170年以上の歴史を誇る老舗高級時計ブランド、オメガ。スイス生まれのオメガが、現在の人気を獲得するまでに至った経緯とは? 今回は、すべてがアイコンともいえる4つのコレクションを歴史とともに解説。厳選した人気モデルも紹介する。
老若男女、世界中を虜にするオメガの魅力
スイスのラ・ショー・ド・フォンにて創業したオメガ。その歴史は古く、1848年から現在まで170年以上にもなる。
創業者であるルイ・ブランが始めた時計工房は、彼の亡き後もふたりの息子たちが受け継ぎ小さな村からビエンヌという大きな街へと移転させた。場所を移したことにより、これまでよりも大きな規模で時計を製造できるようになった。
そして1894年、19ラインの“キャリバー19”を発表するとその評判は瞬く間に世界へ広がった。世界中から高い評価を得たことをきっかけにブランド名を「オメガ ウォッチ」へと改名したのだ。
オメガのコレクションは大きく分けて4つある。このどれもがブランドのアイコンレベルの人気を誇るといえるだろう。また、それぞれのコレクションから派生したこまかなコレクションも多数展開されており、豊富な商品展開も大きな魅力だ。
オメガの時計はNASAの公式装備に採用されるほど、高い耐久性と機能性を備えている。また、ISO(国際標準化機構)が認証する「スイス公式クロノメーター(C.O.S.C.)」の認定を受けているだけでなく、「スイス連邦計量・認定局(METAS)」のテストもクリアし“マスタークロノメーター”にも認定されている。
ビジュアルの良さだけでなく時計としての精度の高さも、オメガがこれほどまでに長い間、世界中で支持され続ける理由だ。
オメガを代表するコレクション
先述のとおり、オメガには大きく分けて4つのコレクションが存在する。それぞれの特徴や魅力を歴史を交えながら紹介しよう。
スピードマスター
オメガのアイコンコレクションで“マスター3部作”のひとつ。諸説あるが、1957年の1月に製造が開始され、翌年の1958年に販売されたといわれている。
1957年に発表された、300mの防水性能を誇る「シーマスター300」をベースにつくられた「スピードマスター」。シーマスターの優れた防水性能と耐衝撃性、耐磁性を引き継いだスピードマスターは、モータースポーツ向けのプロフェッショナルモデルとして展開された。
レーシングウォッチとして誕生したスピードマスターだったが、視認性や耐久性が評価され、1965年にNASAが公式装備に採用。1969年には、世界中のニュースとなったアポロ11号とともに月面へと着陸し、ムーンウォッチの称号を得た。
シーマスター
ムーンウォッチの称号をもつ「スピードマスター」とならび、オメガを代表する「シーマスター」。加えて、“マスター3部作”のひとつに数えられている。
第2次世界大戦中の1940年、オメガは堅牢性に優れた時計の製造に注力し、1948年に角型防水時計「マリーン」をベースにしたスピードマスターを発表した。
シーマスターといえば、映画「007」の主人公であるジェームス・ボンドを思い浮かべる者も多いだろう。1995年公開の「007/ゴールデンアイ」以降、すべての作中で登場していることから“ボンド・ウォッチ”との愛称もある。
着用のきっかけは当時の衣装デザイナーであるリンディ・ヘミング。海軍の軍人である知人がシーマスターを着用しており、英国紳士のボンドにはブルーダイアルのシーマスターがふさわしいと提案したのだ。
コンステレーション
6時位置に配された星とケースバックに施された天文台が特徴の「コンステレーション」。英語で「星座」という意味をもっている。
オメガ初の自動巻となる初代コンステレーションは1952年生まれ。オメガの看板を張るシーマスターやスピードマスターはスポーティーで男性的なデザインである一方、コンステレーションはドレッシーかつフォーマルな雰囲気が魅力だ。
当時、時計の精度の高さを競うコンクールが世界各地の天文台で開催されていた。時計メーカー各社が精度の高さを披露する場であり、さらにブランドの名を広めるられる。
コンステレーションのケースバックに印されたレリーフには、「精度」における8つの記録をあらわす星と天文台が刻印されているのだ。
デ・ヴィル
「デ・ヴィル」が発表されたのは1960年。もとはシーマスターの中で展開されていたが、1967年に独立してひとつのコレクションとなった。「デ・ヴィル」とは、フランス語で“都会・街”を意味している。
デ・ヴィルの特徴は、なんといってもデザインの豊富さだろう。他のコレクションもさまざまなサブコレクションが展開されてはいるが、それぞれデザインに共通しているものがある。
一方でデ・ヴィルは、サブコレクションにデザイン的な共通点をそれほど感じられず、多種多様なモデルが展開されている。また、レディースモデルの展開が多く、ドレッシーでフェミニンなデザインが魅力のコレクションだ。
オメガの人気モデルを紹介
ここからは、オメガの人気モデルを紹介する。今回は、新作を含めた選りすぐりの3本をご覧いただこう。
シーマスター ダイバー300M コーアクシャル マスター クロノメーター
自動巻き(Cal.8800)。パワーリザーブ約55時間。SSケース(直径42mm、厚さ13.6mm)。30気圧防水。74万8000円(税込み)。
オメガの定番中の定番といえるモデル。若い世代からミドルまで幅広い年齢層の憧れであり、圧倒的人気を誇っている。
初代シーマスターが日常生活防水ほどの性能から、300m防水にまで一気に進化した『シーマスター300』を色濃く継承し現代の技術と性能を加えた。
スピードマスター ムーンウォッチ コーアクシャル マスター クロノメーター クロノグラフ
自動巻き(Cal.3861)。パワーリザーブ約50時間。SSケース(直径42mm、厚さ13.2mm)。5気圧防水。99万円(税込み)。
2021年に発売されたばかりの比較的新しいモデル。スピードマスターはNASAの公式装備としても採用され、アポロ11号とともに月面着陸も果たした生粋のプロユースだ。
本モデルは、その月面着陸を果たしたモデルを再現。手巻き式のクロノグラフも含め、ビジュアルも当時の面影が残るロマンあふれる1本だ。
コンステレーション コーアクシャル マスター クロノメーター
自動巻き(Cal.8900)。パワーリザーブ約60時間。SSケース(直径41mm、厚さ13.5mm)。5気圧防水。89万1000円(税込み)。
2022年に発売されたばかりのコンステレーション新作モデル。
ブルーセラミック製のベゼル、そして針やオメガのロゴ、インデックス、星のエンブレムといったブルーと、ひと際目を引くホワイトセラミック製の文字盤が爽やかでスポーティーなデザインが魅力。ムーブメントはMETAS認定のマスタークロノメーターで信頼性も抜群だ。
世界中を虜にする、充実した名機たち
オメガのコレクションは4つすべてが代表的でありブランドを象徴するアイコンといえる。どの国でも人気上位に入り、これほどまでに長い期間支持され続けるブランドはそう多くはない。これは、オメガのビジュアルの良さだけでなく、「時計」としての優れた性能の高さや耐久性が評価されている証といえるだろう。
https://www.webchronos.net/features/70022/
https://www.webchronos.net/features/40903/
https://www.webchronos.net/features/42265/