パネライ サブマーシブルの魅力を解説。フロッグマン御用達の水中時計

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2022.12.18

海といえば半袖とクールな時計が良く似合う。そしてアクティブなメンズにはタフな時計が必要だ。今回は本格的なダイビングなどのあらゆるマリンアクティビティにも活躍するパネライのプロフェッショナル・ダイバーズウォッチ「サブマーシブル」について紹介する。


パネライ サブマーシブルとはどんな時計か

 サブマーシブルは、パネライのルミノールシリーズのひとつとして誕生した。

 シリーズから独立したきっかけは、2018年にCEOがジャンマルク・ポントルエ氏に変わったことをきっかけにコレクションが一新したことと言われている。現在、パネライのコレクションは「ルミノール」「ラジオミール」「ルミノール ドゥエ」「サブマーシブル」の4つに振り分けられる。

 サブマーシブルはタフで実用的なデザインが特徴だ。自社製キャリバーP.9010やP.900が搭載され、約3日という長いパワーリザーブと高精度を実現している。高い視認性や耐久性、耐水性など、ダイバーズウォッチとしての機能に特化したモデルとして名高い。

パネライが海軍向けに開発

 パネライが時計ブランドとして出発したのは、イタリア海軍からの要請を受けて、蛍光物質ラジオミールを使用した防水時計(ダイバーウォッチ)を完成させたことに始まる。1993年頃、民生向けに時計の開発を始めるでは軍用時計を専門に取り扱ってきたブランドなのだ。

サブマーシブル

1930年代後半から生産がはじまったラジオミール。写真は1940年代に製造された個体だ。プロトタイプで用いられていたワイヤラグが廃され、標準的な一体型ラグに変更されている。

 かつてからイタリア海軍と密接なつながりがあったパネライは、水中工作を任務とする特殊潜水部隊"フロッグマン"たちが装備する気密度系の設計と製造を要請される。

 そこで開発されたのが、現在でも根強い人気を誇る「ルミノール」の前身になるモデルだ。

ラジオミール

1940年代初頭に製作されたルミノールのプロトタイプ。現在、コレクションのアイコンとなっているリュウズプロテクターはこの時から採用されている。この個体は40年代の最初期に製造されたもので、ストラップ以外はフルオリジナルと考えられる。
 数秒の誤差が、作戦成功のカギを握る地中海での水中任務において、あらゆる作戦の同行に時計は必要不可欠だった。

 海中での過酷な行動に対応するために、防水性と耐久性を備えたケースは分厚く大型で、瞬時に時刻を読み取ることに特化し、設計されている。

 よくパネライの時計は特大ダイバーズウォッチ、といった印象をもたれることが多いのはこのためだ。

「エジプシャン」がデザインのモチーフ

1956年には、エジプト海軍潜水特殊部隊用に「エジツィアーノ」というダイバーズウォッチが開発されてきた。

 エジプト海軍に供給されたことから、イタリア語でエジプト人という意味の「エジプシャン」と呼ばれたこのモデルはルミノールのプロトタイプとしても有名だ。

 そして、このエジツィアーノからインスピレーションを得て誕生したのが、今回ご紹介するサブマーシブルとなる。

 エジツィアーノは直径60mmという非常に大きく丈夫なケースが特徴な時計だが、普段用の時計としては、使いづらいためサブマーシブルは通常使用が可能なサイズに設計されている。


サブマーシブルの魅力とは何か

 サブマーシブルはダイバーウォッチとしての優れた性能を備えている。サブマーシブルの人気を支えているその性質・機能について紹介しよう。

独自素材の採用

 サブマーシブルはモデルによってパネライの独自素材が使われている。その中でも代表的な素材を紹介しよう。

  • eスティール™️
    eスティール サブマーシブル

     エコを意識し、開発された。リサイクル素材というと従来の品質よりも劣るイメージを持ちがちだが、耐久性や防水機能など、ベーシックなスティールとほぼ変わらない性質を持っている。


