愛機のためのメンテナンス。オメガのオーバーホールを紹介

この記事では、スイスの高級時計ブランド「オメガ」のオーバーホールについて解説する。オーバーホールの必要性をはじめ、オメガの「コンプリートメンテナンスサービス」でおこなわれる工程や料金などをくわしく紹介。オーバーホールの依頼を迷っている場合は、ぜひ参考にしてほしい。

オーバーホールとは

　オーバーホールとは、いわば「時計の健康診断」だ。時計業界以外にも自動車やバイクといった機械製品全般に、この言葉は使われる。

　「オーバーホール＝修理」と認識されていることもあるが、実際は似て非なるもの。オーバーホールはあくまでもメンテナンスであり、故障を未然に防いだり早期発見するために行う。

　オーバーホールは時計を製造しているブランド公式、つまり正規業者でも行っているが、一般の時計修理業者（非正規）でも行われている。非正規業者の方が料金が手頃であったり、気軽に持ち込みやすかったりといったメリットもあるが、純正部品が使われなかったり知識や技術の劣る時計技師が対応するなどデメリットもある。

　一方で正規業者は、非正規業者よりも料金こそかさむが使われる部品は基本的に純正。また、そのブランドに特化した時計技師が対応するため、レベルが高く仕上がりも安心感も抜群だ。

　故障が発覚してから修理でもよいのでは、という考えもあるが、故障の内容によっては愛機が再起不能に陥るおそれもある。つまるところ、時計を末永く健康に使い続けるには欠かせないものなのである。

オメガのオーバーホールについて

　オーバーホールの周期はブランドによって異なるが、オメガでは防水検査は毎年、オーバーホールは5〜8年での実施を推奨している。

　オメガで行われるオーバーホールの気になる料金や保証期間について確認しておこう。

コンプリートメンテナンスサービス

　オメガでは、メンテナンスサービスを「コンプリートメンテナンスサービス」と呼んでいる。サービス内容は、ムーブメントを含む時計のオーバーホールや摩耗した部品の交換・洗浄、各部品やケースの美観回復などだ。

料金

　では、気になる料金を紹介しよう。

　オメガでは、ムーブメントの種類や素材によって料金が異なる。手持ちの時計がどれに分類されるか不明な場合は、オメガ公式ホームページ内にある価格計算ツールを使うと簡単に判断できるため使ってみるとよいだろう。ただし、場合によっては見積額が異なることがあるため留意したい。

※非貴金属素材：スティール、チタン、セラミック、セラミック製のリュウズ
※貴金属素材：シルバー、ゴールド、プラチナ、パラジウム製のリュウズ

オメガの保証期間

　現在、2018年7月1日以降に購入した時計においては、ムーブメントやモデルにかかわらずすべての保証期間が5年に延長されている。ただし、それ以前に購入した時計に関しては、ムーブメントによって保証期間が異なるため注意が必要だ。

オメガ　コンプリートメンテナンスサービスの内容

　ここからは、オメガのコンプリートメンテナンスサービスの内容とその工程を詳しく解説する。

　ちなみに、オーバーホールにかかる期間はおおよそ3〜4週間とされている。ただし、一部のモデルについてはオメガの本社があるスイスでの作業となるため、3カ月ほどかかる場合もある。

　とはいえ、上記のオーバーホールにかかる期間はあくまでも目安だ。ケースをあけて中の状態を見てからでないと具体的なことが分からないため長く見積もっておいた方がいいだろう。

ケースの分解

　まずは、すべての部品を取り外し分解していく。ストラップを外しケースも開く。針や文字盤を覆う風防、ベゼルなど、外せるものすべてを外し、分解していく。

ムーブメントの洗浄

　時計の心臓、ムーブメントも慎重に分解。すべての部品を分解したのち、超音波洗浄器を使って洗浄する。

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摩耗した部品の交換

　洗浄したムーブメントの部品は、ひとつひとつ丁寧に状態をチェック。摩耗した部品や錆び付いているものがあれば、オメガ純正の部品と交換する。限定モデルなどを除いてシリアルナンバーの入っていないムーブメントに関しては、ムーブメントを丸ごと最新のものへアップグレードしてもらえる場合もある。

ムーブメントの組み立て・注油

　洗浄され問題のない部品がそろったら、ムーブメントを元の通り組み立てる。あわせて、部品同士の摩耗を防ぐ潤滑油を差してムーブメントを正確に動かし長持ちさせる。

ムーブメントの調整と機能の検査

　時計の命、ムーブメントの工程はまだ終わらない。組み立てたムーブメントは機能検査が行われる。オメガの基準としている品質に合わせて、調整を重ねながら機能を完成させる。

ケースとブレスレットの洗浄と研磨

　ムーブメントを収めるケースとストラップも洗浄を行う。研磨も行われるため、新品同様に美観も回復する。

ケースの組み立てと防水機能の回復

　洗浄と研磨が完了したらケースを組み立てる。防水のために使われているガスケットを交換して、防水機能も回復させる。

最終検品

　各部品の工程を終えて組み立て、元の状態に戻したら最後の検品が行われる。時計の機能だけでなく外観含め、オメガが定めている品質基準のチェックが入る。そして、オーナーの元へと帰っていく。

オメガの時計はオメガでメンテナンスを

　オメガに限らず、ブランド各社のオーバーホール料金は決して安くはない。また、1〜3カ月ほどの長い時間を要する。

　とはいえ、定期的なオーバーホールを実施している時計とそうでない時計は、時計の寿命や正確性に大きな差が出ることもある。定期的なオーバーホールをおこなうことで、さらに愛着がわき時計との絆も深まるだろう。