『クロノス日本版』の編集部員3人が話題モデルをインプレッションし、語り合う連載。今回は、編集長の広田雅将と副編集長の鈴木幸也、そして新人の土井康希の3人で、オシアナス「OCW-T4000C-3AJF」を好き勝手に論評する。
阿形美子:文 Text by Yoshiko Agata
2022年5月6日公開記事
ブルーとグリーンを独自に掛け合わせたダイアルカラー
ワールドタイム機能、ホームタイムの都市入れ替え、フルオートカレンダー、Bluetooth®︎でのモバイルリンクなどを備えた多機能コネクテッドウォッチ。地板の両側から着色したブルーグリーン文字盤が特徴。タフソーラー。フル充電時約20カ月(パワーセーブ時)。Ti(直径42.8mm、厚さ11.9mm)。10気圧防水。11万5500円(税込み)。
鈴木さて、今回はオシアナスの「OCW-T4000C-3AJF」ですね。前回の「OCW-T200S-3AJF」に引き続きグリーンダイアルですが、これは凝ったカラーリングですね。
土井ポリカーボネートの文字盤の上面にブルーを蒸着して、裏からグリーンを印刷しているそうです。グリーンとブルーの中間のような色で、光の加減で結構色合いが変わって見えますね。
鈴木蒸着面から印刷面が透けて見える構造で、カシオらしい試みだと思います。
広田ポリカーボネートを使っているってことは、ダイアル全体で発電してます?
鈴木いや、インダイアルのみのようです。
広田ということは、ソーラーセルで色を濁らせないようにしたのか。そこまでして発色を良くしたかったってことですよね。“色をきれいに出す”という意図が明確で、セルが透けないからソーラー文字盤の悲しさもないです。
カシオのポリ成形技術を駆使した文字盤に注目
鈴木でも、インダイアル発電なら、どうして地板に金属を使わなかったのかな?
広田うーん、多分、カシオにはまだ文字盤を金属で作る技術が整っていないんだと思います。
鈴木あ、なるほど。逆にね。
広田そもそもカシオって時計業界に進出した時に、新興メーカーだから金属製のケースを使わせてもらえない事情があり、G-SHOCKみたいなプラ時計を作った。その流れで、プラ成型の技術をすごく蓄えているんです。
鈴木そこからG-SHOCKもオシアナスも金属ケースを使えるところまで成長したんですもんね。
広田僕は以前、山形カシオに取材に行ってプラ成型現場を見たんですけど、凄いですよ。あれだけプラ成型をちゃんとやってる工場って、多分そんなにないと思います。
土井このモデルは、インデックスやインダイアルの枠もプラスティックです。
広田インデックスもプラ? すごいな。言われないと分からないくらいに、金属と遜色がない。カシオはプラ成型の金型の精度をすごく高めていて、一番安いG-SHOCKなんか見ても、金型が以前よりも明らかに良くなっているから。金型の上下を噛ませた時に出るラインのことをパーティングラインって言うんですけど、それがすごく目立たなくなった。