2022年、A.ランゲ&ゾーネは時分のデジタル表示を特徴とする「ツァイトヴェルク」の第2世代モデルを発表した。このモデルは新型ムーブメントのキャリバーL043.6を搭載しており、約72時間のパワーリザーブと時間単位の早送り機構を備えている。ムーブメントの開発を率いた、製造責任者のティノ・ボーベにインタビューを行った。
A.ランゲ&ゾーネの製造責任者。1969年、ドイツ・ドレスデン生まれ。99年にムーブメント設計者としてA.ランゲ&ゾーネに入社。2004年から現職。
新型ムーブメントを搭載した第2世代の「ツァイトヴェルク」
WatchTime:「ツァイトヴェルク」の第2世代モデルに搭載される新型キャリバーL043.6は、A.ランゲ&ゾーネの70番目の自社製ムーブメントとなります。A.ランゲ&ゾーネではムーブメント開発はどのように行われるのでしょうか?
ティノ・ボーベ:私たちにとって、新しい時計の開発は、新しいムーブメントの開発と密接に関係していることが多いです。私たちは、その過程でお客様を驚かせたいと考えています。その一例が、ツァイトヴェルクに搭載されたミニッツリピーターの実現です。品質と完璧さを求める私たちは、近道を選ばないため、ハードルを常に高く設定しています。ツァイトヴェルクはその好例でしょう。
最初にあったのは、昔の懐中時計のようなアナログ式のディスクのアイデアでした。しかし開発の過程でディスプレイの大きさ、開口部の形状、配置などが見直されたのです。「MADE IN GERMANY」の表記をどこにするかなど、一見小さなことでも決定していきました。約7年の開発期間を経て、このような形になりました。
(左)ブラックダイアルを組み合わせたピンクゴールドケースモデル。手巻き(Cal. L043.6)。61石。1万8000振動/時。パワーリザーブ約72時間。18KPG(直径41.9mm、厚さ12.2mm)。3気圧防水。価格要問い合わせ。
(右)ロジウム仕上げのシルバー無垢ダイアルを組み合わせたプラチナケースモデル。手巻き(Cal.L043.6)。61石。1万8000振動/時。パワーリザーブ約72時間。Ptケース(直径41.9mm、厚さ12.2mm)。3気圧防水。価格要問い合わせ。
WatchTime:愛好家の声は、A.ランゲ&ゾーネの製品開発に影響しますか?
ティノ・ボーベ:私たちは常にお客様の声に耳を傾けています。そうすることで考えが熟し、私たちのアイデアに流れ込んでくるのです。
しかし現在のツァイトヴェルクは、私たち自身の経験を生かしたものでした。常に考えているのは、どうすればもっと完璧なものができるのかということです。プッシャーを押すだけで時間単位の早送りができる機能を追加したこともその一例です。同じように、長時間のパワーリザーブも視野に入れていました。何年もかけて開発から学び、現在約72時間のパワーリザーブに到達したことを誇りに思います。
WatchTime:旧型のツァイトヴェルクを所有するオーナーは、新型の登場に憤慨することになりませんか?
ティノ・ボーベ:そんなことはないと思います。オリジナルにはオリジナルの意味がありますから。
WatchTime:今後の開発の方向性を教えてください。
ティノ・ボーベ:影響はさまざまな方向から受けています。市場動向を重視するのであれば、ツァイトヴェルクは開発されなかったかもしれません。これは自分たちの歴史に向き合うことから生まれたものです。
また既存モデルやファミリーを維持し続けることも大切です。これは新しいものを立ち上げるよりも難しいことが多く、大きな敬意を払いながら進めています。A.ランゲ&ゾーネの時計は常に、他とは違うものである必要がありますから。
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