時計業界の伝説、ジャン-クロード・ビバーがノルケインの取締役に就任! その経緯をブランドCEOが語る

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2022.06.10

ブランパンの再興やウブロ「ビッグ・バン」のプロデュースなど輝かしい功績を数多く残し、今や時計業界の伝説とも言える存在になったジャン-クロード・ビバー。そんな彼が2022年6月にノルケインの顧問に就任した。なぜビバーはノルケインに参加したのか? その理由を同ブランドCEOが語った。

広田雅将(クロノス日本版):取材・文
Text by Masayuki Hirota (Chronos-Japan)

ジャン-クロード・ビバー

JCビバー創業者。1949年ルクセンブルグ生まれ。オーデマ ピゲを経てASUAGグループ(現スウォッチ グループ)入社。82年にブランパンを再興した後、2004年、ウブロCEOに就任。フュージョンをコンセプトに、2年で売り上げを4倍にまで拡大させた。14年LVMHグループウォッチ部門のプレジデントに就任。22年1月に、自身の名を冠したJCビバーを創業した。


ビバーはなぜノルケインの顧問になったのか?

 ジャン-クロード・ビバーと言えば、時計業界を代表する伝説のひとりだ。オーデマ ピゲに勤めた彼は、後にブランパンを再興し、オメガに新しいマーケティング戦略を持ち込んだ。そして、ウブロのCEOに就任するや、同社をたちまちスイスきっての高級メーカーとして復活させた。その彼が、2022年の6月に、創業5年目の若い時計メーカー、ノルケインの顧問に就任したというのだ。なぜ、ビバーはノルケインを新しいパートナーに選んだのか? 理由を答えてくれたのは、ノルケインCEOのベン・カッファーだ。

ノルケインのスピリットを気に入ったビバー

「スイスの若い起業家を応援する人から、ビバーがノルケインのスピリットを好きだ、と話しているのを聞いた。短い時間に成功したのはすごいとね。そのあと2020年のイースターに彼が会社に来た。最初のロックダウン時、4月だったね。その時のビバーは完全にフリーで、LVMH時計部門の社長を辞めていた。ビバーと話していると、突然ノルケインの話になった。若い人たちが会社を起こした、それは独立企業で、家族経営だ。あなたは良いベースを持っているが、イノベーション、そして破壊をすべき、と彼は言ったんだ」

 イノベーションと破壊をしろとは、いかにもビバーらしいアドバイスではないか。

「彼はノウハウも、品質も知っている。であれば、破壊をするのに完全なタイミングだと思ったよ。私たちは若いチームで、短い時間に色々やろうとしてきた。でもメンターが必要だった。ビバーも若い人たちに色々教えたがっていたが、今のスイスに新しいブランドはほとんどない。どれも伝統、伝統、伝統だ! ビバーは全く別の考えを持つ人だし、新しいノルケインはそのひとつだった。それで彼をメンターに迎えたいと思ったんだ」

ジャン-クロード・ビバー ベン・カッファー

ノルケインの顧問に就任したジャン-クロード・ビバー(左)とノルケインCEOのベン・カッファー(右)。両者は2020年頃から交流を深めていった。


ブティック戦略やプロダクトに対する具体的なアドバイスも

 カッファーはビバーからどんなアドバイスを得たのか?

「ラッキーなことに、この2年で、私たちは頻繁に話し合っている。最初のキーアドバイスは製品だった。新しい素材、革新、プロダクト、新しいこと、これが最初の大きな助言だったね。次は、ハイクオリティーの良いベースがあるなら、イノベーションとユニークであること、違うことだった。他にもいろいろなアドバイスを受けたよ。ノルケインのブティックをシンガポールに作る際、ビバーに電話をかけてどう思うかと聞いたんだ。彼は『そうすべきだ、シンガポール、日本、アメリカ、他にも戦略的に重要な場所に作るべきだ』と。その際は、強いリテーラーと共同して、ブティックを作るべきだと。こういったアドバイスはすべて意味があったね」

ノルケイン ブティック

2018年設立のノルケインは、スイスのビール/ビエンヌにある完全に独立した家族経営の機械式時計メーカーである。アドベンチャー、フリーダム、インディペンデンスの3つのコレクションは、すべて機械式ムーブメントを搭載している。また20年には、ムーブメントメーカーのケニッシ社と共同で製造したふたつのマニュファクチュールキャリバーを発表した。21年12月には、ノルケイン初のフラッグシップショップを、スイスのツェルマットにオープンした。

 カッファーは話を続ける。

「レザーも同様だ。私たちは今後、プロダクトにレザーを使わない予定だ。対してビバーは、それは正しい決定だと言ってくれた。『エルメスでさえマッシュルームのハンドバッグを作っているのだ、君もそうすべきだ』と。今や、色んなブランドが動物性の製品に対する新しいソリューションを探している。ノルケインがその最初のブランドになれば、トレンドセッターになれるだろうと」

 もっとも、ビバーは基本的にプロダクトの人だ。

「彼は天才だと思うよ。プロダクトの人ではないが、プロダクトに強いのは事実だ。ではクールを目指す私たちは、製品をどうすべきかと彼に尋ねた。ビバーの答えは“山(Mountain)”だったね。来年発表する時計は、今までにないものになるだろうし、それは私たちが何をしているか、の帰結になるだろう、今年の9月には新しいコレクションをリリースする予定だ。名前は『ワイルドワン』。新しいコンセプトにフィットした、完璧な名前だよ。これは今までの時計とは完全に違うもので、私達の情熱とノウハウ、そして高い品質とイノベーションを見せるものだ」

 そのヒントを教えて欲しい。

「ものすごく頑強で軽くて、完全なスポーツウォッチだ。デザイン、ユニークなキャラクターで、ワイルドワンという名前を体現したものになるだろう」


Contact info: ノルケインジャパン Tel.03-6864-3876


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