今回レビューを行うのは、G-SHOCKの本格ダイバーズウォッチ「フロッグマン」の誕生30周年を祝う「GWF-A1000APF-1AJR」。挑戦的なルックスが目を引くが、機能面においても高機能ダイバーズが向かうべき方向性を示すモデルだった。
Text by Masaharu Nabata
2022年12月24日掲載記事
「ヤドクガエル」モチーフの強烈な外観
実は今回のインプレッション、実際に時計が手元に届くまで、どのメーカーのどのモデルかは、一切、知らされていなかった。
果たして私が担当するモデルは何なのか? 届けられた箱を開けた瞬間、いや正確に言うと時計を収めた箱が届き、それを手にした瞬間、ズシリとした重みに「この時計はタダモノではない!」という直感が走った。
そして箱を開けて出てきたのが、カシオの新作G-SHOCK MASTER OF Gの本格ダイバーズウオッチ「GWF-A1000APF-1AJR」だった。これは1993年に最初のモデルがリリースされた「FROGMAN(フロッグマン)」の誕生30周年を記念するスペシャルモデルだったのである。
タフソーラー。フル充電時約30カ月(パワーセーブ時)。樹脂ケース(直径51.7mm)。ISO200m潜水用防水。13万7500円(税込み)。2023年1月発売開始予定。
それにしても強烈な外装デザインである。ベゼルはブラックとレッドのストライプをセンターに配置し、両サイドをブルーとブラックのストライプでサンドイッチするという派手派手な構成。さらにインデックスは鮮烈なレッド、針と右サイドのプッシャーはターコイズブルーと、ベゼルに呼応してビビッドなカラーが採用されている。
「これは一体、何がモチーフなのか?」と首をひねりながら公式サイトにアクセスしたところ、下記のような説明があった。
「南米のアマゾンに生息する稀少なヤドクガエルをモチーフに、その神秘的な色彩を表現するためマルチカラーカーボンをベゼルに採用しました」
なんと、この「フロッグマン」は、カエルはカエルでもアマゾンのヤドクガエルがモチーフだったとは!
ヤドクガエルとは、その名の通り、皮膚から常に毒が分泌されており、その毒をアマゾンの先住民が吹き矢に塗って狩猟に用いたため、この名がついたという危険生物。このヤドクガエルは、自らに毒があることを示すためか、極めて派手な体色を特徴とし、ブラックとレッド、ブラックとブルー、ブラックとオレンジ、イエローとブラックなど、日本の田園地帯でみられるアマガエルやトノサマガエルとはまるで異なる、見るからに危険な体色が大きな特徴なのである。
そもそも「フロッグマン」とは、海中(水中)で軍事行動を行う工作員・戦闘員のこと。確かにヤドクガエルも「フロッグ(カエル)」には違いないが、まさかその派手な体色が腕時計に導入されるとは誰もが予想しなかった大胆な発想である。さすがカシオ、やることがブッ飛んでいる。
それにしても凄いデザインのベゼルだ。これはマルチカラーのカーボンから削り出されたもので、ふたつとして同じものはないという。この派手なカラーリングを阻害しないためだろう、クリアな樹脂製のガードが採用されている。
ただ私は、このクリアな樹脂製のベゼルガードから、輸送時に時計を保護するプロテクターを連想した。ベゼルのカラーを透過させて見せるための選択だとは思うが、もう少し高級感のある素材が良かったような気もする。
さらに外装について言及すれば、偏光インクをスプレー塗装することでヤドクガエルの体表の質感を表現したストラップも見どころのひとつ。ということは、このストラップにも個体差があるわけ。
素材はフッ素エストラマー。防汚性に優れ、加水分解しにくいというが、やや硬めなのが気になった。できるならオプションで良いので、よりソフトで装着が簡単なストラップも用意していただけるとありがたい。