今回も前回に引き続き、世界最大唯一無二の時計フェアとなった「WATCHES & WONDERS GENEVA 2023(ウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブ 2023/略称W&WG2023)」にフォーカスしたい。今回はかつてのSIHHとの根本的な違いと、SIHHにはなかった新しいプログラム、イベントに注目。筆者のように現地取材・訪問を予定している方には絶対に役に立つはずだ。
(2023年2月25日掲載記事)
やっと本格仕様「時をテーマにした見本市」になるW&WG
3年間のブランクを経て、昨年2022年についにリアル(フィジカル)開催されたW&WG。だが実は、昨年のW&WGは、リアルではあったが省略されたバージョンだった。そして今年はついに、初めて本格仕様(フルスペック)バージョンで開催されることになる。
本格仕様バージョンのW&WGとは何か? それはかつてのバーゼルワールドのような「時計産業の工業見本市」では終わらない、地元ジュネーブ市が深くコミットした都市型の産業文化イベントだ。ここに2020年、SIHHがW&WGに改名した理由があったのだが、新型コロナ禍で同年はヴァーチャルだけの開催になったため、その部分がなくなった。だが今年2023年は、ついに「都市イベントとしてのW&WG」が開催されることになったのだ。
では2019年までのSIHHとの違い、新しい「本格仕様」の部分とは? 1月23日に発表されたW&WG 2023の公式プレスリリースにはその答えがハッキリと書かれている。それは「W&WGは“時をテーマにした見本市だ”」というフレーズに集約されている。具体的に、新たにどんなイベントが行われるのかご紹介しよう。筆者は今回この部分に注目して取材するつもりだ。
注目したいのは「IN THE CITY」イベント
今回のW&WGでは会期の最後の2日間、4月1日(土)と2日(日)に行われる一般客への有料公開が話題だ。だが筆者のようなプレスにとって、この一般公開日はもはやメディア対応はなく、仕事にならない日でもある。そのことは2019年(だったと思う)に行われたSIHHでの一般公開日も取材していた筆者にはよく分かる。今年もプログラムをチェックしたが、やはりこの最後の2日間のメディアプログラムはゼロ。だから基本的に会場にはいないつもりだ。
ではフェアの、いつ行われるどんなイベントに注目するか? それは会場外、ジュネーブ市内で行われるイベントだ。
まず注目したいのが3月30日(木)の17時から21時にかけて、リュバス地区で行われる「時計作りに関連するスペシャルイベント(A special evening event dedicated to watchmaking)」だ。
リュバス地区とは、ジュネーブを訪れた方にはおなじみのモンブラン橋からローヌ川の中洲、旧市街にかけてのエリア。詳細はまだ発表されていないが、このエリアで特別な催しが行われることは間違いない。
FHHや参加時計ブランド・ブティックの特別展示にも注目
またこのエリアに隣接するローヌ川に架けられたラ・マシーヌ橋の中央の中洲にある高級時計財団(FHH)のヘッドオフィスでは「ジュネーブの時計製造に関する特別展示」が期間中に開催されることになっている。
またW&WG期間中、ジュネーブにあるW&WG参加時計ブランドのブティックでは、各ブランドがそれぞれ独自のノウハウを活かした特別展示を行うこともプレスリリースには記されている。つまり、今年は期間中に参加ブランドのブティック巡りも行った方が良さそうだ。
と、ここまで書きながらスケジュールをまとめていて、うれしい半面、気が重くもある。これは朝から晩まで、W&WG会場やジュネーブ市内を走り回ることになりそうだ。確実に。これら以外に、W&WGに参加していないブランドの展示会も数多くあるのだから。でもW&WGが本格仕様バージョンになって、他のブランドのイベントの展開も始まった。これ以上の喜びはない。
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