世界のセレブたちがどんな時計を着けているのか、ワンシーンを切り取り紹介する連載コラム「セレブウォッチ・ハンティング」。今回はスペイン出身の世界的テニスプレイヤー、ラファエル・ナダルが着用するリシャール・ミルを紹介しよう。
Text by Yukaco Numamoto
2022年11月6日掲載記事
リシャール・ミル ファミリーのひとり、ラファエル・ナダル
2022年10月29日から11月6日にかけて行われている男子テニスツアー「ロレックス・パリ・マスターズ」で、初戦敗退となったラファエル・ナダル。ナダルといえばリシャール・ミルのラファエル・ナダルコレクションを連想する方も多いのではないだろうか。2008年にリシャール・ミルと出会うまでは"時計を着けない派"だったナダルが愛用する時計に着目する。
ロレックス・パリ・マスターズでは敗戦したものの、彼の言動には注目が集まっている。というのも、ツアーにシングルスで復帰するのは今大会で1か月以上ぶりだった。10月に第一子が生まれたばかりで「家を出るのがつらかった」と語る父親になりたての心境を語り、各種インタビューやSNSでも温かいパーソナリティをのぞかせファンを喜ばせていた。
現在36歳のナダルはミューラーワイス症候群という慢性的な怪我を2005年から負っている。度々ツアーを離れることを余儀なくされたが、神経に注射を打ちながら2週間を戦い抜いた2022年の全仏オープンでは14回目の優勝を飾った。長年サポートしている担当医のルイス・コトロは「普通の人にとっては奇跡のようなことを成し遂げられるのは特別な人だからだ。こういうことはラファにしかできない」と称賛している。
先日、現役引退を表明した盟友ロジャー・フェデラーも「信じられない偉業だ。10回目や11回目の時にすでに“こんなことはありえない”って思っていたのに、彼はハードルを上げ続けている。凄いことだよ」と絶賛している。
近年、ひざの怪我により引退を決意したフェデラーであるが、今後もテニスに関わり続けていきたいという意思を表明している。有明のイベントではフェデラーと国枝慎吾による小学1年生から4年生の子どもたちを対象にしたテニスセッションも予定されている。「神」と呼ばれたテニスプレイヤーの姿を観覧するチャンスだ。
ラファエル・ナダルは、リシャール・ミルの「RM 27-04」を着用
全米オープンで撮影されたラファエル・ナダルの手元には、リシャール・ミルの「RM 27-04」が着けられていた。
ラファエル・ナダルのために開発されたRM 27-04は、軽さと耐久性のバランスを追求した手巻きトゥールビヨンムーブメントを搭載し、ストラップを含めてわずか30gという驚きの軽さを実現している。本作はナダルとリシャール・ミルのパートナーシップ10周年を祝う特別なタイムピースだ。ナダル自身が「とても特別な絆」と呼ぶリシャール・ミルとの関係はお互いに対する深い信頼と称賛に伴うものである。
ムーブメントを支えるマイクロブラスト加工が施されたメッシュは時計製造界初の機構である。直径0.27mmのステンレススティール製ケーブル1本を編み込んだメッシュはPVDコーティングが施された5Nゴールド製の2カ所のテンショナーで固定され、ムーブメント全体を支えている。
ムーブメントをメッシュに取り付ける際はポリッシュ仕上げと5NゴールドPVD処理が施されたグレード5チタン製フックで地板の背に配置している。トゥールビヨン、香箱、針の石座部分に配置された耐震装置は、ムーブメント設置時のセンタリングを可能にするだけでなく、メッシュへの振動を抑えて計時精度の乱れを防ぐ役割がある。
誰もが見て理解できるように、テニスラケットのガット張りと同じ原理に基づき設計されている。ナダルとリシャール・ミルのパートナーシップなしではこの機構は誕生しなかったかもしれない。キャリバーRM27-04はケース内部に吊るす設計によって12000g以上もの加速度に耐えることができ、再びリシャール・ミルの耐久性記録を更新している点にも注目したい。
怪我を抱え、常に全力を出し、勝っても負けても客観的な視点で自分と試合内容を見つめることができるナダルは多くのテニスプレイヤーにとって憧れの存在であり続けることは間違いない。さらに息子ができたことにより、コート外でより一層幸せに溢れる姿も見られるようになるだろう。父としての毎日を「人生初の体験の連続」と語るナダルが今後どのようなテニス人生を歩む姿を息子に見せるのかも気になるところだ。
手巻き(Cal.RM27-04)。19石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約38時間。TitaCarb®(縦47.25×横38.4mm、厚さ11.4mm)。50m防水。世界限定50本。
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