時計ブランド各社は、さまざまな用途を想定して多彩な機能を搭載した腕時計を発表している。誰もが宇宙で活動したり、世界中を飛び回ったり、飛行機を操縦したりするわけではないが、そういったシーンのために作られたモデルについて知るのはなかなかに面白い。今回はオメガ、セイコーなど5ブランドからピックアップした多機能時計5本を紹介する。
オメガ「スピードマスター X-33 マーズタイマー」
クォーツ(Cal.5622)。グレード2チタンケース(直径45mm、厚さ14.89mm)。3気圧防水。88万円(税込み)。(問)オメガお客様センター Tel.03-5952-4400
月面で着用された初の腕時計を作ったオメガから、火星の時間も計測できる特別な腕時計「スピードマスター X-33 マーズタイマー」が登場した。2014年に発表された「スピードマスター スカイウォーカー X-33」同様、搭載されるのは高精度で温度補正機能の付いたクォーツムーブメントであり、これは欧州宇宙機関(ESA)による綿密なテストにも合格したものである。
また、欧州宇宙機関(ESA)の特許のもとに開発したMTC(調整火星時間)機能は、1日が地球よりも39分長い、火星の本初子午線での日時を示す。また、地球と火星における北の方角を正確に表示する太陽コンパスや、MET(ミッション経過時間)、PET(フェイズ経過時間)、アラーム、パーペチュアルカレンダーなど、スピードマスター スカイウォーカー X-33に搭載されていた従来の機能もすべて備えている。
ケースはグレード2チタン製で、火星を思わせるレッドヘマタイトカラーのシュウ酸アルマイト処理が施されたアルミニウム製のベゼルリングが採用されている。
ティソ「T-タッチ コネクト ソーラー」
デジタルクォーツ。Tiケース(直径47.5mm、厚さ15.3mm)。100m防水。13万4200円(税込み)。(問)ティソ Tel.03-6427-0366
ティソは1999年を皮切りに、多機能なタッチパネル式ウォッチ「T-タッチ」コレクションを次々と展開している。「T-タッチ コネクト ソーラー」は、2004年に発表されたスマートフォン連動機能搭載の「ハイ-T」で得たノウハウを活かして、スマートフォン連動を実現したものだ。Bluetooth接続により、リマインドや電話の着信なども知らせてくれる。
ディスプレイにはソーラーセルを内蔵し、自然光または人工光をエネルギー源として数カ月間にわたり駆動することができる。さらに、本モデルから日本語表示も追加された。
その他にも、気圧、気温、方位計、高度、消費カロリーや、GPS内蔵のアクティビティトラッカーで移動距離や経路なども表示可能だ。またクロノグラフやカウントダウンタイマー、アラーム、タイムゾーン、パーペチュアルカレンダーも搭載している。
チタンケースに、サファイアクリスタル製風防やセラミック製ベゼルを組み合わせることで、傷に強く、かつ100mの防水性能を備える。文字盤にはアナログ式の針を備え、表示切替はリュウズやプッシャー、タッチパネルから操作できる仕組みだ。
セイコー「セイコー アストロン GPSソーラー 5X」
GPSソーラー(Cal.5X53)。12石。平均月差±15秒。フル充電時約6か月間、パワーセーブ時約2年。Tiケース(直径42.9mm、厚さ12.2mm)。日常生活用強化防水(10気圧防水)。25万3000円(税込み)。(問)セイコーウオッチお客様相談室 Tel.0120-061-012
「セイコー アストロン GPSソーラー 5X」は、移動が多い人にとってわずらわしい時刻調整を自動で行うモデルだ。GPSソーラームーブメントのキャリバー5X53を搭載し、着用者がどこにいても10万年にわずか1秒の誤差という精度で時間を示してくれる。
低動力で稼働するGPS受信機の開発により、このモデルは太陽の光を感知すると自動的に世界のGPSネットワークから信号を受け取る。また、ボタンを押すことで現在のタイムゾーンのローカルタイムに変更できる。6時位置に配された第2時間帯表記は、旅に適しているといえるだろう。
この時計の動力源は、モデル名に「ソーラー」とあるとおり、光エネルギーだ。チタン製のケースはセラミックベゼル、サファイアクリスタル製風防を備え、セイコーが独自開発した表面加工技術であるダイヤシールドによって高い耐傷性を備えている。
ブライトリング「エクゾスペース B55 ヨッティング」
スーパークォーツ™(Cal.B55)。Tiケース(直径46.0mm、厚さ15.25mm)。100m防水。生産終了。(問)ブライトリング・ジャパン Tel.0120-105-707
ブライトリングも、2016年よりスマートウォッチ市場に参入している。そのファーストモデル「エクゾスペース B55」は、パイロットのための機能を多数搭載したものであった。そして18年の「エクゾスペース B55 ヨッティング」より、電子タキメーターやカウントダウン/カウントアップ表示、フライバック、ラップタイマー、レガッタ・クロノグラフなど、ヨットマンのための多彩な機能が追加された。
また、シンプルな制御モードや、リュウズを押すか手首を傾けることで起動するバックライティング・システムといった機能も搭載。ケースはチタン製で、ライダータブ付きベゼルを備えている。スマートフォンと連携することで、計測した時間をスマートフォンに転送することもできる。さらに、スマートフォンから時刻、タイムゾーン、アラームの設定も可能だ。
ガーミン「フェニックス 7X サファイア デュアルパワー」
GPSウォッチ。スマートウォッチモード使用時のパワーリザーブ約28日間(ソーラー充電により+約9日間)。Ti+DLCケース(直径51mm、厚さ14.9mm)。10気圧防水。13万7500円(税込み)。(問)ガーミンジャパン Tel.0570-049-530
「フェニックス」は、ガーミンのフラッグシップモデルであるマルチスポーツ GPS ウォッチのコレクションに連なるモデルだ。「フェニックス 7X サファイア デュアルパワー」は、フェニックスのファーストモデルが発表されてから10年目の2022年に発表されたシリーズである。
このモデルの特徴は、改良版のインターフェイスを備えたタッチスクリーンが採用されていることだ。タッチスクリーンには、耐久性と耐擦傷性に優れたサファイアクリスタルと特許取得済みの高透明ソーラーパネルが組み合わされたパワーサファイアガラスが使用されている。また、時計はソーラー充電式となっており、一度の充電でバッテリー最長モードで約213時間+約365時間、GPSモードで約89時間+約33時間稼働する(ソーラー充電、5万ルクスの条件での使用を想定)。
また「フェニックス 7」は、スポーツ関連のアプリを30種類以上搭載しており、室内クライミングから水泳、サーフィンや筋肉トレーニングなど、多岐にわたる。内蔵型の地形図もより充実した。日本詳細地形図や世界2200以上のスキーマップ、および4万2000以上のゴルフコースもデフォルトで搭載されている。GNSS マルチバンド テクノロジーによって、L1信号、L5信号の2周波数帯が受信可能になり、GPS測定が難しい環境においても高い精度を実現する。
血中酸素レベルや手首で計測する心拍数、呼吸、ストレスレベル、体力、フィットネス年齢、睡眠の分析など体調も把握でき、Suicaや非接触型支払いシステム「Garmin Pay」も搭載。スポーツだけでなく、日常でも重宝する機能を備えている。
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