世界のセレブたちがどんな時計を着けているのか、ワンシーンを切り取り紹介する連載コラム「セレブウォッチ・ハンティング」。今回は俳優の小栗旬が2014年に着用していたカシオの腕時計を紹介しよう。
Text by Yukaco Numamoto
2023年1月8日掲載記事
芸術一家という環境で育った小栗旬
大きな話題となった大河ドラマ「鎌倉殿の13人」が最終回を迎え、主演を務めた小栗旬をはじめとする役者陣の演技にも注目が集まっている。2022年からはカルティエの「フレンズ オブ メゾン」も務めている小栗旬だが、高級メゾンだけでなく、カジュアルな時計も所持していることに注目する。
2022年12月26日で40歳を迎えたばかりの小栗旬。俳優でもあり、監督業も行う人物だ。父は舞台監督の小栗哲家、母はクラシックバレエの教師、兄は演出家の小栗了、妻はモデルで女優の山田優という、芸術系の職業に就く人が周りに多くいる環境で育っている。
その環境で育ったのであれば、子役になったのは両親からの薦めもあったのか? と思うが、実はオーディションに応募したきっかけは小学校6年生の時に内田有紀へ憧れたことからだったという。エキストラとしての出演から演技力が開花し、蜷川幸雄のお気に入りとなった。蜷川作品の常連となってから舞台でも活躍し、海外からの評価も高い。
日本でブレイクしたきっかけの作品はドラマ「花より男子」の花沢類役だと言えるが、実は小栗旬はこの出演を迷っていたという。当時の小栗旬は少女漫画のキラキラした世界観ではなく、渋い役者としての道を歩みたいと考えていた。そうインタビューで話しているが、その背中を押したのは実の姉からの身内ならではの一言だったそうだ。原作のマンガファンだった姉に「花沢類の役は無理!違う!」と言われたことで逆に一念発起した経緯である。反骨精神の持ち主でもあるのだ。
小栗旬はカシオ「データバンク」を着用
そんな小栗旬が2014年10月6日に行われたドラマ「信長協奏曲」でのプレスカンファレンスで着用していた腕時計を見てみよう。破天荒な主人公の役柄を思い起こさせるカジュアルな装いに合わせた時計はカシオの名作、データバンクだ。こちらは海外仕様のモデルで、現在も探せば容易に購入できる。
カシオは元々計算機の販売メーカーだったことを考えると、データバンクはごく自然な流れで誕生した時計であるといえる。1983年に発売された電子手帳からスタートし、1984年には腕時計型電話帳機能搭載のデータバンクCD-40-1/CD-401-1が発売された(発表当時のメモリー件数は10件だった)。
電卓機能、列車の時刻表管理機能、電波時計版、写真撮影データバンク、音声録音データバンク、デジタルアナログモデル、キッズ用データバンク、光通信可能モデルなどが存在し、1984年から1997年の間に国内モデルだけで約340種類が発売された。
過去に発売されたデータバンクの機能を見てみると、スマートフォンの機能と同じようなものであることに気付く。スマートフォンの普及率は日本においては2010年で4%ほどだったのに対し、2022年は94%となっている。
スマートフォンが主流の社会になってからデータバンクの機能を使っている人はおそらくほとんどいないと思われるが、このレトロフューチャーな秘密道具風味のある雰囲気が現在も多くのファンの心を離さない。
今回の小栗旬の写真が撮影された日は「信長協奏曲」のプレスカンファレンスだったわけだが、このイベントに小栗旬がデータバンクを選んだことは洒落たセレクトだと思う。"現代社会からタイムスリップし、信長として生きる"というストーリー(観ていない人はぜひ観てほしい)に、どの時代でも愛される人に寄り添う魅力的なモノを選んだのではないだろうか。10代の頃から活躍し、役者としての第一線にいる小栗旬は次にどのような役柄を演じ、どのような時計を選ぶのかが楽しみだ。
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