1000m防水のハイスペックダイバーズは日常使い可能? エドックス「ネプチュニアン オートマティック」をレビュー

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2022.12.28

『クロノス日本版』の編集部員が話題のモデルをインプレッションし、語り合う連載。今回は「デルフィン」をはじめ半世紀以上にわたって防水時計を手掛けてきたエドックスが1000m防水に挑んだ意欲作「ネプチュニアン オートマティック」を好き勝手に論評する。文字盤やセラミックベゼルなど、20万円台とは思えないディテールを持つ半面、ブレスレットには課題が残るモデルだ。

堀内僚太郎:写真 Photographs by Ryotaro Horiuchi
阿形美子:文 Text by Yoshiko Agata
2022年12月28日公開記事

ネプチュニアン オートマティック

エドックス「ネプチュニアン オートマティック」
海の神・ネプチューンにインスピレーションを受けて誕生した新たなダイバーズコレクション。1000mの防水性能に、ヘリウムエスケープバルブや耐傷性に優れたセラミックス製ベゼルを持つ。インデックスと針には夜光塗料ルミノバの最上級グレードX1を使用した本格的な仕様だ。自動巻き(Cal.EDOX80)。26石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約38時間。SS(直径44mm、厚さ15.6mm)。1000m防水。23万1000円(税込み)。


“海の王”の名を冠するダイバーズウォッチ

細田今回はエドックスの「ネプチュニアン オートマティック」です。元々は、「スカイダイバー」コレクションの中に「ネプチュニアン」がラインナップされていたんですけど、最近、ネプチュニアンが独立したシリーズになって、現在は切り替わり中です。現在、販売されているモデルの一部は文字盤に「Sky Diver NEPTUNIAN」のロゴが入っていますが、随時「NEPTUNIAN」のみの表記に切り替わっていきます。今回僕らが着用したものにはSKY DIVERロゴが入っています。

鈴木価格は税込み23万1000円だったよね?

広田頑張ったプライシングです。

ヘリウムエスケープバルブ

ケースの9時位置にはヘリウムエスケープバルブを配した1000防水性能。スクリューバックにはモデル名の由来となったローマ神話の海の神・ネプチューンのモチーフが刻まれる。

細田すごく安いですよね。恐らくISOには準拠していませんが1000m防水性能で、ヘリウムエスケープバルブまで付いています。

広田はい、3時位置に夜光が入っていないから、新しいISOには対応していないですね。

広田このモデルは、お金の使い方のメリハリが非常にはっきりしているのが特徴です。文字盤はラッカーが綺麗だし、セラミックスをインサートしたベゼルも上質に見える。価格帯を考えるとバチバチに仕上げているわけじゃないけど、ヘッドの角も落とすなど、袖口に引っかからないように作るなど工夫されています。

鈴木そうですね。ケース厚は15.6mmとそれなりにボリュームはあるけど、そこまで袖口に引っかかって邪魔になるってこともなく着けられました。昔はなかったけど、今はスーツスタイルにハズしでダイバーズを合わせるっていうスタイリングもありますから、色んな装い・シチュエーションで使えるんじゃないでしょうか。

細田20万円台の時計としてパッと見た印象はすごく良いし、触った感じも悪くないです。

広田裏蓋の刻印の角を落として、強く留めても腕に跡がつかないようになっていたりして、その辺のこなれた感じもします。

土井ケースバックの刻印は、コレクション名が反映されているのもポイントですね。

鈴木所有する人にとっては愛着が湧くかもね。外した時に見えるのが、満足感があります。梨地と立体との組み合わせで。


ブレスレットは改善の余地あり。編集部ではラバー推しか?

広田ただ、ヘッドにお金を使いすぎたのか、ブレスレットのバランスが……。

鈴木そうなんだよね。ブレスレットとバックルがちょっと貧弱です。でも、ハカセが言った通り、ベゼルや文字盤とケースの面取り含め、パッと見た時の印象の良さを追求していますね。

細田担当の方とも話ししたんですけれど、これまでもブレスレットがプアという声は多かったようで、ブレスレット自体は途中で若干厚みのあるものに変更されているようです。ただ先日、新作を見てきましたが、触り比べてやっと分かるレベルだったので、まだ足りていない、っていうのが正直なところかなと。それから……ブレスレットの問題といえば、土井が着けられなかったんだよね?

土井はい、調整コマを全部外してもあと2〜3コマ取らないといけないくらい大きかったです。自分の手首周りは14.7cmで確かに細いんですけど、ただ、日本人男性には15cm以下の人も結構いるはずなので。

細田そこは日本仕様のブレスレットにも期待したいですね。

ネプチュニアン バックル エクステンション

編集部の面々はヘッドに対するブレスレットの厚みに着目した。さらに、微調整バックルは調整部分が外に伸びる仕様のため、負荷のかかる箇所が薄くなりすぎてしまう等、改善の余地がある。

鈴木バックルもまだ再考の余地はありそうです。

細田そうでしたね。最近は微調整付きのバックルが増えていますが、基本的には調整部分がバックルの中に収納されていてその中で調整できる仕組みが多いんですけど、これは違ったんです。

土井微調整部分がバックルの外側に伸びてくるので、薄い部分が増えちゃうし、ガタもあるので、不安要素にはなりますよね。

細田我々の感覚からすると、5万円値上げしていいからブレスレットとバックルをしっかりしてほしいと思うんですけど、ブランドとして何としても20万円前半に収めたいかどうかの兼ね合いなのかなと思います。

広田まぁ、1000m防水に耐えるブレスレットを真面目にやろうと思ったら、ねじ込みにすしかないので。もし、スペックをフルに使いたい人がいれば、肉厚のラバーストラップならヘッドに合うバランスになるかな?

細田ラバーストラップのモデルがあるので、そっちの方がオススメかもしれないですね。ラバーだと22万円税込みです。

広田うん、ラバーだね! これはラバーストラップでかっちり留めるとサマになる時計かなと思います。

細田エドックスは「クロノオフショア1」でラバーストラップに関しては結構ノウハウがあるので、そっちの方がブランドとしても上手なのかと思います。

広田あるいは、ドイツ製の重いミラネーゼブレスレットに替えるとか。

鈴木ヘッドのスペック的には1000mだけど、全体としては丘仕様のダイバーズですね。

広田あとは細かな部分で気になったこととしては、ISOダイバーじゃないからしょうがないんですけど、ベゼルを回転させてセンターの12時位置に戻した時にインデックスとのズレが若干ある。なので、水中でガシ使いというより、街中で高級な雰囲気を楽しむ使い方になると思います。