フランス・ルイ15世へと贈られ、ヴェルサイユ宮殿の一角を彩り続けた、クロード-シメオン・パッスマン製作の天文表示付き振り子時計。老朽化の進んでいたこの歴史的傑作時計がこのたび、ロレックス・フランスのメセナ活動によって、修復作業が行われることとなった。
2022年6月15日掲載記事
国王の機械技師であったパッスマン製作の天文表示付き振り子時計
2018年からロレックス・フランスはヴェルサイユ宮殿の"王の角部屋"の修復にメセナとして参加している。そしてこの度、クロード-シメオン・パッスマンが製作した天文表示付き振り子時計の修復支援が行われることになった。
このパッスマンの振り子時計は、一部分が分解された後、ヴェルサイユ宮殿から国立のフランス美術館修復研究センターの工房へと移送され、特別な修復の第一段階へと進んだ。
全体としては2年の歳月をかけ、12人の修復専門家や、各分野における最高峰の科学的専門家集団が修復に取り組む予定である。これを実現したのがロレックス・フランスによるメセナ活動だ。この重要な振り子時計の根本的な修復は、今回が初めての試みである。
この振り子時計は、国王の機械技師であったパッスマンが設計し、約30年をかけて製作された。機械部分の製作は時計職人のルイ・ドォティオウが手掛け、金メッキが施されたブロンズのケースはジャック・カッフィエーリとその息子フィリップ2世が手掛けたものである。1749年に王立科学アカデミーの検査で承認されたこの時計は、1754年にヴェルサイユ宮殿に設置されるや、その素晴らしさはすぐに知れわたった。ロココ様式の傑作と呼べる振り子時計だ。
2022年3月24日から、最高の専門家を集めた学際的な科学委員会の指導のもと、パッスマンの振り子時計に対する研究が行われ、完全な修復を目指した作業が開始されている。
ケースは金メッキのブロンズによる装飾をはじめ真鍮、ステンレススティール、銅などの金属類で作られており、エナメル装飾も施されている。素晴らしく華やかなものではあるが、現在はホコリにまみれている。機構面では、老朽化による摩耗が激しく、現在多くの表示が機能不全を起こしている。故障の可能性もはらんでいる。打刻機能も作動しないが、これも修復される予定だ。
初めて行われる修復では、ムーブメントの完全分解、洗浄、分析を経て再組み立てへと進む。この特別な修復によって、歴史的にも重要なパッスマンの振り子時計はルイ15世統治時代の輝きを取り戻し、往時のように再び動き出すことであろう。
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