ドイツ、ミュンヘンで行われる国際宝飾・時計見本市のインホルゲンタが2022年4月8日から11日まで開催された。DACHマーケット、つまりドイツ、オーストリア、スイスにおいて重要なこの見本市で、約800社が新作を発表した。
インホルゲンタはジュエリーやデザインのデビューの場としてよく知られているが、近年は時計についても重要性を増してきている。
今回出展した主なブランドにはシチズン、アルピナとフレデリック・コンスタント、チュチマ、マイスタージンガーなどが見られたが、今回はその中よりジン、ユンハンス、ミューレ グラスヒュッテからここでデビューを果たした3モデルを紹介したい。
Text by Sabine Zwettler
2022年5月3日掲載記事
ジン「EZM1.1S」
フランクフルトを拠点とするジンは、2022年にミッションタイマー25周年を迎える。ドイツ語でミッション タイムキーパーを意味する略語を用いたEZMは、元々はドイツ連邦警察や税関の特殊部隊向けに開発された。現在も救急医療班、レスキュー隊員、パイロット、ダイバーなど多くの専門職のために製作され、ツールウォッチの愛好家の間でも人気が高い。
EZM1.1Sは、そのアニバーサリーモデルとして、コレクションの特徴である計器のようなデザインと堅牢性を表現している。最優先にされたのは、厳しい環境下でも一瞥しただけで時刻を判読できる並外れた視認性だ。そのためEZM1.1Sにはジンのクロノグラフムーブメント、SZ01が搭載されている。この自動巻きムーブメントは、定評のあるコンセプト社のC99001をベースにしており、クロノグラフの60分積算計の針がセンターに配置されていることで、より簡単に、素早く正確な時間計測を可能としている。このEZM1.1Sが持つふたつの大きな特徴は、積算計が1回の針の動きで通常の30分ではなく60分を計測するという点と、積算計がスモールダイアルではなく文字盤外周の目盛りで読み取るため見やすいという点だ。クロノグラフでありながらスモールダイアルがひとつもなく、秒と分積算計に特化したデザインとなっている。また特殊結合方式により固定された両方向回転式のベゼルはネジ留めで固定され、外れないように設計されている。
直径43mmのステンレススティールケースには、ブラックPVDとサンドマット仕上げが施され、テギメント加工で硬化し、20気圧防水となっている。Arドライテクノロジーも採用して風防の曇りを防ぎ、また低圧に耐え、4800A/mの耐磁性も保持している。
ミューレ グラスヒュッテ「トゥエンティナイナー ビッグ」
グラスヒュッテに1845年創業した伝統あるブランド、ミューレ グラスヒュッテは、「トゥエンティナイナー(29er) ビッグ」の新しい解釈で航海に乗り出した。小型ヨットの名を冠するこの時計は、水上や陸上での冒険のためにデザインされたものだ。ステンレススティール製ケースは100mの防水性能を持ち、弾力性のあるキャンバスストラップを装備している。自動巻きムーブメントはSW200-1をベースにしたもので、カスタマイズされたローターと、ブランドが独自に特許を取得した衝撃吸収を実現するウッドペッカー・ネック・レギュレーターを備えてる。このムーブメントはクロノメーター規格に準拠し、日差0から+8秒の精度を実現している。新作にはフランジ部分などにダークグレーカラーが採用され、視認性を高めている。
ユンハンス「1972 コンペティション」
ユンハンスは黒い森の東にあるシュランベルクで1861年に設立されたブランドだ。ユンハンスのスポーツにおける時間計測がピークに達した1972年、このブランドはスポーティーな腕時計を発表し、その特徴的なモデルはすぐにコレクターズアイテムとなった。その歴史に敬意を表し、ユンハンスはこの往年の名作に息吹を吹き込み、正統なリメイクモデルを世に送り出した。楕円形のケース、ストップウォッチに見立てたプッシュボタンとリュウズの配置など、「1972 コンペティション」はオリジナルに忠実なモデルとなっている。積算計とタキメータースケールは鮮やかなオレンジ色で、セリタSW510をベースとする自社製自動巻きクロノグラフのダイナミックなデザインを個性的なものとしている。
ステンレススティール製のケースは縦41.0mm、横45.5mmの横長楕円形で、10気圧の防水性能を備える。発売は2022年7月を予定しており、世界で限定1972本が製造される。
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