ジョージ ジェンセンのアイコニックなコレクション「コッペル ピッチャー」がカラフルになって登場した。それは、60年以上前に描かれたデザイナーのスケッチをもとに現代によみがえらせた逸品。“形と色”を楽しみながら、使ってもらいたい。
吉江正倫:写真 Photograph by Masanori Yoshie
[クロノス日本版 2023年1月号掲載記事]

(右)2008年に再登場したステンレススティールモデル。Ref.3586804。ステンレススティール(ミラー仕上げ)。H335×W155×D120mm。容量1.9リットル。5万5000円(税込み)。
(左)ブルーサテンで彩られた最新作。計4色展開。Ref.10019721。ステンレススティール(塗装仕上げ)。H285×W109×D140mm。容量1.2リットル。2万9700円(税込み)。ジョージ ジェンセン 銀座本店またはオンラインストアにて限定販売。
テーブルで色を楽しむ美しきピッチャー
シルバーカトラリーやジュエリーで人気のデンマーク王室御用達ブランド、ジョージ ジェンセン。このブランドのシルバー製品、ステンレススティール製品を幾つか使っているのだが、どれも重厚感があり、高品質で素晴らしいものばかり。そんなお気に入りブランドから、このたび白眉の作品が復活した。1950年代に「北欧デザインの父」と称された著名なデザイナー、へニング・コッペルとのコラボレーションである伝説の「コッペル ピッチャー」が、カラフルになって登場したのだ。
コッペルは描画や水彩画を学んだ後、デンマークとパリで彫刻を学んでいる。1946年からジョージ ジェンセンで働き始め、ジュエリーやカトラリー、シャンデリアなどの幅広いアイテムを手掛けていた。その類まれなるデザインの才能は、ミラノ・トリエンナーレをはじめとする、数多くの受賞歴を見ても明らかだ。
さて、このピッチャーのオリジナルは当初スターリングシルバー製として登場したが、2008年にステンレススティール製となり再登場。その後、コレクションとなり、ラインナップを展開し続けているのだ。今回の新作は、ジョージ ジェンセンのアーカイブに眠っていた、コッペルが当時描いていたカラフルなスケッチから着想を得て、60年以上の歳月を経て具現化されたもの。近年の卓越した技術により、ステンレススティールに見事な塗装仕上げを施している。深いブルー(アイコニックブルー)、優しいパステルカラー(ピスタチオ クラッシュ)、柔らかなラベンダー(ラベンダー ブラッシュ)、淡いブルー(ブルーサテン)の4色展開で、表面はモダンなマット仕上げ、内側には艶やかなミラー仕上げを施している。
この「コッペル ピッチャー」の新作は彫刻家としてのコッペルの魅力が最大限に引き出された作品である。有機的で美しいラインに加えて、カラフルな色が使う者に一層の喜びを与えてくれるのだ。手に触れ、毎日使うものだからこそ、完成されたデザインは大切なのだと思う。まさにおすすめの逸品である。
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