Q:ブロンズの腕時計が最近増えているのはなぜ?
以前はごく一部の時計にしか採用されなかったブロンズケース。しかし近年、ブロンズの腕時計は急速に増えつつあります。一体なぜなのでしょうか?
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A:ブロンズ特有の経年変化が評価されるようになったため
時計好きの間で市民権を得つつある、ブロンズという素材。かつては経年変化で色が変わることを好ましく思わない傾向にありましたが、最近はそれを味と感じる人も多いようです。今では大メーカーが使うようになったほか、過酷な環境で使われるダイバーズウォッチにも採用例が増えています。
時計業界で広く使われる真鍮は、銅と亜鉛の合金です。一方のブロンズ(青銅)は同じ銅合金ですが、亜鉛ではなく、錫を混ぜたものです。ブロンズは真鍮よりも加工が難しいですが、さびにくく、傷付きにくいという特徴があります。そのため、昔から船舶や水回りの金具などに使われてきました。
このユニークな素材に着目したのがパネライです。同社が手掛けたブロンズケースの「ブロンゾ」コレクションは、世界的なヒット作になりました。今では、IWCやモンブラン、チューダーなどもブロンズケースを採用するほか、安価な価格帯にもブロンズケースが広がりつつあります。
アルミを混ぜることで変色しづらくする試みも
経年変化で味の出るブロンズですが、いくつかのデメリットがあります。ひとつは、金属アレルギーを起こしやすいこと。そのため、ほとんどのブロンズケースの時計は、裏蓋をチタンといった、アレルギーを起こしにくい素材に変えています。もうひとつのデメリットが、経年変化が強く出すぎるブロンズケースもあること。それを味とよろこぶ時計好きは少なくありませんが、シャツの袖口は汚れやすいです。
もっとも一部のメーカーは、経年変化を抑えた、新しいブロンズを採用しています。大きな違いは、素材にわずかにアルミを混ぜたこと。今までのブロンズケースのような大きな変化は楽しめませんが、普段使いには向くでしょう。そういったブロンズケースを採用するメーカーには、IWC、チューダー、モンブラン、ハミルトンなどがあります。
ブロンズ素材を用いたモデル
ブロンズ素材を用いた現行モデルを紹介します。
チューダー「ブラックベイ フィフティ-エイト ブロンズ」
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39mmの小ぶりなケース径を持つ「ブラックベイ フィフティ-エイト」のブロンズモデル。アルミニウムとブロンズの合金を使用している。ブロンズ素材の色みに合わせて、“ブロンズブラウン”カラーのベゼルや文字盤を採用していることも特徴的だ。なお、ブロンズ製ブレスレットのほか、ファブリックストラップも付属する。裏蓋はブロンズカラーPVDのステンレススティール製。自動巻き(Cal.MT5400)。27石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約70時間。ブロンズケース(直径39mm、厚さ11.9mm)。200m防水。ブティック限定。68万900円(税込み)。
IWC「パイロット・ウォッチ・オートマティック・スピットファイア」
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IWCの「パイロット・ウォッチ」コレクションの中でも、英国の航空技術者レジナルド・ジョセフ・ミッチェルが設計した戦闘機“スピットファイア”を名前に冠した本作。ブロンズケースとグリーンカラーの組み合わせは現代的な意匠である一方で、視認性の高いシンプルな文字盤やオーセンティックなケースフォルムを採用しているため、往年のミリタリーウォッチとしてのテイストも感じられる。裏蓋はチタン製。自動巻き(Cal.32111)。21石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約120時間。ブロンズケース(直径39mm、厚さ11.9mm)。6気圧防水。82万5000円(税込み)。
ジン「T50.GOLDBRONZE」
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ジンが開発し、特許申請中の独自合金「ゴールドブロンズ125」を使用したダイバーズウォッチ。ブロンズ由来の合金やスクラッチ加工を施した文字盤が特徴的で、さらに50気圧防水というハイスペックも持ち合わせる。裏蓋はチタン製。自動巻き(Cal.SW300-1)。25石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約42時間。ゴールドブロンズ125ケース(直径41mm、厚さ12.3mm)。50気圧防水。世界限定300本。118万8000円(税込み)。
オリス「ビッグクラウン ポインターデイト」
オリスのパイロットウォッチ製造のレガシーを体現した「ビッグ クラウン」コレクションの、フルブロンズモデル。文字盤カラーが豊富なのも楽しい。裏蓋はステンレススティール製。自動巻き(Cal.Oris754)。26石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約38時間。ブロンズケース(直径40mm)。5気圧防水。44万円(税込み)。
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