8月末に開催されたジュネーブ・ウォッチ・デイズにおいて、ブルガリはブラックの切り口でブルガリ・ブルガリと新作セルペンティを紹介し、そしてふたつのコラボレーションモデルと、オクト フィニッシモの新作を発表した。
Edited by Yukiya Suzuki (Chronos-Japan)
[クロノス日本版 2022年11月号掲載記事]
私たちは長い長い転換の過程を経て、垂直統合を成し遂げた
ブルガリ・グループ ウォッチ部門 マネージング・ディレクター。フランス生まれ。パリのHEC経営大学院を卒業。1994年、タグ・ホイヤーでキャリアをスタート。プロダクトマネージャーを経て、98年、ブシュロンに入社。2002年、LVMHグループ ゼニスに転じた後、LVMHウォッチ&ジュエリー UKのマネージング・ディレクターに就任し、タグ・ホイヤー ジャパンと韓国のジェネラルマネージャーを経て、14年、ブルガリで中国のマネージング・ディレクターに就任。19年9月より現職。
「今年のスペシャルなピースに続いて、今日はよりクラシカルなコレクションを紹介したいと思います。共通するのはプレシャスネスですね」。こう語るのは、ブルガリ・グループ時計部門でマネージング・ディレクターを務めるアントワーヌ・パンだ。
「既存のコレクションと異なるバイブレーションを持つのがサテン仕上げのゴールドケースとブレスレット、チョコレートカラーの文字盤を持つオクト フィニッシモです。クロノグラフは同じ特徴、個性、100mの防水性を持っています。そして、8デイズのスケルトン」。まったく新しいムーブメントと思いきや、実は違うのだという。
「これはオクト フィニッシモ キャリバーの改良版です。そして、これはオクト フィニッシモの将来の開発に対する哲学のシンボルでもあります。パワーリザーブは約3倍に延びましたが、香箱のサイズはほとんど変えていません。主ゼンマイの長さと輪列を変えてパワーリザーブを延ばしています」。しかし、ブルガリはオクト フィニッシモのサーガを終わらせる予定ではなかったのか?
「私たちは今後も、オクト フィニッシモの創造は続けるつもりだし、改善もしていきます。その証しが、新しいオクト フィニッシモ スケルトン エイトデイズです」。では今後、リシャール・ミルに塗り替えられた世界最薄の記録に挑むのか?
「私たちは世界記録を樹立してきました。世界最薄というサーガですね。ではそれに挑むのか? 私個人の意見はさておき、それは第一の優先順位ではないですね。だから、たぶんイエスで、たぶんノーと答えておきましょう。もっとも、何かお見せできるものがあれば、とは思っていますよ」
彼の自信の背景には、長年かけて取り組んできた垂直統合の成功がある。
「オクトコレクションは10年前に発表されました。かつて私たちはイタリアのジュエラーと認識されてきましたが、今では本格的なウォッチメーカーになりました。ケースやブレスレットメーカー、ダニエル・ロートとジェラルド・ジェンタなどの買収により、垂直統合を行ってきたのです。それこそ長い長い転換の過程でした。私たちはジュエラーとして100年以上の歴史を持っており、時計も50年の歴史があります。ようやく両者が調和するようになり、今や私たちはいろいろなことができるのです」
「オクト フィニッシモ」のサーガは続く。既存のムーブメントの主ゼンマイと輪列を改良することで、パワーリザーブを約3倍に延ばした新作。併せて、ムーブメントの肉抜きも強調された。手巻き(Cal.BVL199SK)。33石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約8日間。18KRGケース(直径40mm、厚さ5.95mm)。3気圧防水。436万1000円(税込み)。2022年11月発売予定。
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