Q:なぜG-SHOCKはショックに強いの?
ムーブメントを複数のゴムで支え、外部からのショックを緩和する構造を導入しているからです。
2024年9月23日更新
A:ムーブメントを中空で支えているから
腕時計の大敵のひとつが衝撃です。その創成期から、さまざまなメーカーが腕時計の耐衝撃性を高めてきましたが、長らく決定打はありませんでした。ほぼ唯一、ショックの問題をクリアしたのがカシオのG-SHOCKです。
「弾むゴムボールの中では衝撃は伝わらない」という発想から生まれたG-SHOCKの初号機。時間を表示するデジタルムーブメントを複数のゴムで支えることで、外部からのショックを緩和する構造を持っています。また、搭載するムーブメント自体も、ショックに強くするため、部分的にネジ止めに変更されました。
ちなみに、ムーブメントを中空で支えてショックを伝わるにくくするという構造は、1960年代後半にIWCが「ヨットクラブ」で実現していました。また72年のオーデマ ピゲ「ロイヤル オーク」も、ムーブメントをゴムで支えて、ショックを吸収するケースに特徴がありました。しかし、ムーブメントに重い機械式ではなく、軽いデジタル式を採用したG-SHOCKは、衝撃を受けても極めて壊れにくくなりました。またプラスティック製の外装を大ぶりに作ることで、外部から強いショックを与えても、ガラスやボタンなどが壊れにくくなったのです。
スイスの高級時計メーカーへの影響も大きい
加えて最新の一部モデルでは、耐衝撃性に加えて、耐遠心力と耐振動性も高めた「トリプルGレジスト」に進化。基本的な構造はG-SHOCKの初号機と同じですが、ムーブメントを支える振動吸収材に、柔らかいαGEL®を採用することで、振動を吸収しています。また振動を受けると部品が緩む場合がありますが、アルミニウム製のワッシャーやOリングを組み合わせることで、部品を外れにくくしています。
中空ケースというアイデアを磨いて、衝撃と振動をほぼ完全にクリアしてみせたG-SHOCK。世界で最も頑強な腕時計、と言われるのには、明確な理由があったのです。ちなみに、いわゆる高級時計メーカーが作ったスポーツウォッチには、G-SHOCKの影響を受けたものがあります。世界に影響を与えたという点でも、G-SHOCKの功績は非常に大きいのです。
メタルコアガード構造とかカーボンコアガード構造を複合した「デュアルコアガード構造」は、カーボン強化樹脂ケースでモジュールを保護し、外側をメタルパーツで覆う仕様だ。さらに本作はその構造を進化させており、小型薄型化を実現しつつ、複雑で立体感ある造形を特徴とする。タフソーラー。カーボン×SSケース(縦51.9×横50.9mm、厚さ12.1mm)。20気圧防水。15万9500円(税込み)。
耐衝撃構造の進化は止まらない。その象徴的な存在が、“強さ”のメタルでの実現だ。ハイエンドラインに位置するフルメタル製「MR-G」は、「マルチガードストラクチャー構造」によって、強さと美観を両立した。この構造はベゼルのパーツを細分化し、さらにベゼルに、T字バーと板バネを組み合わせた四隅のサスペンションパーツやシリコン緩衝体を組み込むことでショックアブソーバーとして機能させることでモジュールを保護するというもの。この多パーツ化は、複雑な造形を保ちつつ、細部にまで研磨を施すことも実現している。タフソーラー。Ti×コバリオンケース(縦49.4×横43.2mm、厚さ12.9mm)。20気圧防水。48万4000円(税込み)。
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