ピアジェのスポーティウォッチである「ピアジェ ポロ」に永久カレンダーを搭載した新作「ピアジェ ポロ パーペチュアルカレンダー ウルトラシン」が追加された。同作が注目するのはやはり厚さ8.65mmというケースの薄さだろう。しかしそれ以上に見るべきポイントは、永久カレンダーの全ての要素を単独で調整できる操作性の良さだ。
自動巻き(Cal.1255P)。25石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約42時間。SSケース(直径42mm、厚さ8.65mm)。30m防水。770万円(税込み)。
Text by Yuto Hosoda(Chronos-Japan)
2023年3月10日掲載記事
ピアジェ ポロ初のハイコンプリケーションウォッチ
今、ピアジェの「ピアジェ ポロ」コレクションが好調だ。一体型ブレスレットとスポーティながらも高級時計然とした仕上げを持つケースという組み合わせが昨今の時計市場の要求とも合致したのか、比較的若い、高級時計に興味を持ち始めたばかりの層から特に支持を得ているという。
確かにピアジェ ポロは2016年のモデルチェンジで、ブランド初のSSケースを導入したコレクションでもある。非貴金属ケースを採用することで他のコレクションよりも安価な販売価格を実現し、かつスタイリッシュなデザインを持つのだから、確かにピアジェ ポロが新規顧客を開拓しているというのも頷ける。
さて、そんなキャラクターからか、これまでピアジェ ポロには複雑機構を搭載したモデルが存在していなかった。ラインナップされていたのはオーソドックスな3針+デイト、クロノグラフ、そしてスケルトンの3種のみ。
つまり、2023年2月に発表された「ピアジェ ポロ パーペチュアルカレンダー ウルトラシン」は、ピアジェ ポロ初のハイコンプリケーションウォッチであり、フラッグシップを担うモデルということになる。
プッシャーによる高い操作性を持つ永久カレンダー
ピアジェ ポロ初のハイコンプリケーションとして登場した「ピアジェ ポロ パーペチュアルカレンダー ウルトラシン」は、薄型ケースもさることながら優れた操作性が魅力だ。同作のパーペチュアルカレンダーは日付をリュウズで、それ以外の表示機能をケース側面に設けられたプッシャー(コレクター)によって進めることが可能。全ての表示要素を単独で調整できるのである。
ここでポイントとなるのが、うるう年表示(リープイヤー)も単独で進めることができる点だ。というのも、永久カレンダーはその日が「何月何日」なのかという情報と同時に、その年がうるう年かどうかも見分ける必要があるからだ。
これはうるう年表示が単独調整できない時計で、仮に月表示を誤って1カ月進めすぎてしまった場合、4年後の同じ月まで月表示を47カ月分送らなければならないことを意味する。
日付や月の単独調整ができる個体は多いが、うるう年表示ができる永久カレンダーは現時点で稀だ。間違いなくピアジェ ポロ パーペチュアルカレンダー ウルトラシンの永久カレンダーは、トップクラスに優れた操作性を誇っている。
ピアジェらしい薄型ケースを採用
「薄型ケース以上に操作性が魅力的」と書いたものの、やはり8.65mmに抑えられたケース厚は魅力的だ。ラグジュアリースポーツウォッチらしいデザインを持つピアジェ ポロシリーズにとって、ケースが薄型であることは譲れない要素のひとつ。もちろん、これはハイコンプリケーションウォッチであっても変わらない。
しかし、文字盤側にカレンダー機構を載せなければならない永久カレンダーは、どうしても縦方向に厚みが増してしまう。
加えて、カレンダーに関わる表示だけでも「日」「週」「月」「うるう年」という4つの要素を持つ永久カレンダーは、いくら調整が楽といっても、基本的には時計を止めたくない。そのため、自動巻きを載せることも必須事項だ。
薄型化の要は名機Cal.12Pの系譜を継ぐCal.1255P
永久カレンダーの薄型化という難題に対するピアジェの解答は、実に明快だ。それが薄型の自動巻きムーブメントをベースに、永久カレンダーのモジュールを載せるという手法である。
ベースムーブメントに選ばれたのは薄型自動巻きのCal.1200Pだ。1960年に発表された伝説的な自動巻きムーブメントCal.12Pの系譜を継ぐピアジェの基幹ムーブメントであり、Cal.12Pの誕生50周年を記念して登場したCal.1200Pは、マイクロローターを用いることで厚さ2.35mmという薄さを実現している。
ここに永久カレンダー用のモジュールを文字盤側に追加したのが、ピアジェ ポロ パーペチュアルカレンダー ウルトラシンの搭載するCal.1255Pである。その厚さはわずか4mm。結果として同作は、3気圧防水を与えながら、ケース厚を8.65mmに抑えることに成功したのだ。
一気に充実した「ピアジェ ポロ」コレクション
時計機構の中でも特に複雑とされる永久カレンダーをラインナップしたことで、一気にコレクションが充実化した「ピアジェ ポロ」。
ここではエントリークラスからハイコンプリケーションまでをそろえるようになったピアジェ ポロから、それぞれ一押しのモデルを紹介する。
ピアジェ ポロ デイト
自動巻き(Cal.1110P)。25石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約50時間。SSケース(直径42mm、厚さ9.4mm)。100m防水。163万6800円(税込み)。
ピアジェ ポロコレクションで最もオーソドックなモデルとなるのが、3針+日付表示の構成を持つ「ピアジェ ポロ デイト」である。
同作はケース厚が9.4mmながら、100mの防水性能を持つラグジュアリースポーツウォッチだ。秒目盛りまでリーチしたセンター秒針、6時位置に開けられたカレンダーが語るように、高い視認性を持つ実用性に優れたモデルでもある。
自動巻き(Cal.1110P)。25石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約50時間。18KPGケース(直径42mm、厚さ9.4mm)。100m防水。602万8000円(税込み)。
ムーブメントもその性質に合わせてか、センターローターを採用するCal.1110Pを搭載する。巻き上げ効率は文句なしだ。
ピアジェ ポロ スケルトン
ピアジェ ポロの持つラグジュアリースポーツのキャラクターを最も突き詰めたのが、2021年にデビューした「ピアジェ ポロ スケルトン」だ。
自動巻き(Cal.1200S1)。25石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約44時間。SSケース(直径42mm、厚さ6.5mm)。30m防水。391万6000円(税込み)。
同作はマイクロローター自動巻きのCal.1200S1を載せることでケース厚を6.5mmまで薄型化することに成功したモデルである。
加えて、肉抜きされたムーブメントにCVDコーティングの「ピアジェ ブルー」もしくはガルバニック処理によるスレートグレーを着色することで、より精悍さを強調している。
自動巻き(Cal.1200S1)。25石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約44時間。18KPGケース(直径42mm、厚さ6.5mm)。30m防水。391万6000円(税込み)。
薄型ケース+スケルトンの繊細さとピアジェ ポロの持つスポーティさを組み合わせた、老舗メゾンらしいモデルだ。
Contact info: ピアジェ コンタクトセンター Tel.0120-73-1874
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