今やラグジュアリーウォッチにおける“モダンスケルトン”の最高峰に位置するロジェ・デュブイ。2022年の最新作は、同社のアイコニックピース「エクスカリバー オートマティック スケルトン」をさらに進化させ、新たな名を授けた“モノバランシエ”である。常に技術革新と審美性を追求するロジェ・デュブイ。そのDNAが導いた最新成果を解き明かす。
鈴木幸也(本誌):取材・文 Text by Yukiya Suzuki (Chronos-Japan)
[クロノス日本版 2022年5月号掲載記事]
ROGER DUBUIS 2022
スケルトナイズの進化は止まらない
まず注目すべきはロジェ・デュブイ初となるフリースプラングテンプの採用だ。加えて、脱進機も変更された。ガンギ車とアンクルの爪石にシリコンを使用。摩擦の低減と軽量化によって脱進機の効率を約50%向上させた。さらに、輪列とガンギ車の歯の形状を最適化し、新たな潤滑油を導入することで、パワーリザーブを従来の約60時間から約72時間まで延長できたというから、モダンスケルトンが放つ独創性と審美性に加え、実用性も十分だ。
革新されたのは性能だけではない。例えば11時位置のマイクロローター。従来は巻き上げ効率を考慮してタングステンのみで構成されていたが、新作ではタングステンとピンクゴールドを組み合わせたバイマテリアルに変更され、より華やかになった。また、1時から8時半にかけて文字盤側で大胆に抜かれた大きな星型のブリッジ。この星の中心で香箱を支えているのは、既存の「エクスカリバー オートマティック スケルトン」と同じだが、そのブリッジの造形は、昨年発表された「エクスカリバー モノトゥールビヨン」同様に深い面取りが施され、スケルトン化の奥行き感が増した。
さらに、立体的なアワーマーカーとベゼルの刻みは、いずれも頂点を落としたトライアングルを採用している。これも〝モノトゥールビヨン〞と同じコンセプトである。すなわち、新作の〝モノバランシエ〞は、オートマティック スケルトンでありながら、その意匠はより複雑な〝モノトゥールビヨン〞と同等の域に引き上げられ、かつ搭載するムーブメントは最先端の実用時計に肩を並べるスペックへと大きく飛躍したのだ。
次号では、この〝モノバランシエ〞をさらに深掘りする。
右は環境の変化による退色に強いロジェ・デュブイ独自の特許取得合金イーオンゴールド製のRef.RDDBEX0954。左はベゼルにラウンドダイヤモンドをセッティングしたイーオンゴールド製のRef.RDDBEX0953。ジュネーブ・シールを取得した唯一のシリコン製脱進機搭載モデル。自動巻き(Cal.RD720SQ)。32石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約72時間。18Kイーオンゴールド( 直径42mm、厚さ12.7mm)。10気圧防水。(右)予価917万9500円(税込み)。(左)予価990万円(税込み)。
最新のブランドコンセプトを導入した国内2店舗目のブティックが福岡に誕生
2021年4月に福岡市内の百貨店、岩田屋本店の新館4階にオープンした「ロジェ・デュブイブティック 岩田屋本店」。ロジェ・デュブイとしては銀座に続く国内2店舗目のブティックであり、最新のブランドコンセプトを導入した、現状国内唯一のブティックでもある。ロジェ・デュブイを象徴する星型のブリッジ「アストラルスケルトン」を大胆に内装に採り入れ、通りすがりでも思わず足を止めて見入ってしまうほど強いインパクトを放つ。
「ロジェ・デュブイの世界観をひと目見て感じていただけるインテリアデザインが特徴です。この非日常の空間で、高揚感とともにロジェ・デュブイを手に取って、その魅力と稀少性を感じていただきたい」と語るブティックマネージャーの成富正敬氏。
「銀座以外には、ここにしかブティックがないため、九州全域はもちろん、福岡をビジネス拠点のひとつとして、大阪や東京からも来店があります。夏にはウォッチズ&ワンダーズで発表された新作のイベントも予定しています」。
ロジェ・デュブイ ブティック 岩田屋本店
福岡県福岡市中央区天神2-5-35 岩田屋本店 新館4階
Tel.092-791-5800
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