ウォッチ誕生50周年！ 「グッチ ワンダーランド」で見たハイウォッチメイキングの本気度

グッチは2022年3月30日から4月3日、「ウォッチズ＆ワンダーズ ジュネーブ 2022」開催中のジュネーブ、プレニー・シャンベジーにあるシャトーで、招待制の新作ウォッチ発表会「グッチ ワンダーランド」を開催した。そこには、ハイウォッチメイキングに対するグッチの「本気」が溢れた新作が多数展示されていた。グッチ ウォッチ＆ジュエリーのマネージングディレクター、マウリッツィオ・ピサヌのコメントとともに、その展示会の模様と新作を紹介する。

ハイコンプリケーションウォッチに注力を始めたグッチ

　まさかハイウォッチメイキングに、ここまで本気で取り組むとは！」

　レマン湖を眼下に望む、ローザンヌ通りに面した瀟洒なシャトー。その扉を開けたとき、まず感じたのは驚きだった。

　ケリング・グループの中核ブランド、グッチは「ウォッチズ＆ワンダーズ ジュネーブ 2022」開催中のジュネーブで、3月30日から4月3日の5日間、スイスでのウォッチメイキング50周年を記念した新作ウォッチとジュエリーの特別エキシビション「グッチ ワンダーランド」を開催した。

　そこに展示されていたのは、これまでのグッチのウォッチメイキングとは異次元とも言える、グッチのファンはもちろん、時計愛好家にとっても見逃せないハイエンドな機械式複雑時計の新コレクションだった。グッチ ウォッチ＆ジュエリー マネージングディレクターのマウリッツィオ・ピサヌは語る。

「今年2022年は、グッチから最初の時計デザインが発表されてちょうど50周年に当たります。グッチはこれまで、過去の遺産と自由な創造性に基づいて、あらゆる人の個性にフィットする多様なスタイルの、ユニークで独創的なウォッチを創り続けてきました」

「私たちは21年にメゾン初の自社製ムーブメントを搭載した、ブランド初のハイウォッチメイキング・コレクション『GUCCI 25H』で、時計の世界で新たなマイルストーンを築きました。2年目となる今年は、ファッションとウォッチがシームレスにつながる、グッチだからクリエーションできる新しいハイウォッチメイキングの世界を皆様に提示できたと思います」

　目を引くのはハイウォッチメイキングの第1弾として発表されたマニュファクチュールムーブメント搭載の薄型トゥールビヨンモデル「GUCCI 25H」のスケルトンバージョンだ。19年に発表された、クリエイティブ・ディレクターを務めるアレッサンドロ・ミケーレの1970年代へのオマージュモデル「グリップ」のサファイアクリスタルケースのシースルーモデルも見逃せない新作である。

　だが、今回のハイライトはやはりグッチ ウォッチの王道コレクションとも言えるG-タイムレスから登場した3つのニューモデルだ。なかでも世界最高峰のファッションメゾンらしさを発揮しているのが「G-タイムレス プラネタリウム」と「G-タイムレス ダンシング ビー」の2本である。

　前者は文字盤中央にダイヤモンドで装飾されたスター形のフライングトゥールビヨンを備え、さらに文字盤外周部に、ラウンドブリリアントカットされた12個の大粒のプレシャスストーンをインビジブルセッティングで配置している。リュウズをプッシュすると、フライングトゥールビヨンを取り巻くこの12個のプレシャスストーンが個々に自転しながら、文字盤をゆっくりと周回する。その煌めきの優雅さ、美しさは圧巻だ。

　後者はオパールのマルケトリー（象嵌細工）製文字盤を備え、その12時位置にトゥールビヨンを、さらに文字盤全体に腕の動きに応じてホワイトゴールド製の蜜蜂のモチーフが踊るハイジュエリー・コンプリケーションウォッチである。

　また「G-タイムレス ムーンライト」は、メテオライト（隕石）の文字盤に独自の高精度なムーンフェイズ表示を搭載した、時計愛好家好みの自動巻きモデル。ムーンフェイズは高精度な360年に1回の修正で済むタイプだ。

　またひとつ、目の離せないハイエンドウォッチブランドが誕生した。