2021年に発表され、瞬く間に注目を浴び、同年のジュネーブ・ウォッチメイキング・グランプリでダイバーズウォッチ賞を受賞した話題作にオレンジとグリーンの新作が仲間入りした。
太鼓から着想した独特のケースは、ステンレススティールのブロックから削り出して成形し、ポリッシュとサンドブラスト仕上げを施す。鮮やかなオレンジとブラックの対比も刺激的だ。自動巻き(Cal.ETA 2895)。27石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約50時間。SS(直径44mm、厚さ12.8mm)。100m防水。104万3900円(税込み)。
(右)タンブール オトマティック ストリート ダイバー アーバングリーン
20周年記念モデルのひとつは、アーシーなグリーンを採用し、フィールドのアウトドアを連想させるモデル。ダイアルは落ち着いたマット仕上げ。自動巻き(Cal.ETA 2895)。27 石。2 万8800振動/時。パワーリザーブ約50時間。SS(直径44mm、厚さ12.8mm)。100m防水。104万3900円(税込み)。
Text by Shigeru Sugawara
Edited by Yukiya Suzuki (Chronos-Japan)
[クロノス日本版 2023年1月号掲載記事]
ルイ・ヴィトン「タンブール オトマティック ストリート ダイバー」
ルイ・ヴィトンがアイコニックな「タンブール」を発表して高級時計の分野にデビューしたのが2002年。年を経るごとにその時計製造は驚異的な進化を遂げ、ハイエンドのコンプリケーションでも一目置かれる存在になった。
そのルイ・ヴィトンが21年に発表したコレクションが「タンブール ストリート ダイバー」である。ねじ込み式リュウズ、内転式の逆回転防止ベゼル、水中での視認性を高めるスーパールミノバを塗布した針とインデックスといった、ダイバーズウォッチの要素が取り入れられているが、「ストリート」と命名するように、コンセプトとしては“シティ派”ダイバーズだ。この腕時計が活躍するシーンは都会であり、トレンディな街乗りSUVのように、都会でファッショナブルに着けて楽しむスポーツウォッチなのだ。
このダイバーズのそんな持ち味をさらに強調するのが、ルイ・ヴィトンの時計製造20周年を記念して発表された、オレンジやグリーンを採用する新作。これらは既存のブルーやブラックのモデルと同じく44mmケースを用いながら、明らかに前作よりもビジュアルのインパクトが強い。
鮮やかなオレンジが想起させるのは国際救難色であり、レスキュー隊のウェアはもとより本格ダイバーズウォッチにも用いられる定番色のひとつ。アーシーなグリーンはミリタリーやアウトドアの定番色だ。これらの色彩がそうさせるのか、今度の新作「タンブール オトマティック ストリート ダイバー」は、ストリートを脱し冒険の旅に出かける者の腕で活躍する頼もしい腕時計に思えてきた。
そういえば、ルイ・ヴィトンはプロダクト全般で「旅」が重要なテーマである。時計もそうだ。カラフルなこの新作も機能やデザインから新たな旅のストーリーが展開するように巧みに計算されているのかもしれない。
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