世界最大の時計見本市「ウォッチズ&ワンダーズ」が2022年は3月30日から4月5日まで開催された。ブランドの中には最終日を前に新作が完売したところもあったという。
「このイベントのためにジュネーブを訪れた約1000人のジャーナリストを含む約2万2000人が来場し、3万泊以上の宿泊を伴い、今年のサロンは成功裡に終了した。19の新規参加を含む38の出展ブランドのおかげで、今回のサロンは非常にダイナミックな反応を巻き起こした」とウォッチズ&ワンダーズ事務局はその手応えを述べている。
今回はこのイベントに参加したWatchTimeチームより、SNS担当のザビーネ・ツェットラー(コントリビューティング・エディター)、ロジャー・ルーガー(編集長)、マーティン・グリーン(フリーエディター)の3名に14の質問に答えてもらった。
2022年4月26日掲載記事
一言で表わすと、今回のウォッチズ&ワンダーズはどのようなものでしたか?
ロジャー・ルーガー : SIHHやこれまでのウォッチズ&ワンダーズを引き継ぐものとして価値あるものだったでしょう。多くの出展ブランドが強い創造的なアイデアに基づく斬新な作品を発表したと感じました。
ザビーネ・ツェットラー : 各ブランドがすべての成果を披露し、技術の到達点と素晴らしい職人技を見せていました。
マーティン・グリーン : すべてのブランドが自らの持つ最高のものを披露し、あるいはそれ以上を展開するブランドもありました。さらなる完成度を追い求めることが確認できる精緻な技の饗宴でした。
2022年の主要トレンドは?
ザビーネ・ツェットラー : GMT、ミニッツリピーター、そしてスポーツ分野ではダイバーズウォッチでしょう。クロノグラフは思ったほどではありませんでした。
マーティン・グリーン : 「世界は思いのまま」といいますか、ひとつまたは複数のタイムゾーンを備えた時計が多かったようです。他に目立ったのは虹のような色彩の採用ですね。1点の時計にそれぞれを結び付けているものもありました。
ロジャー・ルーガー : 確かに。この2年における渡航制限の影響があったかは分かりませんが、どこに行ってもGMTウォッチはありました。アストロノミカルウォッチや、カラーバリエーションも怪しいほど多く展開されていました。
今回の展示会で皆さん自身のベストは?
ザビーネ・ツェットラー : 戸惑うようなムーブメントの形状を備えた、カルティエの「マス ミステリユーズ」ですね。
マーティン・グリーン : ひとつだけ挙げるのは非常に難しいところですが、しいて言えばパルミジャーニの「トンダ PF GMT ラトラパンテ」です。
ロジャー・ルーガー : 確かに「トンダ PF GMT ラトラパンテ」は素晴らしかったですね。またヴァシュロン・コンスタンタンは全般的にとても印象的でした。ブランドとしての伝統、、製品のコミュニケーション、そして今年の新作に至るまで一貫性が見られました。ヴァシュロン・コンスタンタンとしては過去最高ではないかと思います。
驚きのあったモデルは何ですか?
ザビーネ・ツェットラー : モンブランの「モンブラン 1858 アイスシー オートマティック デイト」です。
マーティン・グリーン : ウブロの「スクエア・バン ウニコ」には驚きました。サントスに似ていると思ったのですが、ここ数年で最も着け心地の良いオーバーサイズウォッチに仕上がっていました。
ロジャー・ルーガー : ロレックスのレフティ向け「オイスター パーペチュアル GMTマスターⅡ」は誰も予想していませんでした。グランドセイコー「Kodo(鼓動) コンスタントフォース・トゥールビヨン」Ref.SLGT003を手に取って見られるとも思っていませんでした。
珍しい素材を採用した時計には何がありましたか?
ザビーネ・ツェットラー : 希少な貴金属であるオスミウムを文字盤に採用したチャペックの「アンタークティック フローズン・スター S」です。
マーティン・グリーン : ザビーネと同意見で、チャペックの「アンタークティック フローズン・スター S」です。
ロジャー・ルーガー : 素材のせいで、という訳ではありませんが、H.モーザーの「ストリームライナー・フライバック クロノグラフ “Blacker Than Black”」を見るのには時間をかけました。
トラベルウォッチのお気に入りは?
ザビーネ・ツェットラー : パルミジャーニ・フルリエの「トンダ PF GMT ラトラパンテ」。
マーティン・グリーン : 同じくパルミジャーニ・フルリエの「トンダ PF GMT ラトラパンテ」です。
ロジャー・ルーガー : もうひとつ候補を挙げるとすれば、趣向を変えてパテック フィリップの「年次カレンダー・トラベルタイム」5326を。
では、お気に入りだったダイバーズウォッチは?
