『クロノス日本版』の編集部員3人が話題モデルをインプレッションし、語り合う連載。今回は、副編集長の鈴木幸也、ほそやんこと細田雄人、そして新人の土井康希の3人で、オリエントスター「スケルトン」を好き勝手に論評する。
Photographs by Masanori Yoshie
阿形美子:文
Text by Yoshiko Agata
2021年12月31日公開記事
オリエントスターの70周年を記念した、クラシックコレクションの最上位モデル。46系を改良した新たな手巻きムーブメントは、シリコン製ガンギ車によりパワーリザーブを約20時間延長した。手巻き(Cal.F8B62)。22石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約70時間。SS(直径38.8mm、厚さ10.6mm)。5気圧防水。31万9000円(税込み)。
オープンワークとシリコン製ガンギ車のベスト・バディ
細田今回はオリエントスターの70周年を記念した、クラシックコレクションのスケルトンです。シリコン製ガンギ車を使った新開発ムーブメントCal.F8B62を搭載しています。
鈴木このモデルはスケルトンだし、パーツの装飾もたっぷりで、着けていて圧倒的に満足感がありましたね。しかも、これだけのオープンワークで31万9000円!
土井“虹引き”(※)も強く出ています。
※細かく筋目を入れた仕上げを指す、『クロノス日本版』編集長の広田語録。虹色に光って見えるのが由来。
細田オリエントスターのスケルトンは、歴代モデルみんな虹引きが強いですね。
鈴木好みは分かれるとは思うけど、「しっかり仕上げが入ってます!」って主張が感じられる。ガンギ車の色味も“魅せる青”って言うだけあってしっかり青色。気合を入れて作ってきたように感じます。本当に、全体的に見栄えがするね。
土井文字盤側からもちゃんと新しいガンギ車を見られるのが、個人的に気に入っています。
細田シリコンパーツって紫っぽくなることが多いですが、安定した青色を出してきましたね。青焼きの針に近い色のガンギ車で、統一感もあります。やっぱり、エプソンの半導体の技術力が生かされているのを感じます。
表情豊かに輝きを放つ切削模様
鈴木文字盤の受けに切削渦目模様がかなり強めに入っているから、パッと見ただけでも華やかだよね。前回のモデルは切削がやや浅かったから、その反省でかなり強めに入れているみたい。
土井全体的にギラッとしています。
鈴木そうそう。キラッと、じゃなく、ギラッと(笑)。それが好きな人には凄くハマる時計だと思う。オリエントスターは、1991年にリリースしたモンビジュ以降、スケルトンをずっと手掛けているから、抜き方が上手いよね。ガンギもスモセコもしっかり見えるし。国産メーカーの中ではスケルトンの歴史があるのを改めて感じます。
細田そうですね。ただ、そもそも視認性が劣るスケルトンの中でも、反射が強い分、なおさら時間は見えにくいように思います。
鈴木“切削渦目模様”と言っているくらいだから、加工が深いんだよ。表面を削り取っているから。スイス時計のペルラージュが研磨で模様を付けているのと比べたら、装飾が深い分、ギラッと感があるんだよね。
細田しかも、仕上げだけでなく、針もインデックスも全部輝きますからね。
鈴木反射で見せてる感じ(笑)。太陽光の下では相当見づらいかと思います。
細田でもこれは、針よりもガンギを見て満足する時計ですよね(笑)。
鈴木そうだよね。凝った仕上げだし、スケルトンだし、そういったところで確実に満足感は満たされると思います。
細田ちなみに、時計に全然関係ないですけど、外箱も素敵なんですよ(笑)。