2023年の新作時計発表目前!今こそ振り返りたい2022年の「ベストウォッチ」10選

FEATUREWatchTime
2023.02.08

2023年のウォッチズ&ワンダーズやジュネーブ・ウォッチ・デイズの開催が近付いてきた。改めて2022年の良作を振り返り、いよいよ始まる新作発表ラッシュに期待を高めていこう。『クロノス』ドイツ版やアメリカ版「WatchTime」の編集者たちが、実際に手に取り高評価を与えた2022年の「ベストウォッチ」10本を紹介する。

Originally published on watchtime.net
Text by Nadja Ehrlich
2023年2月8日掲載記事


アメリカWatchTime編集長 ロジャー・ルーガーが選ぶ2022年のベストウォッチ

ロジャー・ルーガー

アメリカ版「WatchTime」編集長のロジャー・ルーガー。

 私が思う2022年のベストウォッチは、スウォッチとオメガの勇気ある共同プロジェクト、バイオセラミックスのケースを採用した「ムーンスウォッチ」でした。2022年、時計業界でこれほどの成果を上げた時計は他になかったのではないでしょうか。この種の製品で、何千人もの人々が専門店の前で夜通し待つようなものはごくわずかです。このウォッチラインの実現に敬意を表します。またあらゆる年齢層に、腕時計を着けることの楽しさを思い出させてくれたオメガに感謝します。

ムーンスウォッチ

オメガ × スウォッチ「ムーンスウォッチ」Mission to Mercury(水星へのミッション)
クォーツクロノグラフ。バイオセラミックス(直径42mm、厚さ13.25mm)。30m防水。3万6300円(税込み)。(問)オメガお客様センター Tel.03-5952-4400

 ベストウォッチについてはいろいろな考えがあるので(オメガ『シーマスター プラネットオーシャン ウルトラディープ』はこの後登場するマルティナ・リヒターに取っておこう)、私はMB&Fの「レガシー・マシン シーケンシャル エヴォ」も挙げます。ブランドの20番目のムーブメントを搭載していること、何時間着用しても時間を忘れてしまうような時計であることがその理由です。機械仕掛けの詩、そんな存在感があります。

レガシー・マシン シーケンシャル エヴォ

MB&F「レガシー・マシン シーケンシャル エヴォ」
手巻き。59石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約72時間。ジルコニウムケース(直径44mm、厚さ18.2mm)。80m防水。ラバーストラップ。参考価格16万ユーロ。


『クロノス』ドイツ版編集長 ルディガー・ブーハーが選ぶ2022年のベストウォッチ

ルディガー・ブーハー

『クロノス』ドイツ版編集長を務める、ルディガー・ブーハー。

 高級腕時計への情熱は、驚くような記録によって高められます。ロレックスは、60年以上前にエベレストとマリアナ海溝という、地球上の最高峰と最深部の両方に到達した最初のブランドとなりました。さらにロレックスは、2012年にジェームズ・キャメロンが行ったマリアナ海溝潜航のために開発した試作モデルを進化させ、「オイスター パーペチュアル ディープシー チャレンジ」の市販化を実現させました。これには大いに敬意を表します。

 さらに直径50mm、厚さ23mmの本モデルはチタン製ケースを採用して総重量を軽減し、非常に身に着けやすい仕上がりです。2022年末にロレックスがこの記録的なモデルで時計業界に話題を呼んだ理由のひとつに、後述されるオメガ「シーマスター プラネットオーシャン ウルトラディープ」へのライバル意識の再燃があったことは十分に考えられます。

オイスター パーペチュアル ディープシー チャレンジ

ロレックス「オイスター パーペチュアル ディープシー チャレンジ」
自動巻き(Cal.3230)。31石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約70時間。RLXチタンケース(直径50mm)。1万1000m防水。

 2022年には、まったく別の時計が私の顔をほころばせました。パルミジャーニ・フルリエ「トンダ PF GMT ラトラパンテ」です。このモデルは多くのディテールが完璧に調和し、実にエレガントに仕上がっています。まだドイツで知名度の高くないこのブランドのために、私はこれから尽力したいと考えています。

 本モデルの最大の特徴は繊細なギヨシェが施された文字盤にあり、シースルー加工を施した針や短めのインデックス、さりげないブランドロゴなどにより、すっきりとした印象が与えられています。また、さらに精巧なポイントが加えられています。ローカルタイムの2本目の時針は、8時位置のプッシャーを押せばすぐにもう1本と同期し、隠れて見えなくなります。この複雑機構のあらゆる面で、ブランドがいかに全体像を考え抜いたかが分かる革新作です。

トンダ PF GMT ラトラパンテ

パルミジャーニ・フルリエ「トンダ PF GMT ラトラパンテ」
自動巻き(Cal.PF051)。31石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約48時間。SS×Ptケース(直径40mm、厚さ10.7mm)。60m防水。328万9000円(税込み)。(問)パルミジャーニ・フルリエ pfd.japan@parmigiani.com


watchtime.net編集長 マルティナ・リヒターが選ぶ2022年のベストウォッチ

マルティナ・リヒター

watchtime.net編集長のマルティナ・リヒター。

 最初のコーアクシャル エスケープメントから、飽和潜水が可能でマスター クロノメーターの認定を受けた「シーマスター プラネットオーシャン ウルトラディープ」に至るまで、オメガのモデル開発を長年にわたり敬意を持って注視してきました。6000mの防水性を保持するシーマスター プラネットオーシャン ウルトラディープは、日常使いのできる装着感の良さから幅広い客層に訴求する時計となり、現在も技術と構造、素材についていくつか特許申請中の要素があります。また耐圧性に優れた特殊素材や、マスター クロノメーター認証のムーブメントの安定性に魅力を感じます。オメガは本当に偉大な開発を行ったのです。

シーマスター プラネットオーシャン ウルトラディープ

オメガ「シーマスター プラネットオーシャン ウルトラディープ」
自動巻き(Cal.8912)。39石。2万5200振動/時。パワーリザーブ約60時間。グレード5チタンケース(直径45.5mm、厚さ18.12mm)。6000m防水。169万4000円(税込み)。

 年次カレンダーは、永久カレンダーよりも実用性が高いものの見かける機会は少なく、常に私を驚かせてくれます。グラスヒュッテ・オリジナルは「パノマティックカレンダー」によって、年次カレンダーを新たにラインナップに加えました。そのために開発されたのが、新型自動巻きキャリバー92-09です。

 もちろん、パノラマデイトやダブルスワンネック緩急針などの確立した構造をベースとしていますが、年次カレンダーを実現するための月替わりホイールなど、新しい構造も搭載しています。外観はラージデイト表示や時分秒表示のオフセンター配置など、個性的なデザインが維持されています。月表示は文字盤の外周に控えめに配置され、ムーンフェイズは黄金の星に取り囲まれて輝きます。非常に完成度の高いアレンジといえるでしょう。

パノマティックカレンダー

グラスヒュッテ・オリジナル「パノマティックカレンダー」
自動巻き(Cal.92-09)。2万8800振動/時。パワーリザーブ約100時間。18KRGケース(直径42mm、厚さ12.4mm)。50m防水。379万5000円(税込み)。(問)グラスヒュッテ・オリジナル ブティック銀座 Tel.03-6254-7266