデレーターは、コミュニケーション・ストラテジストのシバ・アウディだ。
2日目のフォーラムで注目を集めたのは、「私はパテック フィリップが好き。それって何をするものなの? 」というディスカッションだった。司会を務めたのは、なんとニック・フォークス!パネルは、時計コレクター、宝石鑑定士、ヴィンテージディーラーのクロード・セイファー(これまたすごい)、時計コレクターのアリ・ナエル、セディキ・ホールディングのCCOであるモハメド・セディキ。参加者の女性が、著名な時計関係者たちにどんな時計を買うべきか?とダイレクトに質問できるのは、このイベントならではか。
3日目のメインイベントは「GPHGの審査員室を覗いてみた」というフォーラム。ニューヨーク・タイムズ紙の時計ライターであり、GPHG(ジュネーブ・ウォッチメイキング・グランプリ)の審査員でもあるロビン・スウィジンバンクが、GPHGの裏側を語った。パネルには、専門誌『Rake』および『Revolution』創業者のウェイ・コーや、独立時計師のレジェップ・レジェッピ、ニック・フォークスなどが参加した。
このフォーラムでは、投票が行われるプロセスや、投票結果に対して、誰もが常に賛同するわけではない、といったトピックが話された。GPHGの会長を呼んで、その問題点を指摘するのは、勢いのある見本市なればこそ。
各社が年々このイベントに注力するのは、実際に売れるから。では、どんなモデルがお披露目されたのかは、次回レポートする。
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