ブランパンの復刻モデル「エアコマンド」。格式ある個性と歴史を解説

FEATUREその他
2023.09.01

軍用時計をルーツとするモデルに興味があるなら、ブランパンの「エアコマンド」をチェックしてみてはどうだろうか。復刻モデルを手にする場合、ルーツとなったモデルについてよく知ることが大事だ。エアコマンドの歴史的価値や魅力に迫る。

エアコマンド


歴史的名作「エアコマンド」

エアコマンドは、ブランパンの歴史的名作を復活させたコレクションである。まずは、その特徴とオリジナルモデルの価値を見ていこう。

軍用クロノグラフの復刻モデル

エアコマンド コレクションのオリジナルとなったモデルは、1950年代にブランパンが製作した軍用時計だ。

ブランパンはこの当時、自社のダイバーズウォッチをアメリカ海軍へ提供。時を同じくして、高精度クロノグラフを探していたアメリカ空軍に向けて製作したのが、歴史的名作と称される空軍用クロノグラフである。

試作品として12本がアメリカ空軍に渡され、最終的に製作された本数もごくわずかだったといわれている。

オリジナルモデルの価値

エアコマンドのオリジナルモデルは、そもそもの製作本数が非常に少ないため、オークションにもほとんど登場しない。ヴィンテージ・ブランパンの愛好家にとっても、入手が極めて困難な時計なのである。

ブランパンと聞けば、ダイバーズウォッチの「フィフティ ファゾムス」やエレガントな「ヴィルレ」の名を挙げる人も多いだろう。

そうした、パイロットウォッチのイメージを持たれにくいブランパンにおいて、エアコマンドのオリジナルモデルは、このブランドが優れた航空時計も製作していたことを証明する貴重な存在なのだ。


現代によみがえった新しいエアコマンド

2019年に登場した復刻版エアコマンドは、オリジナルモデルを忠実に再現しながら、時代に合わせた改良も加えられている。新しいエアコマンドの主な特徴を確認しよう。

複雑機構「フライバッククロノグラフ」を搭載

Cal.F388B

搭載するムーブメントは、フライバッククロノグラフ機能を備えたCal.F388B。3万6000振動/時の振動数によって高精度と1/10秒単位の計測を実現するのみならず、垂直クラッチを搭載したコラムホイール機構によってスムーズな計時を可能にしている。

新しいエアコマンドには、複雑機構のフライバッククロノグラフが搭載されている。プッシュボタンを1回押すだけで即座に次の計時ができる機構だ。

通常のクロノグラフでは、計測時にストップ→リセット→リスタートの3操作を必要とする。一方、フライバッククロノグラフの場合は、1回の操作で間髪を入れずに新たな計測を開始できるのである。

操縦中のパイロットが何度もプッシュボタンを押すのは困難だろう。できるだけ飛行に集中できるよう考えられたフライバック機能は、航空時計の実用性を大きく高めている要素なのだ。

美しいディープブルーダイアル

エアコマンド

ダイアルとベゼルにはディープブルーカラーを採用。ダイアルのサンバースト仕上げに加え、インダイアルにはスネイル仕上げを用いてエレガンスを強調。さらに、ベゼルにはダイアルと同色のセラミック製インサートを組み込み、軍用パイロットウォッチをベースとしながらも、艶のある表情に仕上げている。

ダイアルのメインカラーに美しいディープブルーが採用されたことも、新しいエアコマンドの特徴だ。ヴィンテージの雰囲気を残しつつも、ブルーを組み合わせることによって知性を感じさせるタイムピースに仕上げている。

クラシカルなデザインと現代的なスペックを兼ね備えている点も魅力といえるだろう。ベゼルと風防は、それぞれセラミックとサファイアクリスタルに変更されている。

サンバースト仕上げが施されたダイアルには、夜光塗料を塗布した針とインデックスを配し、視認性も高められている。