Scarpetta Tokyo(虎ノ門)/この世ならぬ美味のクリエイター

2023.03.10

昨秋、ニューヨーカーを虜にするイタリア料理店「Scarpetta(スカルペッタ)」のアジア第1号店が開業した。象徴的な一皿と共に、その魅力を紹介する。

外川ゆい:取材・文 Text by Yui Togawa
三田村優:写真 Photographs by Yu Mitamura
[クロノス日本版 2023年3月号掲載記事]

スカルペッタシグネチャー トマトバジルのスパゲッティ

スカルペッタシグネチャー トマトバジルのスパゲッティ
目の前に運ばれ、ガラスのクローシュが外されると、豊かな香りが漂う。ローマトマトで作る自家製ソースには、バジルとニンニクのハーブオイルやペペロンチーノフレークを使用。イタリア産小麦粉を使った手打ちパスタは、コシのある心地よい歯応え。3種類あるすべてのコースに含まれており、バーエリアではアラカルト(2420円)でもオーダー可能。


シンプルゆえに際立つ味と感性

菅野彰造

菅野彰造(Shozo Sugano)
1983年、大阪府生まれ。専門学校を卒業後、都内での修業を経て、渡伊。約8年間、南はプリーア、北はトレンティーノの星付きレストランで研鑽を積む。帰国後、「シャングリ・ラ東京」などのホテルでシェフを務め、2022 年10月より「Scarpetta Tokyo」料理長に就任。

 ニューヨーク・タイムズ紙から3つ星の評価を獲得しているモダンイタリアン「Scarpetta」。「The JamesNew York NoMad」や「Bulgari Hotel London」など著名ホテルと提携し、3カ国7店舗を展開するレストランが、2022年10月に待望の日本初進出を果たした。現在、イタリア初の店舗をローマに開業予定であり、世界的に注目が集まるレストランだ。

 店名は、イタリア語で、残ったソースをパンですくうジェスチャー「fare la scarpetta」に由来し、最後の一口まで食事を味わう贅沢な喜びを表現。ロゴは、その痕跡をデザインしており、シグネチャーであるスパゲッティのトマトバジルのソースと同じ色を使用している。写真の通り、上品な佇まいの料理だが、美味しさを堪能し、思いのまま楽しむ。「Scar pett a 」がコンセプトとする「気取らない、でもエレガントなサービス」に重なる。

「シンプルで堅苦しくないのが魅力のイタリア料理ですが、調理工程が少ないメニューほど難しく、細部を突き詰めることが、美味しさへの追求につながります」と語るのは、「Scar pett aTokyo」料理長の菅野彰造氏。シグネチャーであるトマトバジルのスパゲッティもまさにそう。本国の本質を継承しつつ、日本ならではのアレンジを巧みに加えている。

 8年の歳月をイタリアで過ごした菅野氏は、イタリアのトップシェフである3つ星に輝くエンリコ・バルトリーニ氏や2つ星シェフのガエターノ・コスタンゾ氏に師事し、スーシェフとして研鑽を積んだ。「塩ひとつ振るのにも愛情や情熱を込めること。イタリアのマンマが作る料理が美味しい理由はそこにあるのだと、肌で感じることができました」と振り返る。

 新たな舞台である「Scarpetta Tokyo」でもイタリアで培った経験は活きている。「音楽や照明、サービスなどレストランのさまざまな要素をお楽しみいただきたいです」と語るが、それらを楽しむことができるのも安心できる美味しさの料理あってこそ。


Scarpetta Tokyo

Scarpetta Tokyo

「Scarpetta」の美学である「ナチュラル・ミニマル・シック」を基調に、日本ならではの情緒的な要素を融合。ダイニングのほか、個室、テラス、バーを併設するので、多彩なシーンで利用できそうだ。

東京都港区虎ノ門4-1-1 
神谷町トラストタワー1F
Tel.03-6450-1360
土曜・日曜・祝日定休
17:30~23:00(L.O.22:30)
コース9350円、1万2100円、1万6500円
(サービス料10%別)


Nʼonaka(西麻布)/この世ならぬ美味のクリエイター

https://www.webchronos.net/features/90138/
武蔵 by アマン(大手町)/この世ならぬ美味のクリエイター

https://www.webchronos.net/features/86091/
CommeʼN TOKYO(世田谷)/この世ならぬ美味のクリエイター

https://www.webchronos.net/features/84475/