ロジャー・ルーガー : 今回はロレックスとチューダーがGMTウォッチに注力していましたし、他の出展ブランドも従来ダイバーズウォッチのラインナップをあまり多く展開するものではありません。しかしタグ・ホイヤーの「アクアレーサー プロフェッショナル1000スーパーダイバー」はふんだんな技術力とムーブメントの選択の両面において興味いものでした。
ザビーネ・ツェットラー : モンブランの「モンブラン 1858 アイスシー オートマティック デイト」です。
マーティン・グリーン : タグ・ホイヤーの「アクアレーサー プロフェッショナル 300 オレンジダイバー」です。
お気に入りのクロノグラフウォッチは?
マーティン・グリーン : アンジェラスの「クロノデイト チタニウム」です。
ロジャー・ルーガー : 最初はモンブランの「モンブラン 1858 ジオスフェール クロノグラフ ゼロ オキシジェン リミテッドエディション 290」と思っていましたが、実機を見た時にちょっと厚みがある(17.1mm)と思いましたので、「モンブラン 1858 ミネルバ モノプッシャー クロノグラフ レッドアロー リミテッド エディション 88」とします。
レディースウォッチではいかがですか?
ザビーネ・ツェットラー : シャネルの「J12」は良かったです。
マーティン・グリーン : ヴァン クリーフ&アーペル「レディ アーペル ユール フローラル」です。
ロジャー・ルーガー : ジャガー・ルクルトの「ダズリング・ランデブー・スター」です。
コンプリケーションウォッチで好きだったものは?
ザビーネ・ツェットラー : パテック フィリップ「年次カレンダー・トラベルタイム」5326です。
マーティン・グリーン : ジャガー・ルクルトの「ポラリス・パーペチュアルカレンダー」です。
ロジャー・ルーガー : 確かに「ポラリス・パーペチュアルカレンダー」は良かったですね。私からは、そのシンプリシティが印象的だったショパールの「L.U.C ストライク ワン」を。
今年のアストロノミカルウォッチはどうでしたか?
ザビーネ・ツェットラー : ジャガー・ルクルトの「マスター・ハイブリス・アーティスティカ キャリバー945」を挙げたいです。
マーティン・グリーン : ユリス・ナルダンの「ブラスト ムーンストラック」です。
ロジャー・ルーガー : 私も同じです。加えてヴァン クリーフ&アーペルの「エクストラ オーディナリー オブジェ オートマタ プラネタリウム」も挙げておきたいです。
最も印象的だったインタビューは?
マーティン・グリーン : IWCミュージアムのキュレーターを務めるデビッド・セイファーに行ったものです。お互いに歴史と車に興味があるので、彼とのインタビューはいつもこのあたりの話題で盛り上がります。
ロジャー・ルーガー : ショパールの共同社長カール-フリードリッヒ・ショイフレに行った、L.U.C25周年についてのインタビューです。そしてA.ランゲ&ゾーネの商品開発ディレクターのアントニー・デ・ハスが完璧なスイス系ドイツ語で話してくれたインタビューも記憶に残りそうです。
2023年にこの展示会に参加する方に何かアドバイスがあれば。
マーティン・グリーン : スケジュールを事前に整理することですね。見るものがすごく多く、話をする相手も多いので、すべてをこなすにはスケジュール管理が重要です。
ロジャー・ルーガー : 履きやすい靴とできるだけ長く会場にいること、そしてしっかり睡眠を取ることです。
(金額を気にせず)ひとつ手に入れられるとすれば、どれを持ち帰りたかったですか?
ザビーネ・ツェットラー : A.ランゲ&ゾーネの「リヒャルト・ランゲ・ミニッツリピーター」です。
マーティン・グリーン : ロレックスのプラチナモデル、「オイスター パーペチュアル デイデイト 40」ですね。なぜかというと、私にとってこの後の人生、毎日着用できて、なおかつ後悔しない時計だと思うからです。
ロジャー・ルーガー : 面白いことに普段はローズやイエローゴールド製の時計はあまり好みではないのですが、18Kイエローゴールドのヴァシュロン・コンスタンタン「ヒストリーク 222」でした。究極の選択なので、家に帰る電車ではパテック フィリップの「年次カレンダー・トラベルタイム」5326を着けていたいです。
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