Q:なぜ時計メーカーは寒い地域に集まるのですか?
機械式時計の生産国といえば、なんといってもスイスが有名。ほかにもドイツ、さらにはロシアなどが挙げられます。そしてこれらの国において腕時計の製造拠点が設けられるのは、日本の東北地方のように、特に寒い地域が多いです。なぜ、腕時計の工場は寒い地域に集まるのでしょうか?
2022年1月21日掲載記事
A:湿気が少ないからです
今や、世界のあちこちで生産されている時計。スイス、日本、ドイツや中国、ロシアはもちろん、インドやタイなどでも製造されるようになりました。しかし、いまだにその製造の中心は、一部の地域に集中しています。なぜ時計の生産地に偏りがあるのでしょうか?
スイスのジュウ渓谷や日本の東北など、時計メーカーが集中している大きな理由は、寒くて湿気が少ないからです。エアコンが普及する以前は、各社は時計部品の保管に大変気を遣っていました。せっかく精密な部品を作っても、時計師の汗や湿気が多い環境ではすぐに部品が錆びてしまうのです。大きな部品で構成されるクロックならさておき、小さなウォッチの場合、その影響は決して小さくなかったのです。もちろん国や地域の教育水準や、その地域にいる人々の資質なども大切ですが、まずは錆びないことが重要だったのです。時計メーカーが寒い地域に集まった大きな理由です。
日本の時計メーカーも岩手県雫石町の盛岡セイコー工業や長野県諏訪市のセイコーエプソン、山形県の山形カシオ、北海道夕張市のシチズン夕張など、寒い地域に製造拠点を構えるケースが多い。
エアコンの普及によって世界中で時計製造が可能に
もっとも、エアコンが普及するようになった結果、熱くて湿気の多い地域でも、時計関係の工場を作りやすくなりました。時計業界に限らず、精密な部品や製品を作る工場が世界に広まった理由に、エアコンの普及があったことは紛れもない事実です。今や、時計作りに環境が関係なくなったと考えれば、これからは、例えば南アフリカや、セネガル製の高級時計が見られるかもしれません。
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