融合の達人、金属の錬金術師。過去数十年にわたりウブロの開発を追ってきた人なら、誰もが驚きを禁じ得ないだろう。ハイテクセラミックス、カーボン、タンタル、キングゴールド、サファイアなど、素材研究の分野で多くのイノベーションを起こしながら、ウブロは高級時計ブランドへと急成長を遂げてきた。この特別なノウハウは、ウブロが現在「アート・オブ・フュージョン」というモットーのもとに展開されている。
リカルド・グアダルーペCEOのもと自社製ムーブメントの開発・製造を着実に拡大しているウブロより、「ビッグ・バン」「クラシック・フュージョン」「スピリット オブ ビッグ・バン」の重要な3コレクションからそれぞれに特筆すべきモデルを紹介する。
Text by Sabine Zwettler
(2022年8月30日掲載記事)
ビッグ・バン インテグレーテッド ブルーセラミック
端正な外観はその真の姿ではない。むしろビッグ・バンはまったく新しいやり方で自身の個性を表に出す方法を知っている。大胆なデザインと革新的な素材の組み合わせにおいて、ウブロの右に出る者はいないだろう。その素材はウブロ独自のもので、18Kキングゴールドやマジックゴールドから、軽量で耐久性に優れたカーボン、高い耐性を持つハイテクセラミックスなどに至る。前衛的なデザインが目を引くその内部には、高品質な自社製ムーブメントを搭載する。その一例が、2021年に発表された「ビッグ・バン インテグレーテッド ブルーセラミック」に搭載されたフライバック・クロノグラフ機能付きの自社開発・製造によるウニコ・キャリバーだ。軽量かつ耐久性があるセラミックスは、ウブロを象徴する素材のひとつである。ケースとケースバック、そしてベゼルもセラミックスであるだけでなく、2020年からは統合型ブレスレットにも導入されている。「ビッグ・バン インテグレーテッド」シリーズでは現在、さまざまな色や素材のバリエーションが展開されている。搭載されるキャリバーHUB1280は、既存の「ウニコ」より1.3mm薄いだけでなく、製造時に微調整しやすい技術的改良も加えられている。オープン仕様の文字盤からは複雑で精緻なムーブメント構造を堪能できる。
クラシック・フュージョン クロノグラフ ブラックマジック
ウブロの中で最もクラシックな外観を備えたコレクションが「クラシック・フュージョン」だ。ミニマルなデザインとスリムな形状は、イエローゴールドケースにブラックラバーストラップを組み合わせた創業当時のモデルから派生している。この大胆さは時計史を赤い矢のように貫いた。「アート・オブ・フュージョン」のブランド哲学にのっとり、クラシック・フュージョンコレクションもまた洗練されたカラーリングのハイテクセラミックスやチタンなどの先端素材を採用している。「クラシック・フュージョン クロノグラフ ブラックマジック」では、調和の取れたストラップがセラミックスケースの外観をさらに際立たせている。搭載されるのは自動巻きクロノグラフムーブメントだ。両サイドに飛び出したふたつの突起(オレイユリング)、H型が与えられたネジ留めのベゼルやストラップ、H型カウンターウェイトの秒針の採用など、ビッグ・バンへと継承されていった個性も備えている。
スピリット オブ ビッグ・バン トゥールビヨン カーボングリーン
スピリット オブ ビッグ・バンについては、その名がすべてを表している。ビッグ・バンの派生版として2014年にデビューを果たしたこのコレクションは、おそらく他に類を見ない印象的なデザインで魅了する。ビッグ・バンとは異なり、スピリット オブ ビッグ・バンは細長いトノーケースでのみ展開され、チタンやマジックゴールドなどの異なる金属や、加工の難しいサファイアなどで作られ、ブランド哲学との一貫性を保っている。トゥールビヨンと約5日間のパワーリザーブを保持する自社開発・製造のキャリバーHUB6020は、このために開発されたマイクロガラスファイバー製の白い複合素材と組み合わせたカーボン製ケースを備えている。技術の粋を尽くして装飾された手巻きムーブメントは、ケースの表からも裏からも、その美しさの全容を見せている。
https://www.webchronos.net/features/74618/
https://www.webchronos.net/features/74612/
https://www.webchronos.net/features/64452/