堅牢で無骨な印象のドイツ製パイロットウォッチ。実際にはどのようなバリエーションがあるのだろうか? 今回は8つのドイツブランドからパイロットウォッチを1本ずつピックアップし、それぞれの特徴や魅力を紹介する。
ダマスコ「DC86/2」
自動巻き(Cal.C51-6)。27石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約48時間。アイス硬化ニッケルフリーステンレススチールケース(直径43.8mm)。10気圧防水。国内未入荷。(問)ブレインズ Tel.03-3510-7711
ダマスコの「DC86/2」は、パイロットウォッチスタイルのトリコンパックス・クロノグラフだ。自社製クロノグラフムーブメントC51-6を搭載しており、DC8Xシリーズの新たな展開として誕生したモデルである。
このクロノグラフの特徴は、中央に取り付けられたクロノグラフ分針の先端が飛行機の形をしていること。トリコンパックスの表示は9時位置がスモールセコンド、6時位置が12時間積算計、3時位置が24時間積算計となっており、4時半位置にはデイト表示が配されている。12時位置に配されたブランドロゴの下には、このモデルがNATOの軍事基準Mil.810に準拠したストップウォッチであることが記されている。
第2時間帯を示す回転ベゼルはセラミックス製で、デザインの面からもパイロットウォッチとしての存在感を際立たせている。ケースは特別な熱処理が行われた「アイス硬化ニッケルフリーステンレススチール」製。これは特許が取得されている素材であり、一般的なステンレススティールに比べて約4倍の硬さを誇る。
ジン「103.TI.AR」
自動巻き(Cal.コンセプト C99001)。25石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約48時間。Tiケース(直径41mm)。20気圧防水。65万4500円(税込み)。(問)ホッタ Tel.03-5148-2174
フランクフルトに拠点を置くジンが展開する「103.TI.AR」。テクノロジーと機能的なデザインを融合させた、クラシックなパイロット・クロノグラフの系統を継ぐモデルで、開発時には航空機の計器の設計原理が踏襲された。ねじ込み式リュウズや1分ごとにロックされるパイロット回転ベゼル、20気圧までの防水性能やブランド独自のArドライテクノロジーといった多くの機能を有することが特徴だ。
ビーズブラスト仕上げのケースは純チタン製。チタンはステンレススティールより軽いため、長時間着用しても疲れにくい軽快なつけ心地が特徴である。また、両面無反射サファイアクリスタルを採用した風防により、ダイアルの視認性も良好だ。
ストーヴァ「フリーガー ヴェリュス GMTクロノグラフ」
自動巻き(Cal.ETA/ヴァルジュー 7754)。25石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約46時間。SSケース(直径41mm)。世界限定100本。国内未入荷。
1927年、ドイツ南西部シュバルツバルトのホルンベルクにて創業したストーヴァは、第2次世界大戦時、旧ドイツ空軍にパイロット用ウォッチを納入していた時計ブランドだ。エントリーモデルである「フリーガー ヴェリュス」を、第2時間帯表示を備えたクロノグラフとしてアップグレードした「フリーガー ヴェリュス GMTクロノグラフ」は、シンプルな文字盤で視認性を高めたデザインが特徴である。
スモールセコンドやアワーカウンターはあえて取り除き、クロノグラフ機構はセンターストップセコンド針と12時位置の30分積算計のみが配されている。第2時間帯は傾斜のついたベゼルの外周に表示され、先端に三角形の赤いポインターを備えた針で示される。なおこのモデルは、2021年のレッド・ドット・デザイン賞を受賞している。
ユニオン・グラスヒュッテ「ベリザー パイロット クロノグラフ」
自動巻き(Cal.UNG-27.01/ETA/ヴァルジュー 7753ベース)。27石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約60時間。SSケース(直径44mm)。10気圧防水。国内未入荷(参考価格2800ユーロ)。
1893年創業のユニオン・グラスヒュッテが手掛けるパイロットウォッチは、クラシックなパイロットウォッチの要素を取り込みつつスポーティーな仕上がりが特徴だ。
「ベリザー パイロット クロノグラフ」は、コレクションの特徴的なねじ込み式のケースに、ETA/ヴァルジュー7753をベースとした自動巻きムーブメントを搭載。明るい色のステッチが施されたブラウンのカーフスキンレザーストラップが組み合わされ、時計の堅牢な外観を際立たせている。