『クロノス日本版』の編集部員3人が話題モデルのインプレッションを語り合う連載。今回は、副編集長の鈴木幸也、ほそやんこと細田雄人、そして新人の土井康希の3人で、8年ぶりに復活を遂げたシチズン「シリーズエイト」を好き勝手に論評する。
Photographs by Masanori Yoshie
阿形美子:文
Text by Yoshiko Agata
2021年12月28日公開記事
ファン待望のシリーズエイトの復活!
(左)シチズン「シリーズエイト 830」
自動巻き(Cal.0950)。24石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約50時間。SS(直径40mm、厚さ10.9mm)。10気圧防水。20万9000円(税込み)。
(右)シチズン「シリーズエイト 870」
自動巻き(Cal.0950)。24石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約50時間。SS(直径40.8mm、厚さ10.9mm)。10気圧防水。22万円(税込み)。
細田ディスコンから8年を経て再始動したシチズン「シリーズエイト」が3機種、全8モデルで再び登場しました。2021年に新開発されたムーブメントCal.0950を搭載するのが「870」と「830」。Cal.9051を搭載するのが「831」です。
鈴木オリジナルは2008年には発表されていて、クォーツ式でした。外装パーツが別体を組み合わせていて、かなり作り込まれていたんです。立体感があって仕上げも良くて、「さすがデザインのシチズンだね」って、広田編集長も僕も評価していました。ただ、残念ながらディスコンになってしまって……。
細田今回は、870と830をそれぞれ着用してもらいましたが、どうでしたか。
鈴木まず外装のことを話すと、以前のような別体パーツはほぼなくなっちゃったんですね。あと、830のPVDグレーメッキの仕上げが良くない。値段は上がっちゃうけど、外装も従来のシリーズを踏襲してくれたら凄く魅力的だったと思います。ただ、多面ケースと“ラグスポ”っぽいラグ一体型になっていて、今っぽくはなっていますね。
細田870はシリーズエイトのフラグシップとしてデザインを大きく変えてきましたね。着用感はいかがでしたか?
鈴木870の装着感は安定していました。ラグスポとしてもアリかな。830はブレスレットの肌当たりが良くなかった。エッジの仕上げが粗いというか……価格差が結構あるなら納得がいくけど、そうじゃないとなるとちょっと残念かな。
細田差は1万円強です。830は831とケースは同じですが、文字盤にMOPを使い、その上にステンレスのプレートを重ねて、凝った感じを出してます。
鈴木MOP文字盤はお洒落なんだけどね……。
細田シチズンは2021年を“機械式回帰元年”として打ち出す中で、高価格帯としてCal.0200、普及価格帯としてシリーズエイトとダイバーズを出しているので気合が入っていることは確かなんですけど、ちょっと空回りしちゃったのでしょうか。
870と830、ブレスレットに違いが
土井870と830は、ブレスレットのコマのサイズ・数が違いますね。
鈴木本来はコマが細かい方がなじむように思うんだけど、830の方が着け心地はよろしくなかった。
細田見た目ほどはしなやかに動かなかったですね。
鈴木うん。830は剛性がユルい感じがある。870はコマは大きいけど、こっちの方が着け心地がいいんだよね。重心もいい。830はヘッドに対してブレスレットが軽過ぎるようにも感じます。
細田それから、僕と広田さんと幸也さんは同じくらいの腕の太さだけど、土井くんはもっと細いよね。細腕の人からすると着け心地はどうだった?
土井僕はブレスレットのコマを多く外すので、必然的にヘッドとのバランスは悪くなってしまうのですが、そんなには気になりませんでした。あとはピン式なのが気になりましたね。調整にリスクがあるので。
細田そうそう、土井くんにコマ外しをお願いしたら、ピンだから嫌って言われて、結局、時計師の資格もない僕がやることになって(※)。僕にやらせるともっと危ないのに(笑)。
※新入社員の土井はヒコ・みづのジュエリーカレッジの「ウォッチメーカーマスターコース」を修了しており、時計修理技能士2級を所有している