干場義雅に聞く、クストス着けこなし術。時計に使われる色を拾ってコーディネートせよ!

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2022.06.20

腕時計も装いの一部。したがってシーンやファッションによって、着用する腕時計も変わってくる。では複雑時計のような時計単体が強い個性を放つ場合はどんな点に注意してコーディネートするべきなのか? 『FORZA STYLE』干場義雅編集長がその極意を語る。キーワードは時計に使用される色だ。

吉江正倫:写真
Photographs by Masanori Yoshie
細田雄人(クロノス日本版):取材・文
Text by Yuto Hosoda(Chronos-Japan)
2022年6月20日掲載記事

干場義雅

干場義雅
『FORZA STYLE』編集長兼ファッションディレクター。男性誌のモデルやBEAMSでの販売員、『エスクァイア 日本版』や『LEON』『OCEANS』等、男性誌での編集などを経て、2015年より現職。「ファッションで人生を豊かに」をスローガンに、さまざまな媒体・イベントでファションに関する自身の知見を発信する。『クロノス日本版』とは創刊時にファッションページの連載を持つなど、実はなじみの深い関係。


干場義雅流ハイコンプリケーションの着けこなしとは?

 時計愛好家の中には、ファッションに応じて着ける腕時計を替える人も多いだろう。しかし複雑時計やカラフルなモデルなど、それ自体の個性が強い時計を着用する場合、コーディネートの難易度は一気に上がる。こういった時、一体どんなことを心掛けるべきなのだろうか?

 今回はこの難題を解決すべく、『FORZA STYLE』のファッションディレクターでもある干場義雅編集長に『クロノス日本版』広田雅将編集長がインタビュー。その一部始終を対談形式でお届けする。

広田雅将(以下広田):クストスの「チャレンジ シーライナー ダブル トゥールビヨン」のような複雑時計って、僕らのような時計オタクからすると「とにかくなんでもいいから着けちゃえ」となりがちです。ただ、実際のところ、こういったスポーティーな複雑時計を着ける際って、どういったシチュエーション、服装で着けるものなんでしょう? 干場さん、どう着けたらかっこいいですかね?

チャレンジ シーライナー ダブル トゥールビヨン

クストス「チャレンジ シーライナー ダブル トゥールビヨン」
ダブルトゥールビヨンを搭載するハイコンプリケーションモデル。4つの香箱から得た大きな動力をセラミックベアリングを用いたディファレンシャルギアを介することで、ふたつのトゥールビヨンキャリッジに伝達し、2万8800振動/時のハイビートを実現した。手巻き(Cal.CVS8550)。55石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約60時間。18KRG(縦53.7mm×横41mm)。100m防水。2860万円(税込み)。

シンプルながらも良い素材と組み合わせることが大切

干場義雅(以下干場):複雑時計自体がアートピースのようなものなので、それ以外も印象の強いものにしてしまうと、それぞれが喧嘩してしまってあまり美しく見えないのです。なので、時計を際立たせるために他のものは引く。なるべくシンプルにしていく感じですね。

ただ、チャレンジ シーライナー ダブル トゥールビヨンの場合は高級感のある時計なので、シンプルながらも他のアイテムは素材の良いものが好ましいです。

干場義雅

時計を服の中になじませることで脱・一点豪華主義を

広田:私の友人にも“干場さんフリーク”がいるのですが、彼がオーデマ ピゲのハイエンドなモデルを着用する際は、そのような組み合わせをしていますね。

干場:もちろん白いTシャツとブルージーンズでもかっこいいと思うんですけど、クストスのような高級機械式時計の世界観に少しでもファッションを寄せてあげると、さらにスタイルがグレードアップするんじゃないかな。あとは時計に使われている色、例えばこの時計だとサックスブルーとピンクゴールドと白とネイビー。使われている色をベースに服装を組み合わせるとコーディネートに統一感が出てくるんです。

広田:クストスの時計って色が多いから、僕らのような時計オタクだと、どんな服装なら時計に合うのだろうと思うのですが、使われている色を拾ってあげることが大切なんですね。

干場:そうです。それが時計とファッションを組み合わせる時のコーディネートのポイントになると思います。あとは時計が持っている世界観に合わせることも大切です。クストスのチャレンジ シーライナーコレクションだったら、船旅やクルージングなど、高級な世界観を持っています。そんな世界観に合うような、高級な世界観のファッションを合わせる。

チャレンジ シーライナー ダブル トゥールビヨン

広田:僕がいい例なんですが、時計オタクは時計さえ良い物だったら、服はどうでもいいとなりがちです。僕がコーディネートする際、意識すべきことってありますか?

干場:時計を服の中になじませてあげるという感覚ですね。その意識があれば一点豪華主義じゃなくなると思うんですよ。なじんできて、その人の中の一部になってくると思います。

広田:それこそが干場さんのスタイルなんですね。では、今回のチャレンジ シーライナー ダブル トゥールビヨンにはどんなコーディネートが合いますか?

干場:そうですね。今日着ているカシミヤのジャケットや白いコットンパンツとかは、クストスが持つ世界観にピッタリ合うと思います。「色合わせ」「素材合わせ」「世界観」が大切です。

広田:ダブル トゥールビヨンのような複雑で高価な時計を着けながら、一点豪華主義とはならないようにまとめていくのがかっこいいんですね。