アカデミーを辞任したウィル・スミスの愛用時計とは？

一流のセレブたちは一体どんな腕時計を選ぶのか？　世界のセレブたちのプライベートなワンシーンを切り取り紹介する連載コラム「セレブウォッチ・ハンティング」。

今回は、先日開催されたアカデミー賞授与式で自身初の主演男優賞に輝いたと同時に、妻であるジェイダ・ピンケット＝スミスの病気をジョークにされたことに激昂して司会のクリス・ロックを平手打ちにしたことでさまざまな議論を呼び起こしたウィル・スミスの愛用する時計に着目する。

ウィル・スミスの多才な実績

　1968年9月25日にフィラデルフィアで4人兄弟の長男として生まれ、12歳頃にはラップをパーティーで披露するなどして才能を開花させていた。19歳の頃にはラッパーとしてデビューし、わずか1年ほどでグラミー賞最優秀パフォーマンス賞を受賞するという実績も持っている。その後、自身が主演を務める映画「メン・イン・ブラック」の主題歌を制作し、サウンドトラックは全米1位を記録し、ソロアルバムも大ヒットを遂げた。1998年と1999年には2年連続でグラミー賞を受賞した。映画主題歌「ワイルド・ワイルド・ウエスト」のメロディーは30代以上の人なら誰もが一度は耳にしたことがあるのではないだろうか。

　俳優としての大ヒット作は「バッドボーイズ」や「インデペンデンス・デイ」が挙げられるが、モハメド・アリを演じた2001年の「ALI　アリ」で第74回アカデミー賞主演男優賞にノミネートされたことをきっかけに、演技力を求められるシリアスな作品に出演することが多くなった。その後、2006年に公開された「幸せのちから」では息子のジェイデンと親子競演を果たし、こちらも第79回アカデミー賞主演男優賞にノミネートされた作品となった。

ウィル・スミスの着用時計は、エルメスの「アルソー タンシュスポンデュ」

　ウィル・スミスがトークショーなどでも度々着用している姿がインスタグラムでも確認でき、愛用していると思われるのがエルメスから2011年に発売された「アルソー タンシュスポンデュ」だ。

　リュウズ位置が2時位置についていることが目立つデザインの特徴となっているが、この時計の1番のユニークな機能は9時位置に「時を忘れる」ボタンがあることだろう。時分を表示する2本の針が定位置に、日付表示針が隠れるというユニークな機能が付いている。

　今回の一連の騒動において、正式に謝罪をした上で、アカデミーを辞任するという結論に至ったウィル・スミスだが、愛する家族の病気をジョークにされたことが耐えられなかった、と謝罪コメントの中で当時の気持ちを吐露している。国によっても、世代・性別によっても意見は分かれるが、妻のジェイダ・ピンケット・スミスが自分の頭髪をネタにされている際の涙を堪えるような表情は同性の立場から見ていて痛々しいものがあった。

　授賞式の後にジェイダが自身のインスタに「今は癒しの時間」と投稿したことからも、傷ついた気持ちを察することができる。

　暴力を肯定することはできないが、大勢の前で病気のために剃った頭髪を笑われることも、特に女性には耐え難いことだったのではないだろうか。

　ウィル・スミスの家族は芸能一家でもあり、今回の件でさまざまな掘り起こしとも言えるバッシングコメントも見られる。長年一線で活躍してきたウィル・スミスは「タンシュスポンデュ」＝「時を一時停止」して、また優れた作品と共に戻ってきてほしい。