Q:時計通が言う「クロノグラフはコラムホイール式を選べ」って本当に正しいの?
時計好きはクロノグラフを購入する際、コラムホイール式なのかカム式なのかを気にするとよく言います。もちろん、どちらでもクロノグラフを動かすことはできているわけですが、ではコラムホイールとカムに優越はあるのでしょうか?
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A:細かい制御が可能なコラムホイールと安価に作れるカム
ストップウォッチの付いた時計のことをクロノグラフといいます。機械式時計の場合、ストップウォッチを制御する方法はふたつあります。クロノグラフをスタート/ストップさせるために、円柱状の「司令塔」が回転するコラムホイール式と、板状の部品が左右に動くカム式です。
現在、いわゆる高級とされる機械式クロノグラフのほとんどすべてが、コラムホイールを採用しています。一方、カム式を採用するのは、自動巻きクロノグラフの定番であるETA7750(とその代替ムーブメント)、「スピードマスター」シリーズが載せるオメガのCal.3861、Cal.1861ぐらいしかありません。
円柱状の部品が回転するコラムホイール式は、レバーの動きを細かく制御できるのが特徴です。しかしその半面、製造コストはかかります。対してカム式はコラムホイール式の反対です。安価に作れますが、制御が大雑把なため、クロノグラフをしっかり止めるブレーキレバーを加えるのが難しいとされていました。結果、ブレーキレバーがないクロノグラフは、強いショックを受けると、クロノグラフが動いてしまいます。かつてのカム式が安物とみなされた理由は、ここにあります。
現在はコラムホイールとカムで優越なし
しかし今や、コラムホイールのほうが優れている、とは限らないのです。オメガは1968年にカム式でありながらも、ブレーキレバーを備えたCal.861をスピードマスターに搭載しました。73年発表のETA7750もカム式でしたが、きちんとしたブレーキレバーが備わっていました。現在では、コラムホイールとカム式の間に、機構的なメリット・デメリットはないと言ってよいでしょう。
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