ピアジェ新CEOのバンジャマン・コマー。カルティエ、シャネル、レポシのハイジュエリー部門に成功をもたらしてきた彼は、時計メーカーでもあるピアジェをどう牽引していくのだろうか?
[クロノス日本版 2022年5月号掲載記事]
私たちの強みは洗練とエレガンス、そしてエクストラエレガンザ
1969年、フランス生まれ。ピアジェCEO。1992年、カルティエでキャリアをスタートした後、シャネルのハイジュエリー部門で責任者としてラインナップを大幅に拡充した。その手腕を買われて、2017年からレポシCEOに就任。2021年6月より現職。中国にフォーカスしていたビジネスをローカルに転換させることに成功。これまで各社でアイコニックなジュエリーを創り上げてきた彼は、ピアジェが手掛けてきた往年の傑作に注目している。
「ジュエリー部門は大変に好調です。時計とファインジュエリーのバランスは大事ですね。時計に関して言うと、ピアジェは薄さだけではなく、さまざまなセグメントに展開をしていく予定です。コンペティターに対しては、尊重はしますが、恐れる必要はないでしょう。競合はむしろ私たちの限界を広げてくれます」。就任したばかりの彼に将来の計画を聞くのは難しいとしても、彼はそのヒントを与えてくれた。
「ピアジェの価値観の源泉は洗練とエレガンス。これまでジュウ渓谷でとてもエレガントな時計を作ってきました。そして、私たちはエクストラバガンザ(様式や構造にとらわれずに自由であること)でもあります。ハードストーン文字盤の時計などがそうですね。ですから、私たちは他にはない強さを〝エクストラエレガンザ〞という造語で表現しています」。エクストラエレガンザ、日本語で言うと、限りなく自由でエレガント、だろうか。そんなピアジェの時計部門を牽引するのは言うまでもなく、スポーティーウォッチのピアジェ ポロだ。
「ポロはピアジェ初のスポーツウォッチであり、非常に強い、完全なラインですね。ベスト・オブ・ピアジェだと思っています。ステンレスだけでなく、ゴールドもあり、スケルトンモデルも、男性用も女性用もあります。ですが、これは完成形ではなく、毎年新製品を増やしていきます」
男性用のジュエリーウォッチが注目を集めつつある現在、ピアジェはこのジャンルに本格参入する予定はあるのだろうか?
「ジュエリーと時計を融合させたセグメントは、ピアジェにとって興味深いものです。もっとも私たちには、すでにポセションというコレクションがあり、昨年の9月には、ポセションのジュエリーウォッチを作りました。ただし、特別なラインを立ち上げるかは未定です」
興味深いのは、オンラインセールスへの考え方だ。詳細は教えてもらえなかったが、彼は明確な考えを持っているようだ。
「オンラインとはフリーダムだと思います。日本にいたとき、コンビニエンスストアの隣に自動販売機がありました。レジでも買えるし、自販機でも買えるというのはフリーダムでしょう? しかし、オンラインの場合、オフラインと同じレベルを提供する必要があると思っています。ではどうするのか? 顧客からのフィードバックを受け、オープンにディスカッションしていくしかないと思っています」
ヒット作のピアジェ ポロ スケルトンのケースとブレスレット、リュウズに合計1747個ものダイヤモンドをあしらったピアジェならではのモデル。ダイヤモンドのセッティングだけで61時間以上を要する。Cal.1200Pをスケルトン化した1200S1を搭載。耐磁性能の改善により実用性を高めている。自動巻き(Cal.1200S1)。25石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約44時間。18KWG(直径42mm、厚さ7.35mm)。30m防水。予価2838万円(税込み)。
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