オリス念願の自社製手巻きムーブメントを搭載した「ビッグクラウン ポインターデイト」の復活だ。やや小ぶりな38mm径のケースに収めたことも、オリスの想いの表れである。ケースバック側のパワーリザーブ表示も利便性が高い。
初期モデル同様に6時位置のスモールセコンドが採用された点にも注目。ストラップはサステナブルなレザーを製造するチェルボボランテによるもので、廃棄予定だった鹿革が採用されている。手巻き(Cal.473)。パワーリザーブ約120時間。SS(直径38mm)。5気圧防水。63万8000円(税込み)。
Edited by Kouki Doi (Chronos-Japan)
[クロノス日本版 2023年3月号掲載記事]
新世代のアイコン「ビッグクラウン キャリバー473」
オリスの新世代のアイコンとなるモデルの誕生である。「ビッグクラウン キャリバー473」の登場は自社開発の手巻きムーブメントを搭載した「ビッグクラウン ポインターデイト」が長き時を経て復活したことを意味するからだ。アイコニックな大型のリュウズとポインターデイトに加え、初期モデルを思わせるやや小ぶりな38mmケースに、6時位置にはスモールセコンドが与えられている。
一般論を言えば、常用する時計が止まることを嫌って、着用により主ゼンマイが巻き上がる自動巻きモデルが好まれる。これに対するオリスの回答を想像すると、約120時間(5日間)のロングパワーリザーブとパワーリザーブ表示を備えれば、止まるほどの巻き忘れは避けられる、とのことであろう。またオリスはケースバック側にひとつの仕掛けを施したように思う。ムーブメントを覆うプレートには新たにヘアライン仕上げを与え、その外周には面取りを施した。仕上げを鑑賞しやすいのは手巻きムーブメントの特権であり、本作を手にしたならそれを堪能したくなるはずだ。そうすれば自然とパワーリザーブ表示が目に入って巻き忘れも防げる。巻き上げによって表示が変化する様も楽しめるだろう。
また、本作は高い耐磁性能を備えつつ、10年間のメンテナンスフリーがアナウンスされ、10年間の保証期間が与えられる。日常をともにする1本として頼もしい仕上がりだ。
「ケース径40mm程度が標準」「手巻きモデルは売れにくい」というのが昨今の市場動向だと言い切って良いだろう。これに対し本作は、往年のモデルを思わせる、やや小ぶりなケースに新開発の手巻きムーブメントを組み合わせてきた。保守的にも見える本作は、その実、非常に攻めたコンセプトを秘めている。
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