2022年7月6日(水)、松坂屋名古屋店 北館の時計売り場が14年ぶりに改装され、「GENTA The Watch(ジェンタ ザ ウォッチ)」として生まれ変わった。時計売り場の床面積を約2倍に拡大し、品ぞろえが充実。ラグジュアリーかつ開放的な空間づくりを行うことで、より足を運びやすいフロアを目指した。
Text by Kouki Doi(Chronos-Japan)
2022年7月19日掲載記事
圧倒的な広さを誇る時計フロアが誕生
名古屋中心部は、東京・銀座や大阪・心斎橋に並ぶ“腕時計激戦区”だ。腕時計の需要が高まっているこの地域では、数年の間にさまざまなブランドのブティックがオープンし、百貨店や時計専門店がフロアを広げ、取り扱いブランドの強化を進めてきた。
そして今回、名古屋地区最大級の時計フロアが松坂屋名古屋店に誕生した。5フロアにわたって高感度な大人が求めるアイテムを取り扱う北館「GENTA(ジェンタ)」の5階がフルリニューアルし、「GENTA the Watch(ジェンタ ザ ウォッチ)」と改称。もともと展開していた時計フロアを約2倍の床面積に拡大し、実に14年ぶりの改装が行われた。
特に印象が変わったのは、時計売り場への“入りやすさ”だろう。約2倍の床面積になったことでフロア全体がゆったりとした印象になり、ラグジュアリーな雰囲気は残しつつも開放的で過ごしやすい空間づくりが行われている。このようなユーザーフレンドリーな設えは来店客の年齢層を広げ、オンラインサービスにも力を入れたことで、これまで中心だった40〜50代のみならず、20〜30代の若年層にとっても間口を広げてくれるはずだ。
では、実際に時計売り場はどう変わったのか? 新たなコンセプトのもとに初めて新設されたのは、フロア中心部に設けられた時計修理・メンテナンスカウンターと、その両端にあるパブリックスペースだ。「ライブリペアゾーン」と名付けられた時計修理工房は四方がガラス張りになっており、常駐する時計技師の作業風景をライブキッチンのように眺めることができる。この修理工房では、ストラップの交換やクォーツ時計の電池交換といった簡易的な作業が行われる。
床面積が増えたことに伴い、ひとつのブランドが占める売り場が広くなったが、それが最も著しいのは約3倍に拡大されたロレックスである。大きな窓から光が差し込み、開放的な空間が広がる。需要が高まるアフターサービス専用のカウンターも同様に拡大され、より落ち着いた空間の中でサービスを受けられるようになった。
また東海地区初となるA.ランゲ&ゾーネのブティックが進出したことにも注目だ。同ブランドによるブティック化は世界の主要都市で行われており、国内では松坂屋名古屋店が6店舗目となる。最新のコンセプトを取り入れたブティック内にはブランドの世界観が広がり、奥の商談スペースでくつろぎながら時計を選ぶことができる。
限定モデルも数多く用意
今回の時計売り場リニューアルに際して、店内には数多くの新作や稀少な限定モデルが並べられている。その中でも特に注目したいモデルを紹介しよう。
手巻き(Cal.AFP-TTR-3X)。65石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約48時間。18KWGケース(直径47mm、厚さ14mm)。3気圧防水。世界限定1本。1億8150万円(税込み)。
まず目を引いたのは、独立時計師アントワーヌ・プレジウソと彼の息子フローリオンが手掛けた「TTR3 ブルー イコライザー フリークエンシーズ」。1本のみ製作されたユニークピースである。
ひとつの回転ディスクに、3つのトゥールビヨンが機能するように配置された独自のメカニズムを搭載する。3つのキャリッジそれぞれが1分間に1回転し、さらに全体のディスクが10分間に1回転するという2重の回転により、ダイナミックな動きを楽しむことができる。
独立した3つのトゥールビヨンがディスク上に近接して配置されているため、「シンクロニズム」と呼ばれる現象によって共鳴し、自然と同じ周波数になるという。システム全体がひとつのレギュレーターとなり、正確な時を刻むというわけだ。
自動巻き(Cal.ホイヤー02T)。24石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約65時間。Tiケース(直径45mm)。100m防水。日本限定50本。266万7500円(税込み)。
次に紹介するのは、日本限定で50本のみ展開されるタグ・ホイヤーの2022年の新作「タグ・ホイヤー カレラ キャリバー ホイヤー02T トゥールビヨン クロノグラフ ジャパンリミテッドエディション」。複雑機構のひとつであるトゥールビヨンを搭載する人気作の特別仕様だ。
軽量なチタン製ケースにカーボンベゼルを組み合わせ、ブラックを基調とした本作。日本のカラーコードを彷彿とさせる力強いレッドを、アクセントカラーとしてトゥールビヨンのキャリッジとケースバックのサファイアクリスタルに採用している。また、ケースバックには日本限定50本を表すシリアルナンバーが記される。
年差±1秒光発電エコ・ドライブ(Cal.0100)。フル充電時約8カ月間駆動(パワーセーブ作動時)。18KYGケース(直径37.5mm、厚さ9.1mm)。5気圧防水。特定店限定50本。220万円(税込み)。
最後に紹介するのは、ザ・シチズンの「キャリバー 0100 高精度年差±1秒 エコ・ドライブ 限定モデル」だ。美しく磨かれた18Kイエローゴールド製のケースに、年差±1秒のエコ・ドライブムーブメント、キャリバー 0100を搭載した高級機である。
キャリバー0100は、電波塔や人工衛星から得られる時刻情報に頼ることなく、時計内部の自律した機構だけで、年差±1秒という極めて高い精度で駆動する。また、高知県保護無形文化財にも指定されている伝統工芸の「土佐清帳紙(とさせいちょうし)」を採用した文字盤も特徴で、和紙ならではの柔らかな風合いを味わうことができる。
強化されたオウンドメディア
今回リニューアルされたのはリアルの時計売り場だけでなく、松坂屋名古屋店が運営する時計ウェブサイトも強化された。これまでの「Watch Master」から、こちらも「GENTA the Watch」に改称され、単なる店舗と時計の紹介だけにとどまらない専門サイトに生まれ変わった。
大きな変化は、時計ファンに向けて日々発信されるウェブマガジンの展開と、オンラインサービスが充実したこと。東海エリアの百貨店として初の試みが「オンライン試着サービス」で、ウェブに掲載されている約1000種類もの腕時計を、スマートフォンを使ってオンラインで試着ができるというもの。これはアプリケーションをインストールする必要がなく、ブラウザ上で利用できる点が便利だ。店舗へ足を運ぶ前に、着用イメージをつかめるのは良いだろう。
このほかにも、自宅から松坂屋名古屋店へ時計を配送してオーバーホールを行う「オンラインウォッチオーバーホールサービス」や、「来店予約サービス」も東海エリア初。加えてインスタグラムのアカウントも新設され、時計売り場同様にカジュアルかつフレンドリーになった印象だ。
百貨店のイメージを大きく変える、松坂屋名古屋店の「GENTA The Watch」。まだ現時点でリニューアル作業中のブティックもあるが、9月末ごろにはすべてのエリアが完成する予定となっている。“入りやすくなった”時計売り場にぜひ足を運んでいただきたい。
松坂屋名古屋店 公式サイト「GENTA the WATCH」は、次のURLからアクセス https://watch.dmdepart.jp/nagoya/
Contact info: 松坂屋名古屋店 GENTA 5F 時計サロン Tel.052-251-1111(代表)
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