左右非対称な文字盤が魅力の「パノ」コレクションに新作「パノマティックカレンダー」が加わった。コレクション初のアニュアルカレンダー搭載機で、本作はオープンワーク仕様のリミテッドエディションだ。
Text by Kouki Doi (Chronos-Japan)
Edited by Yuto Hosoda (Chronos-Japan)
[クロノス日本版 2022年9月号掲載記事]
グラスヒュッテ・オリジナル「パノマティックカレンダー プラチナリミテッド・エディション」
時分針をはじめ、デイトやムーンフェイズ、パワーリザーブ表示など、文字盤上の表示要素を分散させて配置した「パノ」シリーズは、グラスヒュッテ・オリジナルを代表するコレクション。ブランドの代名詞とも言える左右非対称かつ美しいデザインは、往年のクラシックスタイルを守りながらも、どこかモダンな印象だ。
プラチナ製ケースにオープンワーク文字盤と専用のムーブメントを採用する限定モデル。カレンダーを駆動させる歯車や表示ディスク類を着用時でも鑑賞できる仕様は、パノシリーズとしても非常に珍しい。重なるように配置された文字盤の表示リングと、蓄光塗料を塗布した針のおかげで、さほど視認性は損なわれていない。自動巻き(Cal.92-10)。58石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約100時間。Pt(直径42mm、厚さ12.4mm)。50m防水。世界限定150本。489万5000円(税込み)。
文字盤のバリエーションも増え、充実ぶりを見せる本シリーズに、初の年次カレンダーを搭載した「パノマティックカレンダー」2モデルが追加された。1本は18KRGにシルバーオパーリン文字盤を合わせた〝正統派〞だが、もう1本は今回紹介する世界限定150本の「プラチナリミテッド・エディション」だ。
まず見るべきは年次カレンダーの表示方法だろう。2時位置にムーンフェイズ、4時位置に大型のパノラマデイトを備える配置は「パノマティックルナ」と共通で、本作では3時から6時の文字盤外周に新たに月表示が90度の円弧状に設けられた。搭載するのは新開発のキャリバー92-10。数字以外を黒くしたサファイアクリスタルの下を、1月分だけ白く塗られたディスクが回転することで、この独特なデジタル表示を実現した。ディスクは5つのボールベアリングで保持され、4年で1回転する。毎年3月1日に日付を合わせなければならないが、リュウズを1段引くだけですぐに調整可能である。
またオープンワークが施された機械と文字盤も見ものだ。地板に重なる表示系機構を押さえる受けの大半が肉抜きされ、歯車やカレンダーディスクをあらわにした。加えてシリコン製ヒゲゼンマイの採用や、パワーリザーブを約100時間まで延ばすなど、実用性も大きく向上。機械好きの心をつかみつつ、複雑機構をきちんと〝使える〞モノに仕立てたのである。
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