モダンセンスと実用機能の理想的両立。オメガ「コンステレーション マスター クロノメーター41mm」のポテンシャル

2022.04.18

オメガを代表する歴史あるモデルとして知られるコンステレーション。なかでも美観と機能性を追求した新型であるのが、「コンステレーション マスター クロノメーター41mm」だ。かつて高精度時計の代名詞として世界に知られたシリーズの最新作は、オメガの高い技術の結実であるコーアクシャル脱進機を搭載していることに加え、優れた耐磁性を備えたマスター クロノメーターであることが大きなポイント。その新世代定番時計をファッション系編集ライターの長谷川 剛が、着け心地やルックスにおけるポテンシャルにフォーカスし、独自の観点から探ってみた。

長谷川剛:文・写真
Text & Photograph by Tsuyoshi Hasegawa


かつてコンクールを制した正確時計の進化版

コンステレーション マスター クロノメーター41mm

オメガ「コンステレーション マスター クロノメーター41mm」
自動巻き(Cal.8900)。39石。2万5200振動/時。パワーリザーブ約60時間。SS×セラミックス(直径41mm)。50m防水。82万5000円(税込み)。

 機械式時計とその歴史にリスペクトを抱く者にとって、オメガのコンステレーションは憧れの尽きない1本である。時計の存在理由である精度を真面目に突き詰めたモデルとして、静かだが確かな矜持を感じさせるからだ。そもそもコンステレーションの源流は“正しく時を刻む時計”をテーマに、1952年にデビューを飾ったオメガ初の自動巻き時計にある。

 同年に参加した精度を競う世界最高峰の舞台である天文台コンクールにて、オメガが優秀な成績を収めたことに由来するコンステレーション。初出モデルから現在に至るまで、多種多様なデザインを経てきた同モデルであるが、文字盤6時位置に輝く星の装飾が、変わることなくかつての偉業を今に伝えている。

 そんな由緒正しい正確時計の最新型は、非常にすっきりモダンなデザイン。今回チョイスしたモデルがブラック文字盤にブラックセラミックベゼル、そしてブラックストラップを組み合わせたパッケージゆえに、ひときわ都会的なクールネスを感じさせるルックスとなっている。

 普段筆者はビンテージウォッチをアレコレ付け替えて楽しむ時計スタイルだが、その多くは30〜35mm径ケースといった、今日的には小径に属する手巻き式ばかり。今回インプレッションするこのコンステレーションは堂々の41mmケース。自動巻きモデルということもあって、初見ではケース厚にもちょっとした迫力を感じたのが正直なところ。

時計 大きさ比較

筆者のヘビロテ時計は1950年代を中心とした手巻き式。そういった古時計と比べると、同じ3針式でもフォルムにおいてかなり違いがあることが分かる。


扱いやすいバックルと優れた装着感のストラップ

 まず自分自身の腕に装着するに当たり、ベルトの長さ決めからスタートする。片開きのフォールディングバックルは、普段ビンテージの古式爪型バックルばかり常用している筆者にも、迷うことなく調整が行えた。留め金のロックも微力かつスムースに留め外しができて、現代モデルの利便性と完成度をのっけから印象づけることとなった。また、フォールディングバックルはシンプルな爪型に比べて厚みが出ることから、PC作業のタイピングなどに影響があるかと当初は考えられた。しかし実際にはバックルのロック部分は腕の中心から外れるため、装着しながらのPC作業も腕への干渉を気にすることなくこなすことができたのだった。

腕時計 タイピング

フォールディングバックルは、ロック部分が一番厚みを持つ。その部分が若干外側にずれるため、腕が必要以上に圧迫されることもない。

 いつも身に着けている時計よりも確実に大きく重く厚みあるケースでありながら、終始違和感を覚えさせなかったコンステレーション。それはケース形状もさることながら、恐らくベルトがなかなかに優秀であったからとも思われる。正面からはクロコダイルレザーを思わせる本機のストラップだが、実はラバーの裏張り仕様で、その厚みのほとんどはラバーが占めているように思われた。

コンステレーション ストラップ

ラグ接続部分が厚く、先端にいくほど薄くなるストラップ。表面にはクロコダイルレザーが張られているため、ルックスは飽くまでシックである。

 この極めてしなやかなストラップが、重量あるケースをしっかり保持しつつも、スタイビライザー(大きく振れることなくあるべき位置に戻す)の役割まで果しているように感じた。となると俄然気になるのが、そのゴム製ゆえの暑い日などに感じるベタつきだ。しかしストラップの内側を見ると筋彫りが丁寧に施されており(写真8618)、肌に密着せずある程度の通気性が考慮されているように思われた。

オメガ ストラップ裏

水平方向に筋状に凸凹を持つストラップ。恐らくベタッと肌に密着させないための工夫か。


時刻合わせもスムースかつ確実に

 もちろんケースフォルムにも見るべきポイントがある。4つ爪のラグを持たないケースは細めの筆者の腕に引っ掛かることなく自然に載る印象だ。また以前には厚みあるダイバーズケースも経験している筆者だが、その時はテーブルの端や壁の角などに風防をかすらせることが多々あったもの。しかし、このコンステレーションは2週間の装着の間、そういった経験を得ることはなかった。つまり厚みはあるものの、厚すぎではないということだ。

 次にリュウズによる時刻合わせだが、1段引きにて時針を調整できることを前もって知らずにいたので、これは驚きつつも改めて便利だと感じた。そして2段引きで分針の調整。ガタもなくきっちり狙った時刻に合わせられる。地味なことだが非常に建て付けの良さが感じられた。だが、リュウズはケースサイズに合った大きさであるものの、外側に向ってややテーパードした形状。完全に潤いある指先ならば問題ないが、少し乾燥気味だと滑りがちで摘みにくさを感じるかも知れない。