近代的ダイバーズの祖の名に恥じないハイスペックと、ダイバーズウォッチとしては異例なまでに上質な仕上げのケースを併せ持つブランパン「フィフティ ファゾムス」。このふたつの要素を高い次元で両立する同シリーズの中でも、特に双方を極めているのが「フィフティ ファゾムス トゥールビヨン 8デイズ」だ。
細田雄人(本誌):文 Text by Yuto Hosoda (Chronos-Japan)
[クロノス日本版 2022年5月号掲載記事]
ブランパン「フィフティ ファゾムス トゥールビヨン 8デイズ」
1953年に登場したブランパン「フィフティ ファゾムス」は高い防水性能に加えて、不用意なベゼルの回転を防ぐロック機構や耐磁性能といった機能を備えた、モダンダイバーズウォッチの原型とも言える存在だ。このような出自を持つだけに、これまでの歴代モデルは、どれもプロユースに耐えうるだけの本格的なスペックを必ず備えてきた。
フライングトゥールビヨンを搭載するモデル。旧作からパワーリザーブ計を廃し、よりシンプルなデザインにリニューアルされた。フリースプラングテンプを採用し、キャリッジを地板側から3カ所のブリッジで支えるなど、耐衝撃性への配慮もうかがえる。写真のTiケースのほか、18KRGケースもラインナップされる。自動巻き(Cal.25C)。29石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約192時間。Ti(直径45mm、厚さ14.8mm)。300m防水。1394万8000円(税込み)。
そんなプロ仕様のスペックを持つフィフティ ファゾムスにはもうひとつの顔がある。それがダイバーズらしからぬ手間の掛けられた外装を持つ高級機であるということだ。熱間鍛造によって密度を高めたケースに施されるポリッシュやサテンといった仕上げ、ドーム型サファイアクリスタル製ベゼルの高い質感は、同作が単に過酷な環境で使用されるツールウォッチではないことを物語っている。このような高級志向と本格ダイバーズ、相反するふたつのキャラクターを高い次元で両立している点が、フィフティ ファゾムスの魅力なのだ。
そして、同コレクションにおいてこの2要素をいっそう極めたのが、昨年末にモデルチェンジを果たした「フィフティ ファゾムス トゥールビヨン 8デイズ」である。同作はその名の通り、フライングトゥールビヨンをフィフティファゾムスに搭載したモデルだ。美しく磨かれたキャリッジが優雅に12時位置で回転する様は、そこだけ見れば繊細なコンプリケーション。決してダイビングツールという枠には収まらない、高級機であることを主張する。
とはいえ同作は〝ラグスポ〞ではなく、あくまで〝ラグジュアリーダイバーズ〞である。それを強く感じさせるのが医療用のグレード23チタンを採用するケースとブレスレットだ。特にブレスレットは軽量ながらも程よい剛性感を持っており、スポーツユースにおいても安心して使用できる。また、すべてのコマがネジによって留められているため、コマを完全に分解可能だ。方向性をラグジュアリーに振ったとしても優れた整備性の追求をやめない点に、モダンダイバーズの祖であるフィフティ ファゾムスの高級スポーツウォッチに対する矜恃が見て取れる。
【ブランド公式サイトでフィフティ ファゾムスコレクションを見る】
https://www.blancpain.com/ja/fuifutei-fuasomusukorekushiyon-fifty-fathoms-collection
https://www.webchronos.net/features/66956/
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