アンティークのレクタンギュラーウォッチをインスピレーション源としたジラール・ペルゴのアイコンコレクション「ヴィンテージ1945」に、日本限定モデルが加わった。同作は薄いグレーを用いることで針の鮮やかさを引き立てており、“ヴィンテージ”という名を冠しているものの、端々にはモダンウォッチとしての要素が散りばめられている。
野島翼:文 Text by Tsubasa Nojima
2022年12月5日公開記事
シルバーダイアルにグレーのローマンインデックスを組み合わせた日本限定モデル。伸びやかな書体のインデックスと1時半位置のデイト窓が、ダイアルに躍動感を与えている。自動巻き(Cal.GP03300)。2万8800振動/時。パワーリザーブ約46時間。SS(縦33.3mm×横32.46mm、厚さ9.66mm)。30m防水。日本限定200本。163万9000円(税込み)。
ヴィンテージ1945とは?
現代の日本において、絶大なる人気を誇るスイス時計。これを最初に日本へもたらしたとされているのが、ジラール・ぺルゴだ。日本では幕末にあたる1860年、ジラール社(ジラール・ぺルゴの前身)を立ち上げたコンスタン・ジラールの義理の弟、フランソワ・ペルゴが懐中時計を携えて日本を訪れた。
彼はその後の64年、横浜に会社を設立し、スイス時計の本格的な輸入を開始したのである。やがてスイス製の正確な時計は、73年の不定時法廃止を皮切りに、日本の近代化を急激に推進するキーアイテムのひとつとなった。
そんな日本との深い関わりを持つジラール・ペルゴより、代表コレクション「ヴィンテージ1945」の日本限定モデルが発表された。益々加熱する“ラグスポ”ブームも相まって、現在同社の中で最も注目されているのは、「ロレアート」だろう。しかし、同社の魅力はそれだけに非ず。これを機にもうひとつのアイコンである、ヴィンテージ1945に目を向けてみたい。
ヴィンテージ1945が誕生したのは1995年。その名の通り、1945年に同社が発表したモデルに着想を得たコレクションである。直線を基調としたレクタンギュラーケースが示すように、そのルーツはアールデコが流行した20~30年代にさかのぼる。
30年代初頭より、同社はアメリカ市場に注力しはじめ、現地の工場でさまざまなバリエーションのレクタンギュラーウォッチを生産した。その中のひとつが、95年当時の同社CEOであったルイジ・マカルーソの目に留まり、再び日の目を見るに至ったのだ。
経営のプロであると同時に、優れたデザイナーでありプロダクトマネージャーでもあったマカルーソ。彼の手によって生み出されたヴィンテージ1945は、以降幾度にもわたるアップデートと、派生モデルの展開を経て、同社を代表するコレクションへと成長していく。いつまでも色あせない、その普遍的な魅力は、最新作からも明らかだ。