これまでパールといえば格式のある席にふさわしい女性のためのジュエリーという印象だった。ところがここ数年は気軽に身に着けている男性も見かける。そこでMIKIMOTOが展開するジェンダーレスなパールジュエリーに注目したい。
吉江正倫:写真 Photograph by Masanori Yoshie
[クロノス日本版 2022年5月号掲載記事]
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黒蝶真珠を用いることでシックな印象が際立つジュエリー。ネックレスのシルバー部分には「Japanned Noir」と呼ばれるブラックロジウム加工を施し、ブラックの魅力を高めている。伸縮性があり、滑らせるように着けることのできるブレスレットには真円ではなくオーバルの黒蝶真珠を用いることで、モードな雰囲気に。「PASSIONOIR」ネックレス。黒蝶真珠。銀製。全長約55cm。66万円。「PASSIONOIR/TALISMAN GLIDE(タリスマン グライド)」ブレスレット。黒蝶真珠。銀製。全長約20cm。50万6000円(税込み)。
大人の男にふさわしい、黒のパールジュエリー
パールのネックレスといえば、オフィシャルな場面で女性が着けるジュエリーといった印象が強い。各国のロイヤルたちもフォーマルなシーンでは、しばしばパールネックレスを愛用している。ところがここ数年、パールジュエリーは男性がカジュアルに着けるアイテムのひとつとして注目されている。世界中にファンを持つMIKIMOTO(ミキモト)が手掛けるのは女性に向けたジュエリーだけではない。例えばコム デ ギャルソンとのコラボレートとなるモダンなパールネックレスを発表したり、さらに最近では新作「PASSIONOIR(パッショノワール)」など、男性も気軽に着けられるようなジェンダーレスな魅力のコレクションを展開したりしている。
白いパールは柔和で優しいイメージがあるが、この新作コレクション「PASSIONOIR」ではあえて黒蝶真珠とブラックロジウム加工を施したシルバーを組み合わせることで、男性が秘める“至高の黒 無限の情熱”を表現している。ここに紹介するのはブレスレットとネックレスだが、ほかにもイヤーカフやペンダントなどもあり、アイテムも豊富だ。
コーディネートはブラックパールを活かすために、ハイゲージニットやジャケットなどの黒で統一した装いが美しいと思うのだが、普段着ているスウェットフードプルオーバーといったカジュアルウェアに着けても面白い。カジュアルなストリートスタイルにも似合ってしまうのが、このコレクションの魅力だ。
ジュエリーは消費するものではなく、継承していくもの。だからこそ、その取り扱いには少し注意したい。パールは汗や水、化粧品に長く触れることを好まない。なので使用後は、柔らかな布で汚れを拭き取るなど、日々のお手入れが大切となる。
少し扱いに気を使うジュエリーという点も、包容力のある大人の男性にふさわしいワンランク上のアクセサリーと言えるだろう。
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