世界のセレブたちがどんな時計を着けているのか、ワンシーンを切り取り紹介する連載コラム「セレブウォッチ・ハンティング」。今回は2023年5月に日本で開催の可能性があるWBC・WBO世界スーパーバンダム級タイトル戦において、スティーブン・フルトンとの戦いが予想されるプロボクサー、井上尚弥が着用しているオーデマ ピゲ「ロイヤル オーク」を紹介しよう。
Text by Yukaco Numamoto
2023年2月19日掲載記事
日本ボクシング史上最高傑作と言われるプロボクサーの井上尚弥
アジア人初の主要4団体統一王者である井上尚弥。圧倒的実力と完璧なボクシングスタイルから「日本ボクシング史上最高傑作」「モンスター」「日本ボクシング界の至宝」と呼ばれており、世界で最も権威のあるアメリカのボクシング専門誌「ザ・リング」では、格付けランキングにおいて日本人で初めて1位の評価を受けたことがある。
井上尚弥が所有するタイトルは第36代日本ライトフライ級王者、第33代OPBF東洋太平洋ライトフライ級王者、元WBC世界ライトフライ級王者、元WBO世界スーパーフライ級王者、元WBAスーパー・WBC・IBF・WBOスーパー世界バンタム級統一王者、世界3階級制覇王者、WBSSバンタム級第2シーズン優勝者と華々しい。主要4団体の統一王者になったのは史上9人目で、アジア人では初と聞けば、ボクシング事情に詳しくなくてもいかに凄いことか感じられるのではないだろうか。世界王座戦19連勝、世界王座戦70秒での最短KO勝利、世界王座海外防衛4度など、数多くの日本記録も持っている。
2023年2月16日に世界ボクシング評議会(WBC)が発表した最新の世界ランキングでは、スーパーバンタム級1位に選出された。
井上尚弥が特別な日に選ぶ腕時計はオーデマ ピゲの「ロイヤル オーク」
スーパーバンタム級転向の発表時に着けていたのは「ロイヤル オーク フライング トゥールビヨン」
こちらの写真が撮影されたのは、保持していたWBAスーパー・WBC・IBF・WBOスーパー世界バンタム級王座の返上と、スーパーバンタム級転向を発表した日である。井上尚弥はライトフライ級からバンタム級までの3階級を制覇していることは前述の通りだ。今回のスーパーバンタム級(55.3kg)は5階級目の挑戦である。階級を上げるごとに1.3kg~1.8kgほどの差があり、対戦相手の体格はより大きくなり、パワーも強くなる。この日の会見では「バンタム級は戦いたい相手もいない。これからは自分よりもでかい相手との戦い。これからが本当の戦い」と語っていた。
新たな階級に挑戦することはボクサーにとって致命傷ともなりかねない。減量は楽になるが、対戦相手のスタイルも変わり、自ずと戦い方も変わっていく可能性がある。それも覚悟の上でのスーパーバンタム級への挑戦なのだ。
そんな決断の日に選ばれた時計はオーデマ ピゲの「ロイヤル オーク フライング トゥールビヨン」だった。この写真ではベゼルにダイヤモンドが入ったホワイトゴールドモデルのように見える。
自動巻き(Cal.2950)。27石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約65時間。SS(直径41mm)。5気圧防水。
ロイヤル オークの特徴のひとつである「グランドタペストリー」のグレーダイアルに32個のバゲットカットダイヤモンドがあしらわれたスペシャルな1本だ。ケースサイズは直径41mmで少し日本人の腕には大きめではあるがプロボクサーともなるとしっくり合うサイズ感なのではないだろうか。搭載されるムーブメントはCal.2950で2019年に発表された自動巻きムーブメントであり、フライングトゥールビヨンとセンターローターを採用している。オーデマ ピゲ初のフライングトゥールビヨンウォッチは、2018年に発表された「ロイヤル オーク コンセプト フライングトゥールビヨン」であるが、以降さまざまなトゥールビヨンモデルを発表している。
井上尚弥がこの写真で着用しているのは、ダイヤモンドなしのチタンやプラチナのモデルのようにも見えるがどれだろうか。いずれにせよ、グレーカラーのダイアルがブレスレットとのモノトーンとなってフライングトゥールビヨンが際立ち、視線が集中するカラーリングだ。
「ロイヤル オーク クロノグラフ」も着用
数多くの時計を持っている井上尚弥のコレクションの中からロイヤル オークは会見やテレビ番組の収録時などに選ばれることが多いようだ。風格と着用したときの心地よさで自然と手に取っているのかもしれない。
2022年6月27日の会見時には「ロイヤル オーク クロノグラフ」と思われる腕時計を着用していたようだ。WBC王者のノニト・ドネア選手をTKOで破り、ボクシング専門誌「リング」によるパウンド・フォー・パウンドのトップランカーに日本人として初めて選出された。現在の年齢は29歳、これから築く記録の数々が楽しみだ。
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