  • BMG-TECH™️

    BMG-TECH サブマーシブル

     不規則な原子構造を持つバルク金属ガラス。耐久・耐磁性に優れている。バルク金属ガラスは、結晶化せず、原子が規則的に並ばないため、衝撃に強い構造となっている。


  • カーボテック

    カーボテック サブマーシブル

     カーボンファイバーをベースとする複合素材で、チタンよりも軽く、ステンレススティールよりも強い特性を持っている。炭素繊維のシートを高圧圧縮することで生み出された。アレルギーを起こしにくく、耐食性にも優れている。


高い実用性

 サブマーシブルはダイバーウォッチとして、高い実用性を備えている。その機能をふたつ紹介しよう。

 まずは逆回転防止ベゼルだ。潜水経過時間を計るベゼルが時計回りに動いてしまった場合、実際の潜水時間よりも短く表示されて、重大な事故につながってしまう。これを防ぐために反時計方向にしか動かない仕組みとなっている。また、一部のゴールドケースモデルを除き、ほとんどの時計が300m以上の防水性能を与えられており、本格的な潜水活動でも利用しやすい。

 なお、過去にはRef.PAM00364という2500m防水モデルも存在した。


2022年に発表されたパネライ サブマーシブルのモデルを紹介

2022年に発表された、サブマーシブルの新作モデルを紹介しよう。それぞれのモデルの特徴や魅力を解説していく。

サブマーシブル クアランタ クアトロ

サブマーシブル クアランタ クアトロ ビアンコ

パネライ「サブマーシブル クアランタ クアトロ ビアンコ」
自動巻き(Cal.P.900)。23石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約72時間。SS(直径44mm)。300m防水。122万9800円(税込み)。

2022年に登場した、サブマーシブルの新作モデルだ。クアランタはイタリア語で「40」という数字を意味し、クアトロは「4」を意味する。そのため、クアランタ クアトロを直訳すると「44」となり、これはケースサイズがモデル名となっている。

 つまりケース径が44mmであることを意味しており、「サブマーシブル クアランタ クアトロ」のモデルはいずれもケース径が44mmで統一されているのが特徴だ。

「サブマーシブル クアランタ クアトロ」は、環境に配慮した再生素材「eSteel」を素材として組み込んだ「eSteelモデル」「ルナ・ロッサモデル」、パネライ独自の高級素材「カーボテック」を組み込んだモデルなどがある。

 サブマーシブルにはもともと47mmと42mmのふたつのケース径があるが、この44mmのモデルもまた、定番のコレクションになっていくだろう。300mまでの耐水性があり、潜水経過時間を測定するための逆回転防止ベゼル、特許取得済みのレバーロック式リュウズプロテクターなど、サブマーシブルらしい機能を保有している。

サブマーシブル フォルツスペシャリ

サブマーシブル フォルツスペシャリ

パネライ「サブマーシブル フォルツスペシャリ」PAM01239
自動巻き(Cal.P.9100/R)。37石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約72時間。Ti(直径47mm)。300m防水。世界限定300本。374万1100円(税込み)。

 クロノグラフを搭載した限定モデル。世界限定300本のPAM01239と、限定50本が発売されたPAM01238の2ラインナップで、いずれも希少価値の高いモデルとなっている。

 P.9100/R キャリバーが搭載され、30気圧防水など、サブマーシブルモデルの特徴である実用的な機能を備えている。サイズは47mmで大きめ。ケース素材はチタンでベゼルにはセラミックインサートが用いられる。ケースバックには、ダイバーのエングレービングが施されている。


パネライ サブマーシブルはファッション性にも優れた本格派ダイバーズウォッチ

 イタリアの軍用の時計として開発され、海軍軍人たちの戦いを支えたのがパネライのダイバーズウォッチだ。

 ミリタリーウォッチは無骨で男らしいデザインが多い半面、美しさやお洒落といったイメージからはどうしてもかけ離れがちだろう。

 しかし、このサブマーシブルに関しては、さまざまなモデルが多く発売されており、イタリアのブランドらしい清潔感やスタイリッシュな印象を抱くデザインも豊富にそろっている。

 特にダイビングをたしなむ大人にとっては実に魅力的で、堅牢性や機能性も非常に高い。

 軍用時計を開発してきたパネライのノウハウとロマンが詰まった時計は、男らしく鍛え上げられた腕にもよく似合うことだろう。


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