1904年創業のオリスは、他の時計ブランドとは一線を画す存在だ。スイス時計産業の中心地から遠く離れた、北西部の町ヘルシュタインに拠点を置いていることもその一因だろう。また、大企業が多いこの業界において、独立系ブランドとして存在感を示している。今回は、そんなオリスについて知っておきたい5つのポイントを紹介する。
リーズナブルで信頼のおけるブランドとして支持されているオリス
オリスは長年にわたり、良心的で合理的な時計ブランドとして知られ、コストパフォーマンスの高い時計を提供してきた。そして、特別モデルや限定モデルでも愛好家たちを魅了し続けている。これらは現在でも同様であるが、オリスは近年目覚ましい進化を遂げている。2014年には、35年ぶりに自社製ムーブメントの提供を再開。280種類以上のムーブメントを製造してきた歴史を受け継いでいる。
今日、かつてないほど重要視されているサステナビリティ(持続可能性)に関しても、オリスは他ブランドに先駆けて取り組んできた。サンゴ礁保護基金やビリオン・オイスター・プロジェクト、パシフィック・ガベージ・スクリーニングなどと提携し、自然保護に関するプロジェクトを支援し続けている。2021年には、カーボンニュートラル企業の認定を受けている。
また、バーゼル郊外のヘルシュタインに拠点を置くオリスは、エモーショナルな側面も見せる。例えば、数十年前にタイムスリップしたようなレトロなデザインのモデルや、青、緑、赤などのカラフルなラッカーダイアル、機械式ムーブメントを堪能できるスケルトンモデルなどだ。オリスは独立性、個性、持続可能性といった価値観を備える信頼性の高いブランドとして支持され続けている。
35年ぶりに登場した自社製ムーブメント、キャリバー110
オリスは100年以上もの歴史の中で、280を超える数の自社製ムーブメントを開発してきた。1982年からしばらく休止期間があったものの、2014年からは再び自社製ムーブメントの製造を開始している。
キャリバー110は、創業110周年の節目に発表された自社製手巻きムーブメントである。最大の特徴は、約10日間のパワーリザーブだ。これはノンリニアのインジケーターで表示され、さまざまな機能を追加しながらキャリバー115まで展開されている。
新開発の自社製自動巻きムーブメント、キャリバー400
手巻きのキャリバー110シリーズに続き、2020年にオリスは自社製ムーブメントのラインナップに自動巻きムーブメントを追加した。
ムーブメント製造再開後初となる自動巻きムーブメント、キャリバー400は、非常に長い主ゼンマイを備えたダブルバレルによって、約5日間のパワーリザーブを実現している。またシリコン製の脱進機やアンクルをはじめ、非鉄および耐磁性合金から作られるパーツを30点以上採用することにより、高い耐磁性を獲得した。
かつては世界最大級の時計製造メーカーであった
オリスはかつて、世界最大級の時計製造メーカーであった。1930年には、1日に約7000本もの腕時計を生産していたのである。そして60年代後半には、会社全体で800人以上もの従業員を抱え、年間120万本の時計を生産するに至った。現在、オリスの年間生産本数は約5万5000本とされている。
環境保護に対する先進的な取り組み
オリスは海洋保護活動に積極的に関わっており、2010年の「グレートバリアリーフ」を皮切りとした環境保護支援モデルの発表など、定期的にプロジェクトを実施してきた。現在はドイツ、デンマーク、オランダのワッデン海沿岸国によって結成されたワッデン海連邦事務局(CWSS)もサポートしている。
2009年にユネスコの世界自然遺産に登録されたワッデン海の保全活動を担うこの事務局の支援のため、21年に「オリス ダットワット リミテッドエディション」を発表し、売り上げの一部を寄付した。また、サンゴ礁保護基金への協力、海洋プラスチック問題に挑むプラスチック・バンクやパシフィック・ガベージ・スクリーニングへのサポートも行っている。
21年、オリスはクライメイト・ニュートラル認証も取得した。海での清掃活動を行い、カーボンオフセットを行う企業を支援することで、2.2トンの二酸化炭素削減を行っていると認定されたのである。それだけにとどまらず、同社は22年から毎年2%の二酸化炭素削減を目指すことも公表している。
魅力的な限定モデルを多数展開
オリスは毎年、さまざまなテーマを持った限定モデルを展開している。2022年11月には、世界的な航空消防隊であるコールソン航空とのパートナーシップにより生まれた「コールソン リミテッド エディション」を発表している。
また、同じく22年11月に発表したのが「ヴァルデンブルガーバーン リミテッドエディション」である。歴史的な鉄道のひとつであるヴァルデンブルク鉄道は、およそ120年もの間、人や時計のパーツなどをオリスのヘルシュタイン工場に送り、また完成した時計を世界に送り出してきた。この鉄道が改装工事を終えて運転が再開されるのを記念して、同モデルは製造されたのだ。
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https://www.webchronos.net/features/26426/
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