第2時間帯の表示方法はさまざまで、時計ブランドはオーナー層を明確に想定しながらデザインしている。今回は多様なGMT機能について搭載モデルとともに紹介する。GMTウォッチの入手を検討している人にもヒントとなるだろう。
Text by Jens Koch
(2022年9月14日掲載記事)
多種多様なGMT機能搭載腕時計
訪れた国や地域の第2時間帯を表示してくれるGMT機能搭載腕時計は、そのオーナーがジェットセッターであることを示すアイテムである。しかしその第2時間帯表示は多様で、目立たないものもあるし、オーナーが知りたいときだけ表示させることもできる。直感的に読み取りができる12時間表示や、明確な24時間表示、そしてその他さまざまだ。使うシーンごとに適切なモデルが考えられる。
飛行時間の把握
さまざまな国に降り立つことの多いパイロットは、無線通信、フライトプラン、ログブックにUTC(協定世界時)を使用する。第2時間帯を備えた腕時計は航空関係者にとって非常に有用なのだ。このために特別に開発された伝統的なパイロットウォッチなどがあることも驚くには値しない。
このジャンルで知られた存在のひとつにロレックスの「オイスター パーペチュアル GMTマスターⅡ」が挙げられるだろう。1955年にパンアメリカン航空が規程した要件に応えて開発されたものだ。従来の時針、分針、秒針と、先端に三角形が付いた24時間針、そして24時間セラクロムベゼルインサートを備えた両方向回転ベゼルにより、ローカルタイム(現在地の時刻とホームタイムや、ローカルタイム(基準時刻)と別のタイムゾ時刻を表示することができる。時間を誕生当時、12時間針と24時間針は単独で調整できなかったため、第2時間帯の時刻合わせは回転ベゼルが唯一の選択肢であった。12時間針の位置が1時間単位で変更できるようになったのは、ロレックスが新しいムーブメントを導入した1982年以降である。
チューダー「ブラックベイ GMT」もまた、バーガンディとブルーの2トーンの24時間目盛り付き回転ベゼルを採用している。午前6時から午後6時の昼の時間帯と、それ以外の夜の時間帯で色分けしているのだ。こうすることで迅速に昼の時間と夜の時間を見分けることができる。
オリスのパイロットウォッチ「オリス ビッグクラウン プロパイロット ワールドタイマー」は第2時間帯をまったく異なる方法で表示する。ホームタイムの時間と分を表示する3時位置のサブダイアルは、12時間表示のため直感的に読み取ることができる。なお昼夜表示を合わせており、夜間は黒、日中はオレンジ色になる。UTCは常に24時間表示なので、このモデルは滞在地のローカルタイムを表示するのにより適している。
仕事の管理
第2時間帯を備えた時計の大きなターゲットグループとして、国際的な企業で活躍する一流のエグゼクティブたちも挙げられる。出張が多い人や、海外の取引先と連絡を取り合う人にとっては第2時間帯表示付きの時計は有用性が高い。ビジネスシーンでは、流行のファッションに合わせつつエレガントで控えめな腕時計が好まれやすい。
ジンは1999年に金融中核都市の3つの時間帯を表示するクロノグラフ「フランクフルト・ファイナンシャル・ウォッチ 6000」を発表した。この6000シリーズは通常、第2時間帯表示用の針は時針の下に隠れるように配置されている。
ライカカメラ社の「ライカL2」は、ベーシックモデルの時、分、秒針、日付とパワーリザーブ表示に加え、昼夜表示と第2時間帯表示の機能を追加している。このモデルでは第2時間帯表示の時針は省かれており、通常の時針がインナーベゼルを指して第2時間帯の時間を表示させる。4時位置のリュウズはインナーベゼルを回転させるためのものだ。なお、この第2時間帯はファンクションセレクターの右下にあるデイ&ナイト表示で午前/午後を判断できる。
休暇向け
出張先での服装はフォーマルになりがちだが、カジュアルに過ごすことのできる休暇はそれに合わせて腕時計の選択も楽しみたい。人目を引くカラフルな腕時計はビーチやビーチバーでは良い選択肢だろう。例えば、オメガの「シーマスター プラネットオーシャン GMT “ビッグブルー”」はGMT機能と600m防水ダイバーズ機能を合わせ持っている。そしてブルーセラミックス製ベゼルにはリキッドメタル™のダイビングスケールが、そして最初の15分間の部分にはオレンジラバーが接合されている。オレンジラバーは、リューズのオメガロゴやヘリウムエスケープバルブのシンボルにも使用されている。
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