デュボア・デプラの一族が立ち上げたピエール・ドゥロッシュはユニークな機能を備えたコレクションを展開する。2022年、同ブランドはカレンダーの月表示を独創的なディスクで行うアニュアルカレンダーを搭載した「グランドクリフ アニュアルカレンダー」を発表した。直径41mmで、メンズとレディースの2モデルがある。
2022年3月30日掲載記事
デュボア・デプラ製の年次カレンダームーブメントを採用
ピエール・ドゥロッシュを語るとき、デュボア・デプラの歴史から知る必要がある。デュボア・デプラは1901年にマルセル・デプラによってスイスのジュウ渓谷ル・リューで創立された時計メーカーだ。主にETA28系のモディファイを得意とし、クロノグラフを始めとする複雑時計のモジュール製造で名を馳せた。その会社の現会長であるジェラルド・デュポアの次男ピエール・デュボアが2004年に立ち上げたのがピエール・ドゥロッシュである。
デザインテイストはクラシックな色味でまとめたものからスポーティーなものまで幅広い。しかし基本的にデュボア・デプラ製ムーブメントを搭載することから分かる通り、いずれも独創的な機能を搭載していることが共通している。例えば同社の代表作のひとつ「TNT ロイヤルレトロ」は、レトログラード式の秒針を6本備え、その6本がリレー式に1周60秒を計時するユニークな機構を搭載している。デュボア・デプラより供給されるムーブメントはすべてピエール・ドゥロッシュ専用に設計されたものだ。
そんなピエール・ドゥロッシュの基幹コレクションに「グランドクリフ」がある。端正で洗練されたラウンドフォルムのケースを基調とし、あらゆるコンプリケーションを搭載することを想定したコレクションである。そして2022年、グランドクリフに追加されたのが「グランドクリフ アニュアルカレンダー」だ。タウンユース向けの端正な外観に、年次カレンダーを搭載したモデルである。ポリッシュとサテン仕上げが施された直径41mmのステンレススティール製で、メンズ、レディースそれぞれに1モデルの展開がある。サファイアクリスタル製ケースバックを通して自動巻きムーブメントを鑑賞できるようになっている。
ピエール・ドゥロッシュの共同創業者で現CEOのキャロル・デュボワは、「子供の頃、祖父が大の月・小の月の覚え方を教えてくれたのですが、手の握りこぶしの山と谷を見るという簡単なものでした。この複雑な問いに対するシンプルな答えから、グランドクリフ アニュアルカレンダーによってコレクションをより完成したものとするというアイデアが生まれました」と語る。
実用的で利便性の高い複雑機構とされるアニュアルカレンダーは、まさに時計業界において洗練されたエンブレムのような技術のひとつだ。日常生活にシンプルな魔法をかけてくれるものでもある。
一般的な日付表示搭載のカレンダーでは、31日に満たない月に年5回の修正が必要である。これに対してより洗練されたアニュアルカレンダーでは年に一度、3月1日に変わる時だけ修正が必要だ。
搭載される自動巻きキャリバー6501はもちろんデュボア・デプラ製である。日付表示は3時位置に、月表示は7時半位置に配されている。月表示はがカレンダーディスクの赤色で示されるように文字盤がくり抜かれている。リュウズによる日付表示の早送りと、コレクターによる月表示の早送りができるようになっている。ムーブメントの直径は32mmあり、これによって文字盤の理想的な位置に、しっかりとした大きさで視認性の高い表示を実現した。
ねじ込み式リュウズと50mの防水性を備える新しいケースは、ラウンドシェイプや特徴的なラグという同コレクションのデザインコードを受け継いでいる。文字盤と同じ色合いのフォールディングバックル付きのコーデュラ調レザーストラップが組み合わせられている。
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