2020年に工房設立175周年記念モデルとして、100本が発売されたA.ランゲ&ゾーネの「1815 ラトラパント」。厚さ12.6mmとラトラパンテ搭載機としてはコンパクトなケースを持つ同作が、プラチナケースで復活した。
Ptケースで復活した“使えるラトラパンテ”。縦に並んだインダイアルや3-9時位置に配置された文字など、左右対称なデザインが端正だ。手巻き(Cal.L101.2)。36石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約58時間。Pt(直径41.2mm、厚さ12.6mm)。3気圧防水。世界限定200本。ブティック限定。価格問い合わせ。
Edited & Text by Yuto Hosoda (Chronos-Japan)
[クロノス日本版 2022年9月号掲載記事]
A.ランゲ&ゾーネ「1815 ラトラパント」
数多く展開されるクロノグラフに対して、針をもう1本追加したラトラパンテを製造できる時計メーカーはごくわずかだ。これはクロノグラフ機構の上にラトラパンテ機構を重ねるという、同機構の構造によるところが大きい。ふたつの機構を重ねてムーブメントの厚みが増すと、ラトラパンテ車のホゾも必然的に長くなるため、作動中に偏心を起こして挙動が不安定になったり、最悪止まってしまうからだ。
2020年にハニーゴールドケースで100本が限定発売され、今年プラチナケースで復活したA.ランゲ&ゾーネの「1815 ラトラパント」は、この問題を明快な方法で解決している。つまり、ふたつの機構を重ねてもムーブメントがあまり厚みを持たないように設計されているのだ。具体的には地板を拡大し、パーツの重なりを減らすことで厚みを抑えている。参考までに搭載されるキャリバーL101・2の直径は32.6mm。これは「ダトグラフ・アップ/ダウン」のキャリバーL951.6と比べても2mm大きい数値だ。また、ダブルスプリットやトリプルスプリットでは採用するアイソレーターを同作では載せていないのも、薄型化のためである。こうしてキャリバーL101.2は7.4mmまで厚さを抑えることに成功したのだ。
結果、1815 ラトラパントはケース厚が12.6mmと、同社のクロノグラフとしては11mmの1815 クロノグラフに次いでコンパクトだ。特にこれまでのラトラパンテ搭載モデルは、パーペチュアルカレンダーなど他の複雑機構と併載されていたため、どうしても大ぶりになりがちだった。限定とはいえ、日常使いのできるラトラパンテモデルがラインナップに復活したことを歓迎したい。